千坂史郎さん、組織論・運動論欄にて関幸夫著『知識人 論ノート』についてお教えいただきありがとうございます。千 坂さんあたりから情報が得られるだろうと勝手に期待していま したが、大当たりで、とてもうれしく思います。
章のタイトルでは「ユマニスム」ではなく「ヒューマニズム 」の語を使用されていたのですね。渡辺一夫さんが、日本で「 ヒューマニズム」という言葉が一人歩きして本来の意味と違っ た用法になってしまったことから、フランス語の発音を借りて 「ユマニスム」という言葉を使い、定義しなおしたことなど解 説があったと記憶します。この本、自室のどこかに埋もれてい る筈で、きっと掘り出して再読します。
ある共産党員の知人が、私が大江健三郎さんのファンと知っ ていて、既に離党していた私に初版本を贈ってくれた(送りつ けてきた?)のでした。出版から数年後の事だったと思います 。読後、「党中央はあなたが考えている程セクト主義のカタブ ツばかりじゃない」と私に伝えたかったのだろうと、思ったも のです。
関さんがお亡くなりになったのはこの本が届いておよそ5年 後の事ですが、具体的に何年だったかは思い出せません。晩年 は熊本県委員長でした。訃報とともに、東北大全学連の初代委 員長だったことなど、その知人から伝え聞いたことも思い出し ました。
この本のあとがきに「残尿感」という言葉があり、満足の行 く出来映えでないことを悔やんでおられる様子だったことが、 なぜか印象に残っています。今、この時点でハッとして脳裏を 巡ることは、既に体調を悪くされていて、遺言のつもりで急ぎ まとめられたのではないか、そのこころざしは、党の内外にど れほど遺っているだろうか、いや、千坂さんのように、少なく とも読者にはしっかりと受けとめられている、等々。
「民衆の闘争の根本に、共同と寛容をどう血肉化するかは、 日本の民主主義と社会主義の運動の正念場である。」
「正念場」、まさにその通りですね。私の「努力目標」と書 いたこと、ほんとうです。