先日、「赤旗」紙上に「記者の募集」と題する同紙記者の募集要項が掲載されていた。2006年9月18日現在、共産党中央委員会のHPにもアップされている。
かつて共産党員にとって、赤旗記者とは憧れと尊敬の対象だった。いや、党員だけでなく、党外の一定の人びとにもその存在と活動は高く評価されていた。
いやらしい角度で見れば、党内の「エリート党員」という地位があったことも否定できない。
新聞記者の一種という、「特別さ」「かっこよさ」的な要素もあっただろう。
そんな共産党の花形役者とでも言うべき「赤旗記者」だが、ここにも共産党の後退・凋落現象が現れている。
ここ10年来、記者を志望する青年党員が減少し、近年では一層後継者不足が深刻化してきているのだ。先だっての赤旗モスクワ支局の閉鎖問題も、人材問題が影響していると考えられる。
モスクワ支局閉鎖問題については朝日、毎日、参詣などの一般紙でも報道されたが、各紙の記事では「財政難だから」「ソ連時代よりモスクワ発ニュースの重要度が低下したため」「赤旗の海外支局再編の一環」といった分析がされていたが、共産党の人材問題に光を当てたものは見られなかった。各紙の取材の不十分さと、分析の甘さを見た。
一方の当事者である共産党中央自身は「いろいろあって閉鎖しました」以上のことを言わず、国民・支持者・赤旗読者に対して説明責任をまともに果たさず、誠意のかけらも無い態度をとって開き直っている。政治姿勢や方針云々どころか、組織体質、ひいてはダラ幹連中の低次元な人間性が露骨にしめされており、きわめて不愉快だ。
さて、記者募集についてだが、以前は
★党歴3年以上
★年齢30歳まで
の、日本共産党員という条件があったが、それがなくなっていることに気づいた。
人材募集がままならず、採用条件を緩和してでもなんとか人材を確保したいというのが本音だろう。
だが、そんなものは最早、一時しのぎにすらならない愚策でしかないだろう。
党幹部らが、この問題で原因を問われたらいつものあのやり方で、責任回避、自己保身、問題矮小化にいそしむことだろう。まあ、がんばってくれ。
旧ソ連・スターリン主義の総本山であるモスクワから撤退しても、日本共産党中央機関紙・赤旗自身が「日本のプラウダ」というべき体質からまったく脱却できていないということを、「赤旗」モスクワ支局閉鎖問題であらためて露呈したというのも、歴史的皮肉ではある。
注・「プラウダ」とは、旧ソビエト共産党機関紙で、正式には「コモソリスカヤ・プラウダ」という。ちなみにプラウダはロシア語で真実という意味。プラウダも東京に支局を持っていた。
91年のソ連共産党解体後の今日でも私企業が事業を継続して、部数をかなり減少させつつも発行している。