アリョーハさん、あなたは各種統計を提供しながら自論
を展開されてこられ、私のような異なる立場(なのだろうと推
察します)の者との議論にも努力しておりましたが、これが最
後とはとても残念です。
あなたの努力には敬意を表しますが、その主張の内容につい
てはいささか混乱がみられるようです。以下、あなたの主張に
沿って、指摘していきます。
アリョーハ氏曰く、
・・・1、近代国家の租税を支払っているのは誰か?アダムス
ミス以来の<近代経済学>は、利潤、地代、労賃をそれぞれ独
自の収入源泉ととらえておりますので、・・・しかし、我々マ
ルクス主義者は価値を生むのは労働者の労働であり、利潤民、
漁民、自営商工業者)の労働が国の富の源泉である以上、・・
ですから、近代ブルジョア国家で租税の源泉は勤労大衆の労働
である・・・・
これは、そのとおりです。私も異論はありません、
如何なる税もその”源泉”をたどれば、勤労国民の労働が生
み出したもの以外ではありえません。
しかし、現代の資本主義社会では、その富は多くが資本家の
所有物に転化し、労働者にはその少ない一部を賃労働に対する
”報酬”として、支払われるという形で、労働者の収入に転化
します。
これを、所得の(富の)”当初配分(分配)”といいますが
。
この部分ではあまり、双方に異論はないようです。
しかし、
アリョーハ氏曰く
・・・2、 統計の謎 その1
A,スカンジナビアン氏が提出している統計資料はどれもが
実に不思議なものです・・
日本 02年
事業主負担 32,2%%
労働者本人負担 31,1%
税から 30,3%
その他 6,4%
スエーデン
事業主(資本側)負担 39,7%
労働者本人負担 9,4%
その他の税から 38,4%
消費税から、 8,6%
その他 4,3
%
スカンジナビアン氏はこれは<社会保障給付費>といってい
ますが、社会保障にもいろいろあって・・・・
これは、私は、<消費税をなくす全国の会>(共産党主導)
のパンフレット<消費税>15ページからの引用です。そのグ
ラフのタイトルは”各国の社会保障財源のうちわけ”となって
います。
また日本の場合は、<日本国勢図会>466ページの表の”
社会保障財源”からの引用です。
データソースを明示していますので、疑問がありましたら、
そちらをご覧になってください。
アリョーハ氏は続けて、、
・・・しかし、誰かが3割拠出し、3割自己負担で、残りが税
金の投入という日本の数字を見ますと、日本の<医療費>がス
カンジナビアン氏が提起した数字に近いのではないかと思いま
す。・・・
と仮定し、
・・・だとするなら、<事業主(資本側)負担>という項目は
、<保険>より、と改めた方がいいと思います。
この保険についても、・・・事実上労働者が負担しているも
のです。・・・・
と誤解した主張をしています。
では具体的数値を出しましょう。日本国勢図会の465ペー
ジの表に<社会保障給付の部門別推移>というのがあります。
その2002年度は以下のようになっています。
医療 26兆2744億 31,
4%
年金 44兆3781億 53,
1%
福祉・他 12兆9140億 15,
5%
内介護対策 4兆6995億 5,6
%
総計 83兆5666億 100
%
そして、上述の財源の表(次ページ)は
社会保険料 55兆8784億
63,3%
内、事業主負担 28兆4054
32,2%
内、労働者本人負担 27兆4731億
31,1%
税 26兆7140億
30,3%
内、国税 20兆5520億
(23,3%)
内、地方税 6兆1620億
(7,0%)
その他 5兆6924億
6,4%
内、資産収入 1兆6124億
(1,8%)
内、その他 4兆170億
(4,6%)
総計 88兆2218億
100%
となっています。私が提出したデータは日本・各国とも、社会
保障の給付費ではなく、その財源内訳です。
日本の場合は02年度の給付費は83兆5666億円ですが
、財源の方は88兆2218億となっていますので誤解されな
いようにお願いします。混乱の元です。
以降のアリョーハ氏の
・・・<医療費>が・・近いのではないかと思います。だとす
るなら・・・
は誤解に基づく混乱した主張です。
B,次に、アリョーハ氏は
・・・その税で不思議なのは日本以外の国では消費税が内訳に
入っていることです。税金は・・まとめてプールされ、そこか
ら・・払い出されるのですから、・・どの部分がどういう税金
でまかなわれているかということまでは普通は絶対に分りませ
ん。・・・税における配分比率をそのまま反映させたとも考え
られますが、それにしては消費税分が低すぎます。・・・・
と疑問を述べている。
これは、当然の疑問で、私も<全国の会>に問い合わせたが
、やはり税に於ける配分比率からの換算のようです。
因みに日本では、消費税の国税への配分は4%で、地方分が
1%であり、その国税については、04年の一般会計税収41
兆7470億のうち、消費税が9兆4070億で、23%を占
めている。
02年度のことではないが、04年度の日本の社会保障財源
の内訳がほぼ同じとするなら、
税から 30,3%
内、国税から 23,3%
内、地方から、 7,0%
であることから、消費税からは、5,4%くらいであると言え
よう。
(国税から算出。地方分は数値が小さいので無視し
た)
これを、他の税収は04年度のままに、消費税のみを10%
であると仮定すると、04年の一般会計税収は51兆1540
億となり、そのうち、消費税が18兆8140億となるので、
税収に占める割合は約37%となる。これだと、社会保障財源
に占める消費税分は02年の日本の場合、8,6%となるが、
これは西欧北欧諸国とほぼ同じである。
アリョーハ氏は、
消費税が25%であれば、日本では50兆円であり、
・・・単純に比例配分したのであれば、どの国でも・・数十%
にならなければおかしいです。・・・
としている。(実際には4%で9兆4070億なので、1%2、35
兆円、従って単純に25%なら、58,8兆円)
もっともな疑問ではあるが、
これには二つの要因があると思われる。
たとえば、
1、租税社会保障負担率がもともと西欧北欧諸国では日本よ
りるかに高いということがある。
つまり、分母がもともと大きいのである。
スエーデンの場合は租税社会保障負担率は98年では世界1
位となっており、GDPの52%を占めているが、同年の日本
は28,4%で、27位(OECD29カ国中、revenue
statisitics 65
~99より。前述 オランダの・・より)
つまり、この98年の数値を、02年度の日本にそのままあ
てはめると、日本の総予算規模は02年GDP500兆円とし
て、142兆円であ
るのに対し、スエーデンでは260兆円であるということにな
る。
(日本のGDPは97年くらいから500兆円前後を行った
り来たりで
ほとんど変化がない。よって、98年度も同じく500兆円で
よしとした)
そして、租税社会保障負担費のうち、社会保障に回される割
合はスエーデンでは63,1%(96年だが)日本では50,
6%(98年)であるので、さらに分母に差がつくのである。
仮に先の実額にあてはめると、
スエーデン 164兆円
日本 71,8兆円
日本を100として、228であることが分る。(分母が2
,28倍)
そして、これは私が前回に提出した、指数、すなわち、購買
力平価での比較では
95年度では 日本 100 に対し、ス
エーデン 202
00年度 日本 100
スエーデン260
の中間の年度として、98年度 日本 100 スエ
ーデン 228
という数値であり、こうした試算からも、00年のスエーデン
の対日指数260というのは現実性が高いことが伺われるので
ある。
これらの数値は98年のものからの推定であるが、(日本は
97年くらいから、GDPが約500兆円前後で殆ど同じなの
でこういう算定が可能であるが、、)実際の数値では00年の
日本の社会保障給付費の実額は78兆1272億円であること
から、上述の98年の71兆円というのはそう現実離れした数
値ではないことがわかる。(実数値からの検証)
2、次に、
その98年のスエーデンの税社会保障負担費の内訳では消費
税は13,5%をしめている。(前述のデータベースより)し
たがって、GDPに占める、消費税の割合は7,02%となり
、実額では、35兆円くらいということになる。これが98年
当時のスエーデンの会計勘定というこなのである。アリョーハ
氏の推定額50兆円くらいのハズというのとは、15兆円ほど
の誤差があるが、これはデータに基づく計算であるので私の数
値が正しいと思う。(実際には58,8兆円くらいなので、24
兆円位の差が出る。)
ではその差は何かということになるが、これは各種軽減税率
の適用範囲が非常に広範囲であることに由来すると思われる。
(つまり、社会的弱者への保護策である。24兆円規模の減免救
済策かなり大きい)
これが第2の理由であろう。
なお、96年度のスエーデンの同比率はグラフからの読み取
り値になるが、50%である。同年の対”国民所得比”では、
これは実に73,2%にもなるのである。
国民所得とGDPとの違いは日本国勢図会によれば、GDP
(1年間にある国の国内で生産された”富”の総計)から、機
会の損傷などの固定資本の減耗分を差し引いた部分であり、こ
の減耗分は次年度の引き続く生産活動のためには当然補填され
ねばならない部分であることから、社会の構成員によって、分
配可能な”富”をあらわす概念である。
(96年度のスエーデンの国民所得はGDPの68,3%で
ある。)
その分配可能な”富”の実に73,2%を国庫や基金に収め
ていることというのである。
98年度の対GDP比はさらに上がって、52%であること
から、その対国民所得費は76,1%にまで膨らんでいる。
つまり、分配可能な”富”の76,1%を国庫や各種基金に
徴収しているのである。
96年度の社会保障給付費の対国民所得比は46,2%であ
ることから、98年度では、同48,0%であると推定できる
。
つまり、分配可能な”富”の内、約半分が社会保障による再
分配にまわされて、低所得者の生活を支えるという構造になっ
ているといってよい。
因みに日本の98年度の対国民所得・社会保障給付比は18
,9%であり、02年では23,0%と伸びているが、その7
0%は高齢者関連の支出であり、社会保障が高齢者に偏在した
いびつな構造になっており、社会保障が真に国民全体のものと
なっていないことがわかる。
(日本の伸びは単に高齢化が進んで受給者が増えただけ。スエ
ーデンの場合は社会の高齢化はストップし、わずかに若返りが
見られる)
次の指摘です。 アリョーハ氏曰く
・・・・統計の謎 その2
謎といえば、スカンジナビアン氏が言う90年代にも社会福
祉は増加しているという説です。・・私が90年代は財政再建
の時代で、増税と福祉の切捨てが進行していると主張している
にも関わらず、
・・95年から、00年にかけて、(対日で)200から、2
60に増えている
というのですから首をひねらざるを得ません。・・・・
これは、90年代前半に保守派政権のもとで、大いに切り下
げられた、社会保障を財政再建とともに、立て直していったと
考えられます。
つまり、増税(保守派政権によって、25%の消費税も導入
された)と、社会保障の切り下げを大いに行うことによる、経
済の活性化と、財政再建(つまり、新自由主義政策です)は全
く失敗に終わってしまったのです。そのため、94年9月に保
守派政権は1期のみで敗退・崩壊しました。ここに注目すべき
です。
これは97年に日本の橋本行革政権が9兆円の増税及び社会保
障・福祉削減策を強行したが、その結果大不況となり、翌年に
は11兆円もの歳入減を招いてしまったことに非常に良く似て
います。
(結局財政再建どころか赤字を拡大してしまったのです。)
その橋本政権は参院選で歴史的大敗を喫して、やはり、ただ
の1期で退陣せざるを得なかったのですよ。
その大不況は長期に渡り、やっと、この2年くらいは好景気
(といっても一部のみに限定)というが実に97年から、6,
7年続いたのですよ。
やはり、私が主張するように、
・・・帝国主義ブルジョアジー自体が財政赤字の根源なのであ
る。
(新自由主義路線はその現れ。保守派ビルド政権の失敗を見よ
! 橋本内閣を見よ!財政はむしろ大幅に悪化した)
ブルジョアジーのだぶついた資金・資本を俺たちに(労働条
件の改善)そして、社会に(社会保障の充実)還元せよ!!・
・・
これこそが、財政再建と経済の活性化再建の道なのであると
言えるでしょう。
しかし、エピソード的には一時的かつ、部分的な社会福祉の
削減予算の策定はありうるでしょう。彼らも、自分たちの財政
路線が2%の経済成長モデルを前提としていることを表明して
います。
続けましょう。 アリョーハ氏曰く
・・・最初にもう一度確認しておくと、94年に返り咲いた社
民党のカールソン政権を待ち受けていたのは国家財政の破綻状
況でした。
(これ自体が保守派の路線・大衆増税と福祉の切捨て路線の大
失敗を示しています。そしてこれは偶然ではありません)
・・累積赤字の総額がGDPの100%近くにまで膨らんでい
たのです。
(実際には77,9%、日本は現在154%、隠れ借金まで含
むと201%)
そこで、ペーション蔵相は・・今後4年間に増税策を継続す
ると共に、福祉の削減などを中心に570億SEKの赤字削減
を行うことを発表しました。
翌、95年には、財政はもっと逼迫しましたから、これに加
えて、さらに、200億SEKの追加赤字削減策(児童福祉を
中心とした、福祉予算の削減策)を盛り込んだ予算を策定して
います。
ですから、スエーデンの福祉予算は90年代の後半に確実に
削減されているのです。・・・・
これは、94・95年のことであることを先ず、頭に入れな
ければなりません。スエーデンの選挙が9月に行われることを
考えると、政権発足は10月前後、これら諸国は暦年で動いて
いることから、実質の政権始動は、翌年・95年の1月からで
あると考えてよいでしょう。
日本は翌年4月1日からなので、9・10月だと、年度のち
ょうど半ば
ですが、、。
ですから、この時期はまだ、保守派の大失敗の後を引き継い
だ直後であり、その時期の予算編成について、アリョーハ氏は
指摘しているのです。
まず、( )で指摘しておいたように、保守派の新自由主義
路線こそがその財政破綻状態を招いたのであることをアリョー
ハ氏は肝に銘じて置くべきでしょう。
その単純な継続はさらなる大破綻を招くだけに過ぎないので
すよ。
そうは思いませんか?あなたが政権担当者なら、やはり、”
大衆増税”と福祉切捨てによる財政再建しか考えられないので
すか?
やはり、そうなのでしょうね。それとも、だから”革命”で
すか?
(この辺はもしそうだとすると、連合氏の・・改良などありえ
ないのだ!という極めて反動的な主張にそっくりですよ。労働
者諸君、諸君が享受している”福祉”のせいで、社会が持たな
くなっているのだ!?
・・実際は帝国主義ブルジョア自体が赤字の根源・・
だから、福祉なんかには目をくれずに革命だ!ですか)
そうした路線の母斑を最初は受け継ぎながらも、そこから如
何に路線転換を図っていくのか??そうした問題に直面してい
たと考えるべきでしょう。
いいですか、あなたの言う大衆増税と福祉の削減による財政
再建しかないのであるなら、労働者の”せい”で、社会が持た
なくなってきているといういことなのですよ。
・・・俺たちがうけている”福祉のせい”で社会が持たなく
なっているのだって?改良的なあり方などありえないのだって
?だったら、俺たちの労働条件の改善だって、ありえないって
ことになるじゃないか!誰だそんなことを言うやつは!!・・
・ということに当然のことながら帰結するのですよ。(改良な
どはありえない!というのは非常に硬直した極反動の連合氏の
主張だが、あなたの主張もそこまで言ったつもりはないにしろ
、結果的には非常に良く似た主張になってしまうのです。)
そして、そうした財政再建策こそがビルド政権も橋本政権も
失敗したのであり、政治的には最もうまくいった小泉政権にし
ても、財政をひたすら悪化させる一方ではないですか。そうし
た路線こそが破綻し、いや破綻どころか国家の破産を招く以外
のなにものでもないのですよ。
あなたの言うペーション蔵相の予算策定も、もっと具体的に
定量的な数値が必要でしょう。
570億プラス200億=770億SEKの福祉削減と、増
税を伴う、予算編成も、そのうち、福祉削減がどういう項目で
、合計いくらなのか、増税もどういうそして、誰に対する(こ
れが重要!ブルジョア増税しか解決策はないと思うが)もので
いくらぐらいなのか、、ということが大事でしょう。
さらに、1年分の予算だけではなく、5年くらいは俯瞰的に
捉える必要があるでしょう。アリョーハ氏の示した予算は95
年分だけであり、しかもそうした詳細な中身は不明である。
そうした検証がなくて、・・・スエーデンの福祉予算は90
年代の後半に確実の削減されている・・・と主張するのは早計
にすぎるでしょう。
以下に、スエーデンの主要経済指標を掲げておきます。
GDP成長率 失業率 財政赤字%(対GDP) 累積債務 %(対GDP)
90年 1,6 1,7 4,0
42,7
91年 ー1,1 3,0 ー1,1
51,4
ここから、保守派ビルド政権
92年 -1,6 5,3 -7,4
68,6
93年 -2,4 8,2 -11,9
73,7
94年 4,1 8,0 -10,8
77,9!!(最悪)
ここから、社民党政権始動
95年 3,7 7,7 -7,9
76,9
96年 1,1 8,0 -3,4
74,5
97年 2,0 8,0 -2,0
74,0
98年 3,0 6,5 1,9
70,7
99年 3,8 5,6 1,9
63,5
00年 4,3 5,6 5,1
52,8
以上<オランダの・・巻末資料集より>
00年以後はYAHOOで検索できます。
同資料によれば、直接税と間接税(消費税等)、国税と地方
税を合わせた個人所得への98年度の実質化税率は34%であ
る。
また、消費税への軽減税率は
食品・外食・交通費・ホテル、宿泊費 12%
新聞、文化関係 6%
教育・医療 0
%
となっている。
続いて、 アリョーハ氏曰く、
・・・・減少しているはずの金額が増大しているのはなぜか?
この謎を解く鍵は急速な失業の増大があります。
通信大手のエリクソンや自動車大手のボルボが大規模なリス
トラを行い・・大量の失業者が街頭に放り出される中で、失業
給付は政府がどうしても出費しなければならない・・一方にお
いて、
社会福祉の質を切り捨てて社会保障費を圧縮しようとしても
、他方において、他の社会保障費が膨れ上がるという現実がス
エーデン社会にはあったのです。・・・
こうした主張は慧眼で、敬意を表するに値します。
そういうこともあったかもしれませんね。
私がいろいろ検索してみた”スエーデンもの”にも似たよう
な記述があ
りました。
ただし、単に哀れな失業者を食わしておいてやるというよう
な消極的な労働市場政策ではなく、失業者の失業の原因を除去
し、新しい成長産業に積極的に移転する。そのための学習教育
援助が徹底しており、あらゆる教育機関が大学まで、無料で、
社会人(無論労働者ですし、失業者もいるでしょう)にも広く
解放されている、、本人に面接しながら、再就職のための再教
育プログラムを提示・援助するとかのシステムが機能している
のです。(遠山哲夫氏の北欧通信を参考に)
つまり、積極的な労働市場政策なのです。
従って、数年間の推移を追う必要があるでしょう。そうした
再教育システムの効果が現れるには時間がかかるでしょうから
、、。
そして、私が先に提出した主要経済指標を見てください。
失業率でいうなら、
95年7,7% 00年 5,6%
とむしろ改善されているのですよ。
ボルボやエリクソンのリストラはあったが、失業率としては
改善されている、、ということです。
ですから、95年と00年の比較をするなら、その途中では大企
業のリストラもあったが、失業率は改善されているのです。
従って、アリョーハ氏の指摘は重要ではあるものの、やはり
、当たっていないといえるでしょう。(96・7年との比較で
は正しいですが)
つまり、スエーデンは産業構造の転換中なのです。
そして、それは今のところ、うまく機能しているということ
です。
(新しい産業、企業に失業者が吸収されていってる、、という
こと。)
こうした政策を観察すると、日本の失業給付が如何に、消極
的かつ、惨めなものであるのかがよく分ります。
ここには国の産業・労働政策への哲学など全くないのですか
ら、、。
これではスエーデンや他の北欧諸国に対抗していくなど土台
無理でしょう。
日本にあるのは財政支出カットのみです。
その結果、ホームレスと自殺者が増えていくという馬鹿げた
ことになっ
ているのですから、、。
そうです。日本の失業者は未来への希望もなく、ただ惨めな
だけなの
です。
なお、詳しくは、
http--www.ritsumei.ac.jp-~yamai-9kisei-u
を参考にしてください。
続けましょう。
・・・また、この謎を解く鍵はスカンジナビアン氏の言った<
購買力平価>という言葉にもあります。
つまり、こうです。95年には1ド=7,03SEKでした
。これが00年には1ドル=9,81SEKまで下落していま
す。・・この通貨レートで計算すると、・・スカンジナビアン
氏はこのようにいうべきだったのです。95年と00年の福祉
の水準が同じであるというためには、00年の指数は260で
はなく278にならなければならなかったのだが、実際には2
60にとどまっていたのだから、スエーデンの福祉水準はこの
間(90年代後半)、実質的に低下したのである。・・・・
ここは、アリョーハ氏の示した数値が購買力平価なのか為替
レートなのかが分らないのでなんともいえない部分があるが、
、。
ただ、アリョーハ氏は肝心のことを忘れているようである。
これは日本円とSEK(スエーデンクロネの略。クローネと
言う単位はノルウエーでも使要されているので区別するため、
SEKと表記している)の比較であって、ドルとの比較ではな
いということなのである。
だから、アリョーハ氏は付け加えてこう言うべきだったので
ある。
・・・一方、円とドルとの通貨レートは95年はこれこれ00年は
これこれ、従って、ここから計算すると、”円”と”SEK”
との通貨レートはかくかくしかじかである・・・と。
アリョーハ氏の主張は肝心の通貨レートが購買力平価なのか
どうかにも触れていないし、さらに、ドルと円とのレートにも
触れていないのでなんとも言いようがない、、というのが正直
なところです。
少なくともドルと円とのレートが分らなければ”円”と”S
EK”との購買力平価での比較はできるわけがないのは誰でも
分ることだと思うのだが、、。
そして、この<オランダ・・>の筆者は円とSEKとの購買
力平価での(かれこれのレートでの)比較を既に行っており、
その結果を示しているとしているのである。
従ってこの部分は私はこの筆者の主張を”是”とし、アリョ
ーハ氏の主張を”否”とします。
購買力平価での比較と言うことなら、物価差を調整済みの生
活実態での比較と言うことになるので、日本円をそのままこの
指数に当てはめて日本円表示すればよいということになるし、
そのほうが分りやすいので、私は日本円表示で示したのである
。
なお、既に別の観点から、私は試算を提出している。
それは、租税社会保障負担率の対GDP比や対国民所得比か
らの換算値であり、これは何何%と言う数値がはっきりと分っ
ている。
それによれば、98年度では社会保障給付費は日本のGDP
に換算して、 日本 71,8兆円 スエーデン 168兆
円に相当することが分ると試算した。
これは日本の00年の実額である、78兆1272億円と(日本国勢
図会より)と比較してもよく合致した数値であるとその信頼性
を検証した。2年で6兆円の伸びであるが、では00年の2年後の02
年の実額は83兆5666億円だから、この2年間では5兆5千億の伸
びで、やはり、かなり、信頼性の高い数値であることが分る。
つまり、98年では指数は228なのである。
95年の指数202はドル実額表示付なので間違いないとして、
そこから、3年後、00年への中間の年が228というのはそう
おかしくない数値だろう。そして、さらに、付け加えれば、こ
れは、日本が95年当時から97年にかけて若干の経済の伸びはあ
ったものの、500兆円前後で殆ど変わらない(経済の大停滞)
のに対し、スエーデンでは、95年以降平均して、3%程度の伸
びを示しているのである。この伸びの分を228と言う指数に
加味しなければならないだろう。そうすれば00年の対日260と
言う指数はそうおかしい数値ではない。
なお、購買力平価ではないが、<世界が分る・・地図>によ
れば、日本とスエーデンの一人当たりGDPは日本を100と
して、スエーデンが99であり、両国は同一レベルであること
がわかる。
つぎは統計の謎 その3 であるが、今日はこのくらいに
します。
ではまた、、、といってもアリョーハさんはこれが最後だそ
うです。
仕方がないので、諸兄の皆さんに論点を提供するつもりで続
けます。