8月15日の靖国はもう別世界。まるで60年も前にタイムスリップしたような異様な世界が、九段坂周辺を取り巻いていた。
「公約どおり参拝する」と強弁して7時半に首相公邸を出た小泉に靖国の社は、横殴りの、アジアの人々や戦争犠牲者の「なみだ雨」を激しく降らせた。
だか現実の靖国は、ヤクザと右翼、軍服姿の老人たち、そこに議員バッチをつけた何もわからぬ小泉チュウドレンの国会議員がこそこそ歩き、「日本会議」を自称する黒ずくめの男たちが境内正面を占拠し、さまざまな差別排外主義丸出しの横断幕が掲げられ、天皇陛下万歳、日の丸の旗がはためく。まるで靖国は右翼戦争主義者の「解放区」になった。
そこに何万、ことによっては何十万と知れない若者達が、ケータイやデジカメ片手に押しかける。
小泉が首相になって初めて靖国に参拝したあの8月13日は、境内を武装した右翼軍団支配し、街戦車が怒鳴りまくっていた、しかし境内の管理は間違いなく警察権力が握っていた。だが今年はそれが様変わりしていた。
靖国全体を右翼が支配し、人々はそれに黙ってそれに従っている。そんな雰囲気だった。
これが戦前回帰の姿なのか、戦争する国の靖国の姿なのだろうか。
韓国から200人、台湾から50人の先住民の方々が小泉の靖国参拝反対の声とデモと座り込みなどを行った。
しかし、それを支える日本人は、余りにも少なく無力だった。抗議の声は余りにもか細かった。
「安倍政権」になればこの風景はより強化されるだろう。
私たちはそれを許すのか、また「アジアの人々のなみだ雨」を期待し、傍観するというのか。
靖国をこのまま存続させていいのか、全てが問われている。