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レバノンの戦争

2006/07/31 どろ 50代 会社員

 レバノンのビントジュバイルでの戦闘はこの戦争の行方を左右しそうです。

 情報によればイスラエルのメルカバ戦車が破壊されたらしいです。アラブ世界では敵なし、世界一安全と言われていた戦車ですが。この戦車を回収するために、イスラエル軍はエゴズ大隊を投入したのですが、ヒズボラ兵による待ち伏せ攻撃を受けて、大隊副官が戦死するほど大きな損害を出したとか。
 このエゴズ大隊がひとくせもふたくせもある部隊でした。
 レバノンでのゲリラ活動に対抗するためにつくられた特殊部隊で、「森の戦士」と称される、テロや誘拐も任務としていた部隊です。

http://arab.fc2web.com/israel/egoz.htm

>1985年4月、シリア参謀本部の将校2人が誘拐された。しばらく後に、彼らはシリアに戻された。イスラエル軍の他部隊の兵士が挙げているように、これが「森の戦士」の手によるものであるという信頼すべき情報が存在する。

 このたびの作戦行動はヒズボラが2名の兵士を拉致するという犯罪行為を働いたからというのが口実にされていますが、同じ事をエゴズ大隊がやっていたんですね。敵がやったらテロ行為で、同じ行為を自分たちがやって成功したら英雄ですか。なんと身勝手な理屈でしょうか。

 他方でイスラエルは予備役を招集するくらい、思いがけぬ苦戦を強いられています。
 今後は招集した予備役が国内基地を守り、正規軍が全面投入されるでしょう。
 明らかにイスラエルはヒズボラをなめていたのです。
 たしかにヒズボラは航空機も戦車も持たない、ただのゲリラです。
 そんなものにイスラエル軍が苦戦したとあっては、力で押さえつけているアラブ世界の秩序が崩れるかもしれません。
 イスラエルとしてはここでヒズボラに調子づかせては大変なことになります。
 ですからイスラエル軍はここでヒズボラの頑強な抵抗を排除して戦況を一挙に変えるためには、ビントジュバイルのヒズボラをせん滅するくらいの戦果が必要だと考えていると思います。
 地上から押し寄せたのでは損害が増えるばかりだとすると、空爆でビントジュバイルの街を焼き払ってしまうしかありません。
 近日中にこの作戦は恐らく実行されるでしょう。
 勝つためにはますます汚い戦争に踏み込まなくてはなりません。
 やりきれない話ですが、これが戦争です。

 イスラエル軍の戦力は圧倒的ですから、ヒズボラは大損害を受けるでしょう。
 が、それに勝る志願者が押し寄せるに違いありません。
 誇り高い国民ならば、自国領土を外国軍に好き勝手荒らされて黙っていることなど出来ませんから。
 力のぶつかり合いは罪のない人たちを巻き込み、際限なく殺すことにつながります。するとますます憎しみが増大し、ますますテロを誘発することになるのです。互いに汚いやり口で応酬する、終わりのない戦争です。こういう戦争はイスラエル軍自体を腐敗させることになるでしょう。まるでかつて中国大陸で腐り果てていった日本軍のカリカチュアを見るようです。

 軍事力には破壊力はあっても問題解決能力がないという例証がまたひとつ増えそうに思います。人類はいつまでこんな愚かなことを繰り返すのでしょうか。

 アメリカはテロ被害国としての全世界の同情を不正なイラク戦争で失ってしまいましたが、その上こんなに野蛮なイスラエルの行動を支援したのでは、国際社会の誰をも納得させることができません。テロとの戦いというお題目も次第に説得力を失うことになるでしょう。
 こんなアメリカにくっついていくために憲法を変えたのでは、日本は将来きっと後悔するに違いありません。