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不破氏の「学術講演」

2006/06/03 山椒魚 60代以上

 不破哲三氏は「日本共産党付属社会科学研究所所長」の資格で5月25日に北京の「中国社会科学院」で「マルクス主義と二十一世紀の世界」と題して「学術講演」をおこなったが、その内容の全文なるものが5月30日付の「しんぶん赤旗」に掲載された。
 「筆坂問題雑感」の「つづき」を、と思っていた矢先だったがこれを讀んではどうしてもここで寄り道せざるをえなくなった。 
 不破氏は現役時代から「資本論講義」や「学術講演」などといった空談義が大好きだったが、なんとこれを中国に「出前」するまでにのぼせあがってしまったようだ。
 だが、その内容はとても「学術講演」などとはいえぬお粗末なもので、その全部につきあう気には到底なれない。一言でいえばこれはまさに「老害」の典型、天下にその「老醜」をさらしたものといってよいだろう。
 「老害」とは簡単にいえば、高齢化した組織の指導者がいつまでもポストにしがみつき、組織の健全性を阻害すること、といってよかろうが「組織」にとってこれほど厄介でうとましい存在はない。
 「議長」を退任したら同時にきれいさっぱり「常任幹部会員」からも退き、すべてを後継者にゆずるというのが引退の美学だろう。
 高齢だから「国会議員」はつとまらない、「議長」として選挙活動で全国を走り回るのは無理だから引退するが適材が見当たらないからそのポストは空席とする、社会科学研究所の所長が空席だからそれをやろう、というわけだ。面倒なことは一切やらないが実質的な権力は手放さないという虫のよさである。
 不破氏が社会常識にうとく、実務能力・大衆感感覚をほとんどもちあわせていないことは党内外で周知のことである。かって時の宰相佐藤栄作が「頭のいい不破君」といい「ああいう男を自分の秘書に欲しい」といった話は有名だ。
 ところでその「学術講演」だが不破氏はその講演のなかでつぎのようにのべている。

 「私たち日本共産党は、ソ連の解体のとき党の声明を発表しましたが、その声明のなかでソ連の崩壊を、社会進歩をさまたげる有害物・歴史の巨悪の解体と評価して、この事態を歓迎しました。それが正確な評価であったことは、それ以後十五年間の世界の動きによって証明されている、と思います。
 もう一つ重要なことは、解体の波がソ連・東欧圏だけにとどまったことです。この十五年間のあいだに、中国、ベトナム、キューバは、それぞれ社会主義をめざす独自の路線を確立して、大きな発展をとげています。社会主義をめざす国ぐには、世界経済と国際政治に占める地位と比重をますます大きくしているし、その傾向は二十一世紀にさらに加速されてゆくでしょう。」

 おおくはいわないとしても、このなかで「北朝鮮」について一言もふれていないのが不破氏のずるいところで、肝腎のところに頬かむりして招待相手に媚態を呈する彼の性癖が丸出しだ。
 そして「あなたがたが、壮大な未来をもった国づくりで、社会主義をめざす国ならではの優位性を発揮して大きな成功をおさめ、そのことが二十一世紀の世界的な発展の力となることを願って、私の話を終わりたいと思います。ありがとうございました。」というのが結びの言葉である。
 「社会主義をめざす国ならではの優位性」とはなにをさすのはもちろん説明なし、空文句の見本ではあるまいか。これは日本共産党にとっての恥というばかりではなく日本人民の恥といわねばなるまい。