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北朝鮮人権法案について思うこと。

2006/06/14 シンタロー 50代 元公務員

 北朝鮮人権法案なるものが6月12日の衆議院拉致問題特別委員会で自公の与党と民主との絶対多数をもって可決され、今国会の会期内に成立する見込みだという。
 赤旗などの諸報道を見ると、拉致被害者救出にとどまらず、北朝鮮の内政問題に関わるようないわゆる「脱北者」に対する支援が盛り込まれているようだ。
 聞くところによると、この法案では「私は脱北者です。」と自己申請すれば脱北者認定され、その上で何もしなくても脱北者には国から毎月17万円が支給されるという内容らしい。
 これでは、いわゆる「工作員」や「テロリスト」が日本に流入するフリーパスを与えることにつながり、さらには日本国民に対する年金の支給額が平均で7万円だということを考えると、なんと無定見なことをおこなうのだろうかと驚かざるを得ない。
 北朝鮮の隣国の韓国が「脱北者」を受け入れていないのになぜ日本がこのような内政干渉につながり、挑発行為とも言えるようなことをおこなうのか理解に苦しむ。
 聞くところによると、この法案を成立させるために改憲団体「日本会議」につながる「救う会」や、あの横田夫妻をはじめとした「家族会」が圧力団体の一員として相当動き回ったらしい。
 別ログの北朝鮮問題のほうで長壁様がご投稿にてご指摘されているが、横田夫婦は完全にマインドコントロールされており、非常に危険な役割を果たしている。
 北朝鮮に対する危険な挑発行為を誘発し続けるこの夫妻、特に早紀江氏は敬虔なクリスチャンであり、キリスト教ジャーナリズムの世界では「神の人」とされ、書籍も出版されており、キリスト教書籍の中では大ベストセラーとなっている。そのためもありこの世界では大きな影響力を持っている。
 実は私もクリスチャンであるが、このような人がクリスチャンの模範とされ「神の人」扱いされていることに慙愧の念に耐えない。
 この人たちこそ自分の家族が外国の権力機構の手によって自分の家族を誘拐・拉致された苦しみを誰よりもわかっていらっしゃる方々であるはずだ。
 ならばなぜ、あの大戦中の朝鮮人に対しての日本の軍部権力による「慰安婦」や「奴隷的な労働力」とすることを目的とした組織的にして大規模な国家的な拉致・誘拐行為の犠牲者の苦しみに心を寄せることができないのであろうか。
 自分の家族の救出のためにだけ活動するのでなく、旧日本軍部の誘拐・拉致政策によって犠牲となり、今となっては名もわからない朝鮮の無数の無垢の人たちとその遺族のためにも活動しないのであろうか。またクリスチャンであるなら祈らないのだろうか。
 そうしてこそ、北朝鮮との間に国交回復の条件が作り出されるだろうし、それが拉致被害者に救出へとつながるであろう。
 今、日本全体が憲法改悪、教育基本法改悪、共謀罪、米軍再編の名による日米軍事同盟の攻守同盟化とグローバル化など右傾化の動きを加速度的に強めているが、この流れに迎合するような風潮が日本のキリスト教界の中にみられる事は残念でならない。
 ところで、筆坂氏のお書きになった本で知ったが、不破氏がいわゆる野党外交の成果をあげるために、日朝国交正常化に前のめりとなって取り組み、その目的の達成に障害となる拉致問題を棚上げしていくプロセスを、拉致問題を本格的に国会の場で取り上げ、北朝鮮による拉致疑惑を政府にはじめて認めさせた1988年の橋本参議院議員の国会質問までさかのぼり、それがどのように展開されたかを告発していくくだりは衝撃的であり、説得力があるものであった。
 筆坂氏のよると党は日朝国交正常化で”功”を急ぐ余り、拉致問題をあいまいにし棚上げとするために、あの橋本質問をもお蔵入りとしてしまったらしい。
 だが、それが逆に災いとなり小泉訪朝時に金正日自らが「拉致は北の犯行。」と自ら認めたことで大衆の不信をいっきょに買うこととなってしまったというのが事の真相である。
 そして、北朝鮮当局が自ら認めた後で、党がいかにこの問題に心を砕いてきたかを印象付けるためのアリバイ作りのために橋本質問を持ち出しキャンペーンを展開した赤旗報道は今でも記憶に強く残っている。
 私は党は拉致問題をめぐるこの間の政治的な誤り、一貫性のない無節操さを反省し国民の前に自己批判をせねばならないと思っている。
 そして、初心に帰って拉致問題に取り組むべきだ。そうしてこそ今の誤った方向へといってしまった「家族会」や「救う会」が大手をふるって跋扈しているこの問題の中に一石を投ずることができ、日本の反動化を食い止めるために大きな役割を果たすことができると思う。