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一般投稿欄

共産党は破産した、社民党へ乗り換えよう!(2)

2006/10/16 信楽翔太郎 40代

4.イデオロギー(=主観)と基本政策(=客観)との齟齬は、どこの政党も多少は抱えているものだが、共産党の場合、その齟齬は極めて深刻で共産党の致命傷となっている。何故なら共産党の齟齬は、本来論理的に両立し得ない「否定」と「肯定」が共存する、もはや分裂状態ともいうべきという異常なレベルに達しているからだ。
 例えば、共産主義イデオロギーの本質を一言で言えば資本主義の「否定」である。ところが今日では資本主義を否定すれば幸福が訪れるという考えは世界でも支持を失い、日本共産党自身も資本主義を「否定」する力も展望もない。従って、共産党の基本政策は資本主義を「肯定」したうえで国民の暮らしを守る、という論理を採らざるを得ない。
 憲法問題も同様である。共産党は党内では現行民主主義をブルジョワ民主主義と「否定」的に理解するが、現憲法が存亡の危機にある以上、憲法を守るという「肯定」の論理を採らざるを得ない。
 社会民主主義の見方についてもまた然り。オールド共産党員ほど社会民主主義を改良主義・ベルンシュタイン主義だと「否定」的に見るだろうが、今の共産党は護憲のためには現在の社民党を「肯定」し、提携・共闘しなければならない立場にある。
 このように日本共産党は党内では「否定」のイデオロギーを、国民向けには「肯定」の論理を、というように論理と規範が党の内と外とで完全に分裂し、ダブルスタンダードになっている。これは完全な論理矛盾である。これこそが共産党不振の大きな原因であると考えられる。
 このような論理の党の内と外との分裂に共産党員自身も苦しまざるを得ない。何故なら1人の人間が「否定」と「肯定」という両立し得ない論理を抱え込むことは土台不可能であるし、そして党勢が後退すればするほど、そして「肯定」の論理を採れば採るほど、資本主義を「否定」する本来の共産党の目標からますます遠ざかってしまうからだ。
 自民党・財界は戦後民主主義や国民の暮らしを破壊するという明らかに「否定」の論理で攻撃を仕掛けてきている。これに対し、今の日本共産党は資本主義を「否定」する力も展望もないから「肯定」の論理で対抗せざるを得ない。だが資本主義の「否定」をめざす日本共産党のイデオロギーでは、これは深刻な論理矛盾となってしまう。その結果、日本共産党及び党員は「否定」と「肯定」との間で苦悩し、その力を十分に発揮できず、国民の支持を十分に得ることができない宿命を抱え込んでしまっているのだ。
 このような深刻な論理矛盾を抱えた組織や党員が生き生きと活動し、有権者の支持を惹きつけることができるはずがない。またこのような深刻な背理を抱えた組織から輝いた人材が生まれたり育ったりするはずがない。共産党がかつての輝きを失ってしまっていることはもう隠すべくもない。輝きのない候補者を何人擁立したところで、当選できるはずがないのだ。

 日本共産党が一枚岩だというのはまったく昔の話である。今の日本共産党は、実はイデオロギー部門と現実部門とが完全に分裂しているのだ。日本共産党は遂に分裂状態に突入した!!事態を更に悪くしているのは、政党ならば当然、現実問題を最優先に取り組まなければならないのだが、今の日本共産党はイデオロギー部門の領袖不破教祖の力があまりに絶大なため、党内で現実部門とイデオロギー部門との力関係が逆転してしまい、現実部門がイデオロギー部門に圧倒され、日本共産党が政党性を喪失しつつある、ということである。これは明らかに異常事態である。このような事態は日本共産党の長い歴史の中で初めてのことであろう。
 前回、私は「赤旗」が報じる国民生活の危機感が党幹部にはまったく伝わっていないということを指摘したが、そのもう一つの原因がここにある。イデオロギー担当部長である不破氏にとって、政治や経済の現実問題はすべて担当外の問題であって、正直なところまったく関心がないのである。
 本来、統合されているべき現実とイデオロギーとを分裂させ、今も社会科学研究所を使ってこの分裂をますます広げている張本人は言うまでもなく不破哲三氏である。彼は議長職に就任後、現実問題への関心を失って古典や歴史の世界に没頭してしまい、日本共産党最高幹部でありながら現実とイデオロギーとを分裂させるという重大な誤りを犯してしまった。これは形式的には党規約違反ではないかもしれないが、明らかに科学的社会主義の理念を歪める重大な誤りだ。不破氏の今の行状はもはや越えてはならない一線を完全に越えている!この行為は科学的社会主義及び日本共産党を歪曲し、党を実質的に分裂させた罪として最大級の除名事由に該当する。直ちに不破哲三氏を党分裂の罪で除名せよ!!
 一枚岩といわれる日本共産党が、実は今、現実部門とイデオロギー部門との分裂状態にあるということに多くの人は気づくべきだ。そして、それが不破哲三という実質的最高幹部が犯してしまった誤りによるものだということ、そしてこの重大な誤りに対し、現役党員が誰一人として批判の声をあげることができないという事実が、紛れもなく日本共産党の完全な破産を示している。

5.さて共産党の破産が現在進行形であるとすれば、社会民主党は既に10年前に旧社会党が破産を体験済みで過去形であり、現在は再生途上にあるといってよいだろう。つまり、解党的出直しでは社民党のほうが共産党を一歩リードしているのだ。これは歴史の皮肉な巡りあわせというほかはない。
 社会民主党は今年の2月に「社会民主党宣言」最終案を発表した。その世界観は共産党と比べればはるかに整合性があり、私が共産党に関して指摘した齟齬や矛盾はほとんど感じられない。
 共産主義は資本主義の「否定」をめざすから、上記のような「肯定」と「否定」のジレンマに半永久的に苦しまなければならないが、社会民主主義は資本主義を「肯定」したうえで資本主義の暴走を抑制しようとする立場だから、このジレンマに陥る危険はない。また社会民主主義の世界観は現行憲法とほぼ完全に調和し、ダブルスタンダードとなる心配もない。
 共産党と異なり、社民党に福島みずほ、辻元清美らのように得票力のある輝ける人材がいること、7月の滋賀県知事選挙で社民党のみが嘉田由紀子候補を支持したことは決して偶然ではない。社民党の組織が脆弱であることには変わりはないが、その組織の質や世界観に深刻な病理や矛盾がないからだ。
 社民党の組織の脆弱性は、私には逆に社民党の長所であるようにも見える。すなわち、共産党の党組織は強力ではあるが、それを官僚組織化・保守化してしまったという重大な欠陥を持っているが、社民党はこの欠陥から免れている。まさに長所と短所は表裏一体、皮肉なものだ。当選の見込みがない候補者なら有り余るほど保有する共産党と来年の参院選の候補者選定すらままならない社民党、両者の長所・短所を補い合う方法はないものだろうか。(つづく)