自治労は来夏の参院選で組織局次長「相原久美子」さんの擁立を決定しました。
これに対して、右派の間からは「民主党の労組依存体質」という批判があり、共産党からは、「政党支持の押し付け」という批判が予想されます。
これにたいして反論をしていきたい。
「民主党の労組依存体質」というが、自民党こそ「財界依存体質」ではないのか?そして、「官僚依存体質」ではないのか?族議員を斬って、クリーンイメージを醸し出したが、とんでもない。例えば郵政民営化などは、はっきり言って、利権を移動させただけです。大蔵族に利権が移動した。そもそも小泉改革は、福祉は切り捨てる一方で、官僚統制は異常に強まった。有事法や米軍再編での高圧的な態度など枚挙に暇はありません。財界と官僚という、保守の「本丸」を守り、農林族、建設族、厚生族といった、むしろ庶民とまで行かずとも中流階級の利益を反映してきた人々を切り捨て、システムから外れていた人々(女性やフリーターなど)に溜飲を下げてもらうというのが小泉さんの手法である。社会をバラバラにして分割統治する。これが 総理の十八番です。
みんなが底上げされるような社会にするのが政治の義務である。既得権擁護だけになってはいけない。しかし、組合の代表は必要である。その代表が、今まで冷遇されてきた女性やフリーターの利益も代弁できればなんら問題ない。財界代表も同じで、大企業だけでなく、中小企業などの視点も汲み上げれば良いのだ。それができていないから問題であるが。
今回の候補者である相原さんは、非正規職員出身でもある。そして女性でもある。だから、既得権の擁護者とも言いがたいのです。大いに、非正規雇用者を組織してきた実績、女性の立場で運動を進めてきた実績に自信を持ち、組合員だけといわず、フリーター、女性などに大いに支持を広げていただきたい。弱者の視点で公共サービスの充実、そして平和憲法の堅持を理路整然と訴えていただきたい。アメリカに国民経済を売り飛ばす右派の論理に屈している暇はない。
ただ、私は、組合員だけの支持という枠に留まろうとするのは良くないと思います。組合員が、周りの市民に平和憲法堅持、公共サービス充実、労働者全体の待遇底上げを訴えつつ、支持を広げていくことが望ましい。組合員を基盤としつつも、しかし、市民的支持を獲得していくことが大事です。
一方、共産党の「政党支持押し付け論」ですが、これもとるに足らぬ議論です。誰も彼も推薦しろという話ではない。組合の先輩を押し立てて、労働者の権利向上と平和を勝ち取れればそれで良いではないか?むろん、それぞれの思想信条はあろう。しかし、私だって、組織内議員へのカンパは欠かさずしてきた。共産党を支持してきたときもです。組合員にも もちろん役員として呼びかけました。自民党支持、公明党支持の組合員にも頭を下げて意義を理解していただき、納得していただいた上で集めたのです。強制ではなく、団結力で自発的にしていただいたと思っています。
むろん、社民党とも協力していくのが自治労方針ですから、又市さん(富山県本部出身)も立てるのが筋でしょう。ただ現実余力がない。又市さんは有名人であり、それなりに票は取って勝ち上がってくるであろう。党派を問わず、とにかく、護憲の議員を増やさねばならないのだから、その辺の重心の掛け方は私としても仕方がないと思っています。
民主党は極右もいるが一方で、ラジカル左派でも生きられる党です。共産党のように、執行部見解と違った意見を発表したらただちに除名、除籍という党とは根本的に違う。
共産党幹部は悔しかったら、スターリン主義的な規約、そして、今も根付く唯一前衛党論を放棄し、大衆蔑視、外部者への差別意識を捨て去るべきなのです。政界の楽天イーグルスと化した今でも改革を拒むとは末期的です。
また、共産党の労働戦線部隊である全労連は共産党に対して、組織内候補を押し込むべきです。バリバリの弱者の味方たりえる労働組合闘士を送り込むべし。確実に共産党は比例で1議席増えます。
今の共産党の比例の候補者を見ても、党官僚ばかりでは、つまらない。理論派、実践派、そしてカリスマ派。バランスの取れた陣容にしないと票は集まらない。そしてやたら、人を排除するのを止めることです。共産党員は自分が差別されている というが、私は、共産党の独善性が差別を招いている面もあると確信しています。自民党、財界による差別は階級対立ですが、一般の人、それも比較的リベラルな人の反共意識は、明らかに、共産党にも問題がある。彼ら、彼女らは、反自民ですから、自民党の反共宣伝に乗せられているわけでは決してないのです。
不破哲三前議長は、中国を訪問しました。そして、大演説を行い、中国を社会主義と大いに持ち上げ、歓待され帰ってきたようです。以前も不破さんは、中国で大宴会で歓待されたことを自慢げに本にしていました。
まったく呆れたとは、このことです。私のことを「偉い人の視点」と非難した党幹部がいましたが、その人は、まず、私を批判する前に、不破さんを批判すべきです。そんなことをすれば、即刻除名、失業ですから出来ない。だったら、私の批判も すべきではないのです。はっきり言って黙っていれば良い。私の批判をするなら除名を覚悟して不破執行部を批判すべきです。全く以って外から見たら明白な二重基準が党勢を衰退に追い込み、憲法の危機を招いているのです。不破さんの後継者の志位さんが、「財界が、マスコミが」、などと悲憤慷慨する姿に哀れみを感じてしまいます。
大名旅行で喜ぶのではブルジョワ政党の幹部、いやそれ以下です。右転落、ここに至れりです。我が家が親子三代で推してきた亀井さんなどのほうがよほど自民党内民主主義を大事にしてきた分、ましでしょう。弱者の視点を失った不破さん。ああ痛ましい哉!まだ宮本顕治さんのほうが、筋を通しておいた分マシだった!宮本さんはあれでいて、76年総選挙のときは、金権腐敗反対の一点で民社党や公明党とも共闘しようと申し入れた。だから割と柔軟な面もある。原水禁の統一大会も再分裂は不破さんに委員長が代わってからです。
ブルジョワ民主主義も実践できないで何が社会主義か?中国は、悪いが日本以上の市場原理至上主義であり、官僚の既得権益が反面凄まじい国です(この二つが矛盾しないことは、小泉をみれば一目瞭然。小泉総理は、日本を「中国化」している。)。小泉を批判できる頭がありながら、中国を持ち上げるとは笑止。必要な批判はすべきです。それが出来ないから売国的な右翼に突っ込まれるのです。
人権、民主主義、平和に徹していないから、右翼に突っ込まれるし、支持が伸びない。まさに右傾化で筋が通せていないことこそが、党勢衰退の根源であることに全く反省がない。
むろん、そのまま西洋式を移植してもうまくいかない部分もあろうから、日本の伝統・文化などを踏まえつつ、しかし、はっきりと自民党政治に対抗するビジョンを打ち出して欲しい。
とはいえ、地方議員レベルでは共産党には良識的な人が多い。党官僚とは微妙に違う。地方では民主党も自民党との違いが出にくい場合も多い。自治労組織内候補がいる選挙区では、自治労組織内候補(多くは社民、たまに民主)の当選に全力をあげ、そうではない選挙区では原水禁組織内候補、次いで、共産党候補を次善の選択として支持すると言うのが当然であると思われます。
我が社会市民連合のメンバーは、充分、自治労組織内候補に対しても注文をつける強い意思と座標軸を持っているし、候補者も、組合員から注文が出ればある程度受けざるを得ないものです。従って、まず、自治労組織内候補の当選に全力をあげる。そうでない区では、共産党候補を次善で推すという大人の対応が必要です。その積み上げが、結局、「いざ鎌倉」というときの共闘につながる。
決して、レッテルを貼って、冷淡な対応をしてはいけない。批判はするが、しかし、よりましな候補者への応援を惜しむべきではない。
しかし、推すといってもただ推すのではなく、むしろ日本型社会主義の実践に資する形で政策提言を行っていくことを主軸にしなければならない。
我々は、確信点を掴み、しかしだからこそ、幅広い共闘を追求するのである。大衆迎合も唯一前衛党論も確信がない証拠です。どこか、やましいところが心の中にあるのです。胸を張って主張できるものがないからです。
誤解がないように言うが、私はあくまで組合の大先輩であり、女性、非正規労働者の声を代弁する「相原久美子さん」を応援するが民主党を丸ごと肯定するものでは毛頭ないのです。むしろ政権交代後の政界再編を計算に入れています。
あらゆる政党・政派に対して、「是々非々」を貫く。しかし、個人レベルで、日本型社会主義の実践に資するものがいれば、社会市民連合の各会員独自の判断で応援する。例えば、別の組合に所属する人が組合の先輩が共産党から出ていれば、その人を推す事をもちろん妨げない。むろん、そんなことは共産党はしませんが。
基準はある程度示すが、会員に押し付けない。社会市民連合は政党ではなく、あくまで新しい社会をつくるための市民の連合体だからです。