私もテロには反対です。こう言うとお前の話は前に言ったことと矛盾してるじゃないかと言われてしまいますね。仮想の話で申し訳ありませんが、仮にアルカイダのテロリストが日本の新幹線を爆破するテロを仕掛けたとしましょう。そして何らかの事情で私がその情報を知ったとしましょう。その場合私は躊躇なく警察に通報しますし、もし私の手に武器があり、私がテロリストを射殺しなければ爆破を止められないという極限状態に陥った場合、やはり私はテロリストを射殺するでしょう。逆にアルカイダ又はイラクの地下組織がバグダットの米軍基地を爆破しようとした場合、私はビビッて目を瞑るでしょう。もしスンニ派のゲリラがシーア派のモスクへの自爆攻撃に遭遇したら私は逃げ出すでしょうね。「先進国」の「文明人」が余計な手出しをするな、とどやされるどころか、自分が殺されてしまいます。多分射殺された橋田さんの状況はこんなだったのでしょうか。もっとも、じゃあ、お前も手伝ったらと言われると、私にはそんな度胸はありませんけどね。以上は幸い私の単なる妄想ですし、人の国では構わないが、自分の国では厭だと言う、かなりひどい話ですが、現実のテロにどう対応するかということは、本当に難しいと言うより、辛いことですよね。
安重根はテロリストとして日本で処刑されましたが、朝鮮半島では民族的な英雄であり、義人です。ツアーリズムに反対してテロ事件を惹き起こして処刑されたロシアの革命家達、そういえばイスラエルの現在の指導的政治家たちも、その昔、シオニズム運動でのテロリストだったと言う話もあります。
正直言って私自身、テロリズムをどう評価するか、確乎たる結論はありませんが、現実問題として、ブッシュ政権の掲げる「テロとの闘い」が欺瞞のスローガンである以上、この錦の御旗には真っ向から反対すべきだと思いますし、アメリカやイスラエルが「テロ」というレッテルを貼り付けて、弾圧する、イラクやアラブ民族の抵抗闘争、確かに、それは人質、暗殺、無差別殺戮、自爆攻撃等、そして事実上の内戦という凄惨極まりないものですが、現実にはこれが、イラクの、アラブの抵抗闘争なのではないでしょうか。彼等にとって、それ以外に何か有効な選択肢はあるのでしょうか。そしてブッシュ政権の軍事覇権の野望に、血を流して立ちはだかっているのは、世界で唯一、彼等の闘争であるというのが現実なのではないでしょうか。テロとレジスタンスの区別は我々の議論の場ではできますが、戦場の彼等にとっては全く無意味ではないでしょうか。それよりも、我々がなすべきことは、この彼等の血みどろの闘争に貼られた「テロ」「テロリスト」というレッテルを引き剥がすことではないでしょうか。
ちなみに、自衛隊は直接的には誰も殺さず、殺されず無事に戻って来ました。ホッとしますよね。でも「テロリストに惨殺」された香田証生君はじめ、五人の日本人は帰ってきません。