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さつきさんにお礼とお願い

2006/07/06 千坂史郎

 あなたさまの丁寧なお礼の文章を、いま7月6日0時台に拝読させていただきました。気づかずに、申し訳ありませんでした。

 渡辺一夫さんの書物に、大江健三郎氏のこと、という一節がありました。筑摩書房の比較的小さな版の単行本です。
 渡辺氏のお宅に大江さんが遊びにきていた。大江さんの奥さんに電話する用事が生じて、渡辺氏は「これから(大江)先生が電話に出ますから」と言ったら、大江氏が後日その電話の言い方を真剣に抗議する手紙をよこしたというのです。
 渡辺氏は作家として世間に出た大江氏を世間と同じように、「先生」と呼んだ。大江氏は「さん」付けで呼んでほしかった。
 この辺から大江氏と渡辺夫妻のゆききのことなどがつづられています。

 私たちは、関幸夫さんのような党員知識人や、渡辺一夫・大江健三郎師弟のような知識人のように、ものごとを予断や立場からだけではなく、虚心坦懐にリアルに公正にものごとを見る目を培いたいと、己を省みて忸怩たるものが多い小生自身が、そう思います。

 人間も、投稿している文章だけは判断できません。以前、私は朝鮮問題についてよくわからないことがあるから、どうか千坂が書いてほしいという丁寧なメールをもらったことがありました。私は遠慮しました。ご本人が懸命になって北朝鮮やイラクの戦争を必死な思いで書いておられます。
 書き言葉のむこうに、懸命に戦争阻止を願う人物ならば、その意志だけは尊重したいものです。
 知識や論理が間違っていても、庶民がしんそこ平和を願うときの熱誠さをわが敬愛する古在由重さんは『草の根はどよめく』と本にあらわしました。

 この掲示板で、いわば仲間うちに近いひとびとの相互批判の論理と倫理を確立されるならば、川上真一さんがおっしゃるように、相手の敵に対する批判の力はさらに高まります。

 どうぞ、たしかな見識をもつさつきさんが、同性のいさみ足の向こう側にある原動力を理解してあげてください。むろん友好的批判は当然ですけれども。