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小林多喜二「党生活者」を読んで思うこと

2006/07/13 寄らば大樹の陰 60代以上 苦闘するフリーター

 小林多喜二であれば「蟹工船」が決まりだ。
 だが多喜二が虐殺される前年の1932年8月25日に発表 された「党生活者」を読んで、当時の活動家の凄さと、その献 身性に深い感銘を受けた。
 小説といえ、これは非公然化されていた当時の日本共産党の 、常任活動家の厳しい党活動、軍事工場で多喜二自身が行って いた公然・非公然の工作の体験に基づく小説である。
 事実として当該のモデル的な軍事工場が存在する、小説の発 表の翌年に多喜二は逮捕され、その日内にブルジョワジー・支 配者階級の憎悪を一心に受けて若干29歳で虐殺される。
 この小説「党生活者」は、虐殺の後に、中央公論で別の題名 で伏字だらけで発表されたてはいるが、正式な発刊は戦後にな ってからである。
 1930年代前半とは、満州事変をはじめ日本の中国侵略戦 争が本格化し、戦時戦争体制がますます強化されるころである 。
 その中で工場のおやじ・資本家を欺き、官憲の目をくぐり抜 け、工場に細胞を作り、工場に非合法のビラを配り、労働者大 衆をストライキに組織していく。
 それは現代とは比べ物にならない権力との、弾圧との闘い、 しかもまるで各々の労働者の心臓のうごめきに触れるような、 その苦しい息吹さえ聞こえるような密着した闘いであり、また いろいろと工夫を凝らし、底抜けの明るささえ失わず、右翼分 子の妨害を跳ね除け闘い取られていく。
 以前このサイトでも、生活給すらままならぬ、共産党常任の 苦しさや、しんどさを訴える投稿が何通かあった。
 だが戦時下における「革命党」、「労働者階級の主体」には 、小林多喜二がこの「党生活者」で訴えるような厳しさが、当 然のように要求されるのである。そうでないと革命的闘いはお ろか、ストライキも打てず、労働者の生活すら守ることは出来 ないのである。
 拉致問題、核開発問題、そしてテポドン騒動をきっかけとし て、この国は急激に戦時体制下に突入した気配すら感じられる 。
 小泉純一郎を先頭に、安倍・麻生・額賀達の言動は、何があ ってもこの国を戦争に引きずり込もうとしているにしか見えな い。
 中国・韓国・ロシアそしてアジアの人々の多大の懸念をあざ 笑うかのように、戦争体制が、戦前への回帰が着々と進行して いる。
 1930年代前半的状況は、すでに突破されているかも知れ ない、私たちにとって大量の小林多喜二の輩出が、改憲反対を 軸にした戦後最大級の闘いが、統一戦線的な闘いが要求されて いるのである。