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一般投稿欄

無党派通行人様への返答

2006/08/17 澄空

 はじめまして、無党派通行人様。

 正直なところ、なぜ、このような疑問が私に投げかけられるのかわからず、“なんのこっちゃ?”という思いですが、とりあえずお答えします。

 私の関連投稿は、「飛行機で突っ込んだテロリストが生きていた」などという荒唐無稽な陰謀論に対する反論でした。なぜ荒唐無稽かと言えば、ペンタゴンに突っ込んだ飛行機に乗っていたテロリストも乗務員も乗客も全員遺体でペンタゴンからみつかっており、犯人以外の遺体は全員特定されているからです。また、この当局の発表を疑うに値する根拠を示した主張を私は見たことがありません。
 私はまた、米国当局の発表がすべて正しいなどと述べたことはありませんし、むしろそのような見方を否定しております。「ワシントンは体制を脅かす敵に対しては謀略、やらせ、暗殺などありとあらゆることをやる奴らだ」と最近の投稿で述べましたように、米国当局がこれまでやってきたことは、無党派通行人さんが挙げた以上に知っているつもりです。

 さて質問の件です。まず、無党派通行人さんがどう勘違いされたのか知りませんが、私は米国当局のいう「アルカイダ犯行説」あるいは「ビンラディン主犯説」自体を信じておりません。そもそも「アルカイダ」と言われる組織は、イスラム原理主義武装グループのゆるやかなネットワークだったはずです。おそらく個々の組織は、基本的に別組織とみなされるものです。また、その個々の組織自体、少人数でも成り立ちますし、テロの実行者を志願者によってまかなうなら、それぞれのテロ行為は極めて少人数で計画することも可能です。帝国主義軍隊にとっては、戦後のさまざまな民族解放戦線のゲリラよりも扱いにくい相手かもしれません。そして、この特徴こそが、そう簡単には壊滅させられない彼らの強みなのです。それをあたかもナチスのような中央集権的な組織を念頭において、さまざまなテロ事件を一つの司令部(たとえばビン・ラディン)によって行なわれたとすること自体に無理があります。そのほとんどは作り話と言っていいでしょう。
 それゆえに、「9.11」などのテロ事件に関与したとされる人物の裁判において、アルカイダとの多少の関係は証明されても、決定的な関わりが証明されないのは当然ですし、おそらくビン・ラディンは直接関わっていなかったのではないかと私は思っています。米国当局は、大物が関わっていたことにしたいでしょうが。

 もう一つ言っておきたいのは、「『9.11』以前に、あなたの言葉でいう『大戦争の道』を選択していたのです」という私の認識のもとになった事実についてです。それは、米国が「9.11」以前から、対アルカイダ軍事作戦をやっていたということです。その行動によって多数の民間人が犠牲になったことは、現在のイラク戦争と同様で、米国はイスラム系人民の反感を買い、何らかのテロ組織がその反米感情を利用して米国国内を標的に行動を起こすように追い詰めたということであって、「口を開けて待って」いたと言うのとは正反対の認識です。その意味でなら、自ら「プレゼント」したとも言えるでしょう。戦争行為には、戦争行為の論理があります。どちらか一方がやられ続けることはありません。

 「9.11」の実行犯に関しては、アルカイダとの関係が不明なイスラム原理主義反米組織による犯行と考えるのが無難だと思われますが、私はそれに固執するつもりはありません。
 また、テロの実行にあたっては、当局が見逃したからこそ実行されたわけで、その見逃しになんらかの意図があったとする「やらせ説」はありうるでしょう。私はそれには懐疑的で、むしろ「油断」があったのだろうと考えていますが、その見解に固執するつもりもありません。それに、「やらせ」説であろうと「油断」説であろうと推測の域を出ませんので、論争することはあまり有益ではないでしょう。

 質問にはありませんでしたが、無党派通行人さんの一つ前の投稿の最後に、私が紹介したページが「科学的に検討に値するものではありません」と書かれていることについて、そのページの紹介者として一言述べておきます。
 まず、私が紹介したページは、もとから「科学的に検討」することを目的としたものではなく、陰謀論がいかにトンチンカンで信用に値しないのかを考察したものですから、無党派通行人さんの評価の仕方は、正当なものとはいえません。
 無党派通行人さんのその投稿にある紹介ページをみますと、「9.11」陰謀論者たちは、主としてWTCの第7ビル崩壊の件とペンタゴンの件をよりどころにしているようです。ペンタゴンの件は問題外だと思われますが、WTCの第7ビル崩壊については、確かに、「9.11」以前からビルを壊す計画があり、それとの関連で<損傷がなかったにもかかわらず意図的に破壊された説>、<損傷があったから破壊されることになった説>、<破壊計画とは関係なく他のビルからの瓦礫による損傷と火災で崩壊した説>が、それぞれに一定の根拠(証言の解釈)をもって言われており、究明されるべき点はあるように思えます。
 そこで、私の紹介したページの作者は、<意図的破壊ではなかった説>を採って論陣をはっているようです。しかし、無党派通行人さんには申し訳ないけど、私は、この論争自体には興味がありません。たとえ私が紹介したページの作者の説が間違いであり、<破壊説>が事実だったとしても、それによって「9.11」の自作自演説が補強されるわけではないと私は考えるからです。
 科学者などによる科学的検証はあくまでビルの崩壊について、ありうる仮説を提示するにすぎません。問題はそこからどう考えるかにあります。陰謀論者の主張をみますと、その第7ビルに自作自演のテロ指令部があったから証拠隠滅のために破壊されたのだというようなことを述べているようですが、これでは科学的検証(の結果)に陰謀論を継ぎ足しただけであり、とてもじゃないけど「科学的に検討に値するものではありません」。羊頭狗肉という表現がもっともふさわしいものでしょう。