今年(2006年)は全国規模の大型選挙がないからか 、ほぼ毎月(或いは隔月ごと)のように党三役級の講演会が全 国のどこかで開かれているようだ。某県でも5月GW明け、市田 忠義氏がハードスケジュールのなか駆けつけて来られ、滞りな く講演が開かれたらしい。「らしい」と言わざるをえないのは 、参加してくれた友人の感想によるものであるがゆえである( 彼は革新無党派を自認するが共産党アレルギーはない。彼もま だ非党員だが時間にゆとりがある限り活動に参加していて民青 の皆とも顔馴染みになっている。ただ学習に参加しないという 点はぼくとはかなり違う。ぼくは所要で不参加)。
早くから本紙(日刊紙)をはじめ各媒体でアナウンスがなさ れたせいか、会場はほぼ満席となったそうである。 いや“成 功”の最大の要因はクチコミの威力と言うべきなのかもしれな いが・・・。ただ、同世代若者は数えるほど(やっぱり!)。 ベテラン党員と中堅党員それにゴリゴリの党支持者層ばかり が目立つ講演だったらしい。とはいえ「参加見込み者数を上回 った」とのことだから主催地元機関からすればこれは“想定内 ”というべきだろうか。手段が目的にスリ変った動員主義は改 められなければならないとは思うが、青年層参加者数がオジサ ンオバサン達のそれを上回るそんな“想定外”が実現する日は まだまだ先か・・・
講演プログラムは市田氏の出身地や略歴紹介から始まったと いうが、カレント・トピックス(時事の諸問題)が要所要所に ちりばめられた、可もなく不可もなしといった感じの凡庸なタ ッチで終始していた、というのが彼の率直な感想のようだ。
今まで市田氏といえば、中央常任委員の中ではある種の異色 な存在感があったように思う。孤高な行き方を標榜するそんな 親しみの湧きにくい理念先行型ではなく、地に足のついた難波 (なにわ)の生活実感派としてのイメージが強く、そういう点 では好感のもてた数少ない党人だった。長く労組で地味な取り まとめ役に苦労されてから府委員長専従を経て中央委員、国会 議員になったという経歴も、不破氏や志位氏とは似ていないと 思う。経歴こそやや違うだろうが一時期の穀田恵二氏にもやや それに似た庶民性が感じられたものだ。
両氏は奇しくも出身地が関西、それぞれの大学も地理的に近 いとか(ちなみに、かつて不当に党除籍になった有田芳生さん は穀田氏の出身大学と同じで、生れも同じ京都府だとか)。 庶民的なムード(共産党流の表現なら「大衆性」か?)と時折 り出る方言がなす妙か、ハタ目からみると「共産党のエリート 」的なとっつきにくさは感じられない。そういう意味では「関 西ブロックの党員の方々が羨ましい」、とは民青メンバーも無 党派友人も口を揃える。
『日曜版』のエッセイによると、市田氏講演ではほかの三役
級にはない人気?コーナーがある。「一問一答タイム」である
。気難しい「事前通告用紙にご記入ください」などという妙な
制度はもちろんなく、誰でも気軽に質問できる、そんなざっく
ばらんな気安さがウリだとのことだ。近県で市田講演予定が入
ればどうせエリアリーダーが執拗に(笑)誘い出してくれるだ
ろうから、一度、質問してみようかなぁ・・・
ただ、ざっくばらんとはいえ、暗黙裡のタブーはないようで
やっぱり「あるのでは?」とみるのが健全な(?)感覚なのか
もしれない、残念ながら。
今までの未確認情報だと「市田さんの講演と言えども聞いて
はいけない分野がある。それは党内民主化なかでも水平間異論
交流の可能性(またはその不可能性)だよ」だとのことらしい
。「もしそのタブーを冒したら市田さんの場合ならつまみ出さ
れちゃうことはないけど、居たたまれなくなるはずだよ、絶対
、会場の空気が凍りついちゃうこと、間違いなし」とも。党に
ついては聞きたいことは山ほどある、のが党内外を問わずおお
かたの正直なところなのだろうと推定するが、それは市田氏や
穀田氏辺りが第一線級を勇退されてから聞けばいい、それまで
は気長にガマン。・・・というのが“共産党的な良い子”(?
)なのかもしれないが、それはムリな相談というもの。
多少とも党の実態を知る者で且つ党員であれば、不破個人崇
拝が雲散霧消されない限り、“思想的オフサイド”の実践(異
支部間異論交流)は査問の口実になることはイヤというほどわ
かりきっているはず。
やはりここはこのサイトの持つ救世主的メリット、《精神衛
生的セーフティー・ネット》の存在にかけるっきゃないだろう
、というのが本音なのである。
【PS】:最近、読者層の拡大が進んでいるのかよくわからない が「このサイト、閲覧してるんだ。党員の人たちってオレたち の想像を絶するほど苦労の種を抱えてんだなぁ。でもおかげで 国内政治のことも興味もつようになれたし、みな本音で書いて るようだし。ネットの新聞読むよりもずっと面白いや」との声 を耳にするようになった。それに僅か1人とはいえ近々「投稿 デビューするゾ」宣言をした友人が現れたことは一読者として もとても嬉しい。