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警告「衆参同時選挙」

2006/09/19 sapata 60代以上 年金生活 者

 かなり早とちりだとは思ったが、気になるので投稿しま ず。本日(06/09/18)の朝日新聞、「時流自論」で「新首相は即 座に衆院解散を」という寄稿を前宮城県知事、浅野史郎が寄せ ている。これを読んでちょっとギクリとした。寄稿の内容自体 は首相たるものは、人気に頼るのではなく、政策に対する国民 の信を問うべきだとし、新内閣は衆議院を即刻解散し、選挙を 実施せよという。即刻解散はともかくとして、内閣は人気では なく、政策に拠るべしというのは正論であり、ある種の安倍人 気批判なのかも知れない。しかし私は、数日前増田俊男という ウェブ時事評論家の、安倍「長期政権」のための秘策、という ブログで、来年の参院選挙では不利であり、短命内閣と言われ ている安倍新内閣を衆参安定多数を確保して長期化するには、 衆参同時選挙を行えと主張しているのを読んだ。争点を憲法問 題にせよという。そのことによって、護憲派が多い、小沢民主 党を分断し勢いを弱めれば、新安倍内閣が多数を制することが 出来るという訳である。情勢の展開次第では有効な奇策かもと いう気はしたが、この評論家は金融アナリストでありファンも 多いようだが、同じ金融アナリストぁ???評論家、長谷川慶太 郎のようなメジャーではないので、政治的影響力がそれほどあ るとは思えずあまり気に留めなかった。
 しかし朝日というメジャーな新聞に載った「即時衆院選挙断 行」という主張は少なくとも政治家達の注目は惹くであろうし 、或いは一部の政治家達の思惑の反映ということもあり得る。 即時衆院選挙とは事実上、来年の参院選挙は衆参同時選挙とい うことになる。 テレビなどマスコミの自民党総裁選報道合戦により安倍人気は いやが上にも高まり、あたかも国民的輿望をになった新内閣誕 生を演出したいのが自民党主流の狙いなのであろう。 しかし実際の政治状況はそれ程甘くない。自民党内部でも、次 の政権を狙う各派閥の隠然たる対立があり、公明党も対中政策 等では明らかに安倍グループ離れである。小泉内閣の経済政策 の司令塔竹中は政界から退場し、構造改革は次第に色あせて、 格差問題が浮上しつつある。安倍グループも「再チャレンジ」 なるキャッチフレーズを掲げざるを得なくなっている。
 しかも外部環境は更に厳しい。小泉内閣の下、安倍グループ を始め、与野党のタカ派は、拉致問題に端を発し、対アジア強 硬策を追求してきた。その結果、ネオ・ナショナリズムとでも 言うべき右翼的傾向を生み出したが、これは逆に彼らの外交政 策を行き詰まりに追い込んでいる。
 この対アジア強硬策には大前提がある。史上最強の軍事力を 誇る唯一の大国アメリカの存在である。しかし、その史上最強 の軍事力はアラブのイスラム民族主義には通用しないことが暴 落された。最近のレバノン攻撃などは、中間選挙を控え、落ち 目のブッシュ政権が人気挽回をめざした軍事イベントではなか ったろうか。その目算も外れである。中東政策に行き詰まった ブッシュ政権は対中国では融和策に転じている。当然日本政府 にも同調が求められ、その結果が米議会筋による靖国参拝批判 である。そのため自民党総裁候補達は3名とも靖国参拝は口に できなくなった。しかし事実上の次期内閣首班、安倍候補の靖 国問題、村山談話についての歯切れは極めて悪い。新安倍内閣 は自ら扇動し、自らに課した対アジア強硬路線の修正に失敗す る可能性がある。当然政局は動揺するであろう。その時、右翼 ナショナリズムのエネルギーをターゲットを憲法問題に絞って 、衆参同時選挙という選択肢を政府自民党が持つ可能性も無し とは言えないのではないか。
 以上が私がギクリとした個人的杞憂の内容である。