私はテロを心より憎む。しかし、「戦争にもテロにも反
対」というスローガンは必要ないと思う。すでに戦争という言
葉には「労働者階級へのテロル」という意味が含まれているか
らだ。
憎むべきテロリスト軍隊のイラク侵攻によって、イラクの文
化・医療・教育は徹底的に破壊された。
かつて米軍将校の中にベトナム戦争時「石器時代に戻してや
る」と言った者がいる。ラムズフェルドは博物館が略奪された
時、小躍りして「彼らには略奪の自由がある」と言った。もし
、現在のイラク戦争の結果がイラク侵攻時からすでに想定済み
であったのなら、私は腹の底からテロリスト達を憎む。私達は19
世紀に戻る訳にはいかないのだ。
アメリカは民主主義を掲げながら、実際は言葉とは逆に我々
を奈良時代や魔女狩りの時代のような隷属に引き戻そうとして
いるのではないか?この図書館、この医療、この学校を、この
社会福祉を、私達は守り抜くことができるだろうか?戦後40年
で手に入れた権利を全て剥奪される危険性が今そこにあるのだ
。
着々と進むイラクのユーゴ化↓
名前も家も捨てた
正式政府発足イラクの闇(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060609/mng_____tokuho__000.shtml
先月二十日、イラクに正式政府が発足した。国連が策定した 国家再建の最終段階だが、歓喜の声は聞こえない。むしろ民族 、宗派間の抗争が激化し、民族浄化の様相すら呈している。首 都の死体安置所に運び込まれた遺体は、今年に入り六千を超え た。治安崩壊のみならず、汚職は蔓延(まんえん)、国家分裂 の溝は一段と深まっている。「ザルカウィ容疑者殺害」では照 らし切れない闇が覆っている。 (田原拓治)
■宗派わかる名襲撃され『死』
イラクはどうなっているのか。現地からの電子メールにはこ う記されていた。
「首都の登記所には、毎日、改名を望む人たちの長い列がで きている。名前で各自の宗派が分かり、それが死につながるか らだ」
スンニ派の「オスマン」はシーア派の「フセイン」へ、逆な ら「アリ」が「オマル」といった具合だ。
二月下旬、中部サマラのアスカリ寺院(シーア派聖廟(せい びょう))が爆破され、その後、十日間で約五百人が宗派テロ の犠牲になった。余波は首都バグダッドにも伝わった。シーア 派住民の多いカラダ地区の一人は「シーア派は開戦後、スンニ 派の攻撃に三年間耐えてきた。今度はわれわれの力を見せつけ てやる」と語ったという。 その結果、首都の中央死体安置所には一日、四十ほどの身元 不明遺体が運び込まれている。大半はスンニ派だ。遺体には電 気ドリルの穴があるという。拷問のあとだ。英ガーディアン紙 によると、安置所は保健省の管轄。同省はシーア派の有力一派 ムクタダ・サドル派が握っており、遺体確認に来るスンニ派住 民はここでも「テロリストの仲間か」と嫌がらせを受ける。
逆襲もある。首都南部のドーラ地区はスンニ派抵抗勢力が強 い。ここでは路上に放置された遺体に誰も触れない。メールは 「遺体はシーア派で、それらを片づけようとするとシンパとみ なされ、抵抗勢力に襲われるからだ」と続いた。
妻がシーア派、夫がスンニ派というカップルも首都では珍し くなかった。それが「かつてはシーア派と仲の良かった人も、 いまは反シーアで闘う。報復のためだ」(スンニ派の別の住民 のメール)に変わった。
(中略)
■バグダッド大教授80人犠牲
さらに宗派抗争か否か、不透明な虐殺がある。大学教授など 知識人や医師を狙った殺人だ。民間団体「B・ラッセル・トリ ビューナル」によると、すでに三百人から千人が殺された。
米国の占領政策に批判的だった人物が多いとされ、バグダッ ド大学だけで八十人の教授が犠牲になっている。カナダに避難 した物理学者イマド・カドゥーリ氏は「新しい世代を教育する 者がいない。国家再建の夢はついえた」(衛星放送アルジャジ ーラ)と語った。
日本は未だに内戦や戦争には直接には巻き込まれていない。
しかし、恐ろしい状況は着々と進んでいるし、イラクが地獄な
ら日本にも地獄はある。
内戦が続くアフガニスタンから怪我の治療のため日本に住む
ことになったある少女は、最初日本が天国に見えたそうだ。し
かし、人間関係の希薄化などギスギスした今の日本の状況を見
て、彼女は日本に「平和の中の戦争」を感じているそうだ。
試験のプレッシャーと父の暴力に耐えられず放火したと見ら
れる少年、自分と同じ大学生を廃棄物処理場で集団暴行し、生
き埋めにしたと語る青年。少し前には理由は不明だが、両親に
恒常的な暴力を振るわれ、自分の排泄物を食べて廃人寸前にな
った男子中学生の記事があった。平和の中の戦争がここにある
と思う。