一言だけ申しますが、私は講座派・二段階革命論の立場ではありませんし、完全な労農派でもなく、宇野理論を批判的に摂取したレーニン主義者です。いくつかあなたに反論がありますので端的にのべます。
まず、日本の農地解放に関してです。そもそも、日本の帝国主義化は後発資本主義化の影響のもとで上から発達してきたものであり、資本論的な原始的蓄積-農民層分解過程をへずに、農民層をある程度残して帝国主義化したことに規定されています。したがって、資本主義以前の土地に縛られた封建社会的な農民層は残されて資本主義化したわけです。戦後占領軍(解放軍規定を私はしない)の政策のもとで、二度と帝国主義としてアメリカに立ち向かわないために、日本帝国主義の脆弱化を図る目的で、「農地解放」をしたのであって、封建制度を解体してくれただとか、民主化をもたらしたと単純にいえるものではありません。財閥解体も日本帝国主義の軸を破壊することが目的でした。そのへんを「好意的」に解放軍規定するのはナンセンスです。
このへんの「戦後改革」に関しては、青木孝平「資本論の法原理」や大内力「日本の農民層分解に関する統計的事実」降旗さんの「昭和マルクス理論・軌跡と弁証」や鎌倉さんの「現代日本帝国主義」などの宇野経済学者の戦後に関する現代日本帝国主義論などを調べられて比較されてください。あなたは、その意見に同意なさらないでしょうが。
次に、あなたは風遊人さんを全面的に正しいといわれるだけで、その論拠が講座派・二段階革命理論・「正統派マルクス主義」に過ぎないということです。講座派の主張のおかしさとは、資本主義や帝国主義が厳然と存在しているのに、それらを認めず民主主義革命を対置するという点です。つまり社会主義革命を遠くに追いやっているということです。不破氏は、社会主義を何千年後に想定するなどかなりむちゃくちゃな規定をし始めていて、労働者が革命の主人公、社会の主人公という階級闘争のいろはさえおしやり、空想的科学にふけこんでいるわけです。これでは、共産党と名乗る必要があるのか?と私は思ってしまいます。あなたは、人民民主主義というスターリン主義特有のブルジョア民主主義革命論を、それらを理論化してきたソ連スターリン主義体制が崩壊しても、述べられることが不思議でしかたありません。
さらに次に、私はあなたを右翼社民規定するというよりも、日本共産党の忠実な理論に依拠されているのだと理解しています。
あなたは、講座派二段階革命論・人民民主主義というスターリン主義理論そのものを展開されているわけですので、右翼社民ではなくスターリ二スト(これは一国社会主義理論的な意味です。)だと思います。
日本共産党自身がソ連崩壊以降、理論をかなりめちゃめちゃにしてきており、日本共産党そのものがカウツキー主義的立場に転向しつつあると私は見ており、やすしさんはそれに忠実な意見を展開されているのだと考えています。
さらにいえば、グローバルという真新しい(今はそうでもない)言葉に流されてしまっていて、新帝国主義-日米基軸で世界支配を貫徹していこうという流れ-に対する警戒が非常に希薄ではないかと考えます。対米従属、アメリカに脅されている、忠実であるというよりも、日本の支配者がアメリカと共同して参戦していく方向に舵をきちたのだと考えます。逆に言えば、日米と欧州は対立構造にさえなっていくといえるでしょうか。南米の自立化も促して、アメリカが当初考えていたグローバル化-アメリカ化はかえって、世界を分裂化させていく方向にあり、日米が世界支配をかけてあちこちで戦争を仕掛けていくだろうと思われます。そんななかアメリカにいわれるがままの日本としてしまえば、反米右翼一歩手前にもなるし、日本の支配者は従属しているのではなく、自分たちの利益をかけてアメリカと共同していく道を今は選択しているということでしょう。
さらに、もうひとつ、本の世界うんぬんについてです。
むしろアナタは「赤旗」新聞だけの世界にとどまっており、「赤旗」が流す情報に依拠しているのではないかと考えます。
日本共産党中央委員会や幹部会の提起をそのまま掲載したのが赤旗にすぎないわけですから、あなたのほうこそ、さまざまな資料や文献を読んでいただきたいと思います。それから、マルクス主義文献を「古典書」扱いして、葬りそるような姿勢はナンセンスだと考えます。
共産主義となのっているのであれば、その著作を第一義としてとらえるのが通常ではないでしょうか?私や銀河さんなどは、マルクスらの著作を読みこなして、現代帝国主義をとらえているということなのです。そもそも、講座派的な理論ではないということがあなた達との対立軸があるということをどうかご理解ください。