はじめまして、村田村蔵様。
やはり、社会科学研究所(以下、「社研」と言う。)につい
て不信感をお持ちの方は結構いらっしゃるのかもしれません。6/21
『社会科学研究所は規約違反と思いますが』・・なる貴重なご
投稿を拝読し、茫漠と感じていたものが触発されたようです。
ぼくは地方在住の一青年で、マル経ではなく近経の出身なの で、マル経をほんの少しずつ学び始めました。党の青年メンバ ーとはつき合い始めてかれこれ4~5年になります。実はぼくも 社研について、ずっと疑念を感じています、と言いましても未 だ茫漠としたものですけれども・・・。
2~3年前、民青を交えた学習会でこんな問題提起があがっ たのを記憶しています(党機関講師ではなく、都道府県学習協 の専任講師に聞くほうがひょっとして良心的な回答が得られる かもしれないですが。)。社研の党規約違反性の当否といった 件とは、若干、視点がズレるかもしれませんが、参考までに以 下に記させていただきます。
【某学習会であがった問題提起】
◇1. 社研が設置された歴史的沿革がまったく不透明。設置に
あたってどのような時代的必然性・背景が存したのか?
◇2. そもそも、社研の存在意義・存在目的が不開示のままで
はないか、それはなぜか? 最寄の地区党に問い合わせても「
何も知らない」の一点張り。県党でも「わからない」と言われ
た。どうせ中央に問い合わせても「担当者が居ない」などと躱
(かわ)されそう。結局、情報開示をせずすべては闇の中なの
ではないか?
◇3. 社研の利用権を有する者は、党中央委員会「三役」級と
国際局勤務員に限られるのか?
◇4. 社研での「研究成果」があるのなら、その成果を全党(
共産党内)に普く(あまねく)フィードバックしてしかるべき
ではないか? 研究機関の義務だと思うが?
◇5. 純粋培養ではなく、党に敵対的ではない「党外の学術研
究機関」からの研究者登用や、恒常的な対外研究交流を、する
気があるのか?
◇6. マル経を聖域扱いし、非マル経諸学派を“ブルジョア経
済学”呼ばわりするだけの時代錯誤からは何も産まれない。ま
た、非マル経諸学派との学術理論論争をする気がいまだに存し
ないのか? 遠慮なく共産党の社研側から党外諸学派に他流試
合を挑めばいいのに。相互交流や他流試合はあって当たり前で
はないか。
◇7. 中国の党中央組織にも「社研」があるそうだが(?)、
それを強く意識して模倣したということはないのか?
(たしか、例の分冊『資本論』の表紙にも「社研編集・・」な どと表記があったと思いますが、それはここでは措きます。) 以上これら問題提起は、個人的にも興味深いものが多いので はと感じたのですが、それを受けての講師(元支部長)の回答 たるや期待を裏切るものでした。
同講師は「危機的な今の日本そして世界の富の偏在を変える
には実践だけでなく不断の理論研鑽が欠かせない。 AALA諸国
※ はいまだに貧困のなかに置かれてはいますが、未来社会に
は大きく発展する可能性を有しています。わが党も国際的連帯
に自覚的に取り組んでいく必要があります。これも国民に対す
るわが党の責務なのです」と通り一遍、どこかの広報係みたい
な回答に終始していた記憶があり、不満だけが残りました。
つまり、「論点をはずした答え」だったわけですが不信感を
抱きましたね。
「社研は、特定の特権的党員にのみ利用権があるのであって
、一般党員や党支持者にはアクセスさせる気はない」ともし党
が考えているのだとしたら(その可能性が大。)、いっそ、そ
の旨を党内公表し、党員全員から批判を浴びるほうがいいので
はないかと思います。隠し続けるよりはマシではないでしょう
か。
現時点でのぼくの偏見的な見解にすぎないかもしれませんが 、社研はひょっとして「党権力の隠れ蓑」として好都合な一種 の象牙の塔(アイボリー・タワー)ではないか?と考えます。 党外の健全な学術機関のそれとは異なり、党中央自らと少しで も「毛色の違う」研究者や理論の入り込む余地は全く存しない のではないか?と思います(不破氏が事実上の執筆独占権とで も言うべき絶大な権力を握っているとは、こちらでも或るベテ ラン党員が語っていたことがあります)。
これは、あってはならない一種のタブーではないでしょうか 。今後、不破カラーの様相が更に濃厚に社研に投影されるよう な事態にならないことを心から願うものです。つまり、“社研 の不破私物化”を誰も望まないということです。
学術には多様性が欠かせません。主流派とは異なる批判勢力
が存すること自体は健全で自然なことです。資本主義も社会主
義も関係ないのです。(言うまでもないですが、人文・社会科
学は自然科学と異なり、生身の人間が対象です。したがって原
則として実験はできません。)
どこかの一党独裁国ならいざしらず、或る学問に「特定イデ
オロギー上のタブー」が蚕食をはじめると、それは権力の顔色
を伺い右顧左眄するだけの“チョーチン学問”に堕落してしま
います。まさに教育犯罪ですが、これを放置すると、党外の一
般社会にとっても大変な害悪をもたらします。(類似の事象は
美術・音楽分野にもあるのではないでしょうか? 詳細は知り
ませんが戦前の欧州においては「未来派」という前衛芸術運動
が存し、それを批判する他派に不当に圧力が加えられたそうで
す。ときの執権権力と闇でつながっていたのでしょうか。誤謬
があればご指摘ください)。
政界引退したとはいえ、不破氏は、言うなれば“名誉職”と して終生、社研所長に居座るつもりかもしれませんし。真の象 牙の塔に高度化発展でもしてくれれば喜ばしいことでしょうが 、不破氏が居座るかぎりそれは望むだけムダではないかと思い ます。“バベルの塔”に頽廃化しないよう、何らかの適切な中 立第三者機関によるチェックがなされるシステムが創設されれ ばいいのではないかと思います。
(拙稿中段付近の「AALA諸国※」は、「アジア・アフリカ・ラ テンアメリカ」の略語なのだそうです。しかし党事務所にある ポスター地図をよく見たところ、なぜかモンゴルだけがすっぽ り除外されていました。モンゴルって明らかにアジアなのに失 礼ですよね。単なるケアレスミスだと思いたいところですが・ ・・)