澄空さんに的外れな疑問を呈してしまったにも関わらず、ご返答をいただき感謝します。
9.11の事件をめぐる議論のきっかけになったとされる6月15日の長壁さんの投稿が見当たらず、関連するいくつかの投稿の文面だけから判断していたので、「アルカイダ犯行説」にも「ビンラディン主犯説」にも与しないという澄空さんの立場を全く誤解していました。
しかし、犯行グループ像を曲がりなりにもある程度情報のある「アルカイダ」から未知の「イスラム原理主義反米組織」に置き換えると、いっそう根拠に乏しい「陰謀論」になるだけだと言わざるを得ません。
>私の関連投稿は、「飛行機で突っ込んだテロリストが生きていた」などという荒唐無稽な陰謀論に対する反論でした。なぜ荒唐無稽かと言えば、ペンタゴンに突っ込んだ飛行機に乗っていたテロリストも乗務員も乗客も全員遺体でペンタゴンからみつかっており、犯人以外の遺体は全員特定されているからです。また、この当局の発表を疑うに値する根拠を示した主張を私は見たことがありません。
まず、American Airlines 77便の搭乗者数に問題があります。
ある医師が Armed Forces Institute of Pathology (AFIP) に正式に請求して得た検死リストに、なぜかAA社が示した搭乗者リストにはない3人が加えられており、AA社のリストではハイジャッカーの5人を加えても、搭乗者の合計とされる64人に3人足りないということがあります。
(http://www.physics911.net/olmsted.htm)
この筆者の医師は、AFIPによって加えられた3人について、政府が公式説のために"adjustment"を必要とするときに呼ばれるというスミソニアン博物館の"bone guys"と呼ばれる調査チームによる工作を疑っています。
(この論説のタイトル"Autopsy: No Arabs on Flight 77"からもわかるように、筆者はハイジャッカーのアラブ人の名がリストにないことも問題にしていますが、ハイジャッカーのDNAが遺族から提供されたDNAサンプルのどれとも合致しなかった5人として消去法で同定されたという経緯http://www.arlingtoncemetery.net/pentagon-unidentified.htmを踏まえていないようです。)
次に、果たしてハイジャッカーとされた人物が操縦していたのかについて重大な疑問があります。
実際に操縦して超絶テクニックでペンタゴンに突入させたとされるHani Hanjour はセスナすら操縦できなかったか少なくとも全く覚束なかったという、直に接した教官らの証言があります。
(http://911research.wtc7.net/disinfo/deceptions/badpilots.html)
また、衝突を受けたペンタゴンの一角が、そこだけで行われていた改修・補強工事が終了間際で、かつ居住する職員数が他の区画よりも特に少なかったことで、ペンタゴン側の犠牲者数が最小限に抑えられたこと
(http://911research.wtc7.net/pentagon/analysis/location.html
http://www.geocities.jp/finalflight77/wedges.html)
現場でジェット燃料とは明らかに異なったある爆薬特有の異臭がしていたこと
(http://911research.wtc7.net/pentagon/evidence/witnesses/explosive.html)
など、不自然なことがあります。
(旅客機の側については自動操縦説があります。
http://911research.wtc7.net/essays/pentagon/index.html)
>「やらせ」説であろうと「油断」説であろうと推測の域を出ませんので、論争することはあまり有益ではないでしょう。
これではあらゆる議論が有益でないと言っているも同然です。推測といってもそのもっともらしさには0%も同然のものから、ほぼ100%確実のものまでいろいろあり、ここでは述べませんが、9.11事件の発生が、米国政府や各機関の悪意のない「油断」によるという説をとるためには、数多くの都合のよい偶然の連続 (= 奇跡) に期待しなければなりません。
そもそも、9.11の前からFBIによって進められていた捜査が上からの圧力で止められたり、崩壊後のWTCからの証拠隠滅が公然と行われたり、公式報告書の不備など、意図的になされた諸々の状況からして、単なる「油断」と言い切ることは不可能です。
>まず、私が紹介したページは、もとから「科学的に検討」することを目的としたものではなく、陰謀論がいかにトンチンカンで信用に値しないのかを考察したものですから、無党派通行人さんの評価の仕方は、正当なものとはいえません。
このページは数ある「陰謀論」のなかでも、2002年に出た早々から散々その作為性や欠陥が指摘されていた「ボーイングを捜せ」や姉妹作品を取り上げているだけで、欠陥だらけの「公式陰謀論」の方はノータッチなので911事件の全容解明にとっては無益です。
>無党派通行人さんのその投稿にある紹介ページをみますと、「9.11」陰謀論者たちは、主としてWTCの第7ビル崩壊の件とペンタゴンの件をよりどころにしているようです。
一般にどんな説でも、正しい可能性があるためには、現存するすべての証拠についてオカルトや奇跡に頼ることなく無理なく説明できる必要があります。
「公式アルカイダ陰謀論」や「イスラム反米組織陰謀論」も妥当性を主張するのであれば例外ではなく、WTCの崩壊現象を根拠をもって無理なく説明できなければなりません。
一方、WTCの3つのビルの崩壊現象の考察は物理や工学の問題であり、いかなる「陰謀」も仮定する必要はありません。
>たとえ私が紹介したページの作者の説が間違いであり、<破壊説>が事実だったとしても、それによって「9.11」の自作自演説が補強されるわけではないと私は考えるからです。
ここは全く理解できません。
もし意図的な解体が正しければ、自作自演説が補強されるわけではないどころか、ほぼ自動的に内部犯行が含まれるという結論にならざるを得ないのですが。
なぜなら、ビルを真下に崩壊するように解体するための爆薬の位置や起爆のタイミングなどのテクニックや必要な人員を有する組織 (ビル解体業者) は世界でも極めて限られていて、普通に想定される「イスラム反米組織」の手に負えるようなものではないからです。
(反対に、非対称な損傷や不規則に発生した火災によって自然に崩壊したと仮定した場合は、特定の方角に倒れたり残骸が偏って分布した倒壊になる方が、どの方角にも偏らない対称的な真下への崩壊よりも確率的にはるかに起こりやすいだろうというのが、意図的解体を疑わせる動機の一つになっています。)
ビルの爆破解体の概要は、
http://www.journalof911studies.com/JonesAnswersQuestionsWorldTradeCenter.pdf
で説明されています。
(一部は、http://www.physics.byu.edu/research/energy/htm7.htmlでも述べられています。)
上のpdfのスライドには、WTCの残骸のサンプルを分析してビル解体用の爆薬 (テルミット) が使用された痕跡を検出したという中間報告もあります。
>科学者などによる科学的検証はあくまでビルの崩壊について、ありうる仮説を提示するにすぎません。
検証され、しかも独立した複数の検証を受けたらもはや仮説ではなく、それを覆す新証拠や新解釈が現れない限り事実となって、あらゆる議論はそれを前提としなければなりません。
それに反していたり無視するような議論や説はトンデモということになります。
>その第7ビルに自作自演のテロ指令部があったから証拠隠滅のために破壊されたのだというようなことを述べているようですが、これでは科学的検証(の結果)に陰謀論を継ぎ足しただけであり、とてもじゃないけど「科学的に検討に値するものではありません」。
第7ビルに入っていたテナントの顔ぶれなどからして、意図的に解体されたとしてもその動機を探すのに苦労することはないというだけです。
これは別に特定の科学的知見に基づいて推測しているわけではありませんが、ごく自然で合理的な推測ではあるわけです。
(現在はなぜかファイルが消えているようですが、2002年のFEMA報告書“World Trade Center Building Performance Study”, Chapter 5, 5-2
http://www.fema.gov/library/wtcstudy.shtmに全フロアのテナント一覧表があります。
一部が、
「爆破解体前のWTC7に巣食っていた悪魔どもの一覧」
http://www.asyura2.com/0601/war80/msg/270.html
にあります。)