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「たしかな野党」論と海外で「戦争する国」論の限界と本質

2006/06/16 寄らば大樹の陰 60代以上 苦闘するフリーター

 日本共産党のメインスローガンは、いつからか「たしかな野党」論と「海外で戦争しない国論」である。
 これが誰によって、どこで、どう検討され、どう討論されて、誰が決めたのかは知らない。
 近代民主主義制度(ブルジョワ資本主義制度)の中で「政党」とは、それこそ泡沫のような小さな政党であっても、天下・国家を論じ、いずれいわゆる政権党を目指すものである。
 日本共産党が歪んだ議会主義にのめりこみ、「何よりも共産党に一票を」と頑張ってきたのも、この目的達成のためであり、今は幻と消えた「民主連合政府」の樹立もその一里塚であった。
 たしかにイタリアなどによく見られるような「地域政党」もあるし、特定のの利害を守るために結成された個別目的政党も例外的に存在するだろうが、基本的に「政党」とは、政権をとるために結成され、そのための運動を行う組織体である。

 この観点からすると「たしかな野党論」は、あらかじめ政権を目指すと言う政党本来のあり方を放棄し、現状の制度(資本主義制度)を認め、その許された枠内でのみ、活動をするという、いわば「野党としてのみ生きる」ことを目的としたカッコつきの政党となったことを意味している。
 民主党ですら政権党を目指しているのに、共産党はそれすら放棄し、そのことすら自覚できていないということだ。

 また「海外で戦争しない国論」(海外での戦争に反対する国論)は、国内(反対勢力、治安対策、そして外国からの侵略軍)や政府の言う周辺事態(いわゆる極東ー東アジア)での戦争は認めるが、遠い海外での戦争は認めないと言う論法である。
 これは自衛権・自衛軍の存在を認め、国防軍を容認することであり、これだけでも「東アジア(朝鮮半島、中国、台湾、あるいはフィリピン、当然、沖縄、尖閣列島、竹島・独島も含む)への侵略と戦争には介入する」ということである。
 この国の政府・権力者は、日本国憲法がまだ健全で、9条が厳存する今日でも、特別法(イラク特措法)など作って、イラクなど海外に自衛隊を派遣するのが常態なのだから、共産党が根本が同じ「海外で戦争しない国論」をいくら強調しても、なんとも思わない、「北朝鮮からテポドンがくればどうするの」と言っておしまいである。

 少し前、この「たしかな野党論」のおかしさと、「自衛権を認めるのか、認めないのか、討論しましょう」と提案したが、どちらも無視されてしまったと思う。
 この秋、いよいよ政治的な激突期に突入する。そのとき、まだ日本共産党がこの中途半端でどうしょうもない「たしかな野党論」と「海外で戦争しない国論」にこだわっていたら、共産党は壊滅的打撃を受けるだろう。
 間違いなく「ポスト小泉」には、小泉純一郎よりハードで、右の人物が登場するからである。
 韓国や中国では、国も人々も日本の総右傾化を心配している。戦前的あり方への回帰を危ぶんでいる。
 いくら不破さんが中国で、大人物ぶりを意識しょうとも、アジアの人々には日本共産党も社会民主党も、あまりにも小さすぎて目に入らない存在なのである。
 少数のものが勝つにはどうすればいいのか、「小異を捨てて大同につく」この精神による「統一戦線」の構築こそ、求めらられているのである。