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小泉退陣に思う

2006/08/28 音 重子 30代 給与生活者(連合系役員労組、社会市民連合元代表幹事)

 「小泉さんは、しがらみを断ち切ってエライ」などという、声が、充満したことがありました。一方、亀井さんらが悪者にされました。

 しかし、小泉さんは、たしかに自民党から郵政族は追い出したが御自身の支持基盤は何ら痛んでいないどころか、利益を受け る側なのです。構造改革によって、利益を得るのは、小泉さんを強力にサポートするアメリカと一部財界(金融資本、一部大手輸出企業)のみ。一般庶民は、既得権益叩きに溜飲を下げたが、一つも良いことはありません。

 亀井さんのほうが、政調会長時代、無駄な公共事業を2.7兆円もカット。建設業協会から兄の選挙で応援してもらえないという報復を受けています。亀井さんのほうが実は「政策本位」ではないでしょうか?

 小泉さんこそ、露骨な利益誘導です。小泉さんの政治の元では、しかし、政府と企業は「癒着」ではなく、「一体化」しているのです。

 「癒着」とは、政府・自民党と企業がそれぞれ主体性があればこそ起こりえる話です。しかし、小泉政治では、経済財政諮問会議や規制改革・民間開放会議を大手企業の代表が占拠している。
 「官業一体」なのです。「癒着」は起こらない。だって、一体なものはこれ以上くっ付きようがない。黒いものは、これ以上汚れないように見えるのと似ています。亀井さんがダーティーなどと一部マスコミは言いましたが、亀井さんのほうがまだ汚れが少ないから、汚れる余地があるといったほうがいいのではないでしょうか?

 全くしかし、正確な情報が伝わらないことによる世論誘導に戦慄を覚えます。そして、自民党議員がわが身かわいさから次々安倍官房長官支持に切り替わっていく様子に、民主主義もあったもんじゃないという思いを一掃強めました。

 民主主義が成熟しているから、憲法9条を変えても戦争は起きない、と断言し、改憲を主張する人もいます。しかし、ナンセンスです。

 自民党草案が通れば、「公の秩序」の元、人権は制限される。
 思うように、戦争にも反対できないでしょう。「民主主義が成熟している」などという人が、そういうときに体を張って、戦争に反対できるかといえばそれは出来ないと思います。その人が、誤った構造改革や、共謀罪に必死で反対したか?恐らくしていないでしょう。このような人に、「民主主義が成熟しているから・・」などという資格はゼロです。

 そういえば、浜口内閣では同内閣の構造改革に反対するものは国賊のような雰囲気でした。そこで醸し出された雰囲気が、結局、政党政治の命脈を絶ったように思えます。軍部独裁を支持する雰囲気につながっていった。

 浜口総理は右翼の「天誅」に倒れましたが、小泉総理は靖国参拝により、「天誅」を避けています。そして、自分への反対派に右翼の矛先を逸らしています。

 小泉さんよりは安倍さんのほうがより、ネオコンである。
 これを「脱小泉」とはマスゴミと言われてもマスコミは仕方がないでしょう。

 小泉さんがまだ、上辺はリベラルで、建前護憲、戦争も侵略と認めていますが、安倍さんは違う。金田一少年ではないが「爺ちゃんの何かけても」憲法を変えにかかるに違いありません。

 小泉さんで奪われた言論の自由。その状況の上に、ネオコンによる、安倍独裁が実現する。

 自立した個人が連携していくということが大事だと思います。
 そういう意味での組織は大事だと思う。確かに私自身は、そういう意味では、労働組合と民青同盟には心から感謝しています。どちらかが欠けては今の私はなかったと思います。

 バラバラの個人がファシズムに吸い寄せられるような構造が一番今危険だと思います。小泉さんの靖国参拝が、参拝強行後は支持が跳ね上がるのも、そういう「強引さ」に支持が集まるということなのでしょう。(それと、中国、韓国への単純なアンチパシ-。)戦前は、封建的な風土によるファシズムだったが、今はバラバラにされた個人が、強力な権威に頼ってしまうのが怖い。

 政党も頑張って欲しいが、私には、少なくとも合わなかった。
 ここもまた残念ながら、権威主義が色濃い風土だった。改革が必要だと思います。自立して考えるようになった結果、政党と考え方が合わなくなるのは皮肉ですが、仕方がないことでしょう。

 私自身は、「党」より緩やかな、バーチャルな市民の連合体が今必要ではないか。そう思い、社会市民連合はスタートしたわけですが、今後ともよろしくお願いします。私自身は、組織体制変更により、代表幹事を降りました。代表以下、役員体制は総入れ替えです。三井マリ子さんに、バーチャルな市民の連合体であることを条件に代表になっていただきました。また、私が旧知の企業経営者にもマネージメント・広報面で支援を頂くこととしました。

http://www.geocities.jp/socialcitizenunion/

 政党には大いに頑張っていただきたい。組合も頑張りたい。しかし、もうひとつ、社会的に自立した市民の連合体を広げたいと考えるのです。