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「循環論法」無党派通行人氏へ

2006/10/19 澄空

 「循環論法」を駆使される方とは、もはやお付き合いできません。
 1点だけ、「再現実験」という表現は不適切であったことを認めます。しかし、これが実際のWTC火災を反映しないというのだったら、実験に沿ってどこがどうおかしいかを言うべきであって、WTC火災についてまだよくわかっていなかった時期の論文を引用してどうのこうのという「自作自演」説の主張がおかしいことに変わりはありません。
 あとは人を小ばかにした言葉にだけ、お答えしておきましょう。いずれも私にではなく無党派通行人氏にこそ当てはまるものです。

★「気は確かですか?」

>●「大部分のコア・外周柱の温度が、鋼材が軟化し始める400℃余りにも届かないこと」を指摘してNISTの報告書を批判したつもりなら、これこそまさに「初歩的な」誤りであろう。「大部分の」温度が低かろうが、重要部分で損傷する温度に達するところが一部でもあれば構造物は崩れるからである。

 あらら、気は確かですか?
 火災で熱せられる以前に、飛行機の突入でタワーのコアの一部が切断されているのですが。

 ??? 何について議論しているのかもわからない人は相手にできません。無党派通行人氏には、論旨も論理もないようです。
 ここはNISTの崩壊シミュレーションの話。NISTは700℃程度になった一部で崩壊が始まったとしており、大部分ではないと言ってるのですが? 

★「アホらしい」

 アホらしいですね。
 これを引用しているdebunking911は内容を理解していないか、故意に騙そうとしています。
このFigure 1が置かれているページに説明や式があるように、公称 ("nominal") または標準 ("standard") 火災曲線というのは、決して現実の「標準的」な火災を代表したものではなく、従来は建築材料の耐火試験用に開発されたとあるように、何らかの管理された条件での目安となるようなモデル曲線ですね。
 冒頭から、「通気や境界条件に依存しない」とか、「現実の自然な火災を表さない」などと書いてあります。
 そもそもWTCタワーの場合は、ジェット燃料が数分~10分以内に大半が燃え尽き、各区画の可燃物も引火してから15~20分であらかた燃えてしまったとされているのに、Figure 1のように120分後まで温度が上がり続けたり下がらないような温度-時間曲線が当てはまるわけがありません。
 何だか的外れも甚だしいですが、普通や通常の場合だけを想定していたら危なっかしくてしょうがないですね。
 安全対策が、通常の範囲を越えた普通でない火災や予想外の事態をも、コストパフォーマンスとの兼ね合いで想定するのは当たり前です。
 自然災害でも100年かそれ以上であるかないかという大地震・台風・洪水などに備えて対策を講じるという場合があります。

 ??? 自然災害と火災の区別もわからないとは……。

 先の投稿のグラフは、もちろん火災モデルの数値(実際の火災実験から統計処理して求められたもので、ISO834も同様)です。それが実際の火災を反映しないと言うなら、無党派通行人さんが「憶測」で「統計処理された」と言う「500~650℃」などは時間軸がないのですから、なおさら実際の火災を反映していません。
 自然災害とちがって火災で達する温度は予測可能であり、ありえない数値でもって耐火試験されることはありません。ISO834に示されているように、通常の火災を想定した加熱曲線、工場などの特別な条件下での急速な温度上昇を想定した加熱曲線、可燃物が少なくじわじわと温度が上がるような火災を想定した加熱曲線などで行われます。
 つまり、無党派通行人氏の言う「通常の範囲を超えた普通でない火災」とは、急速な温度上昇やじわじわ加熱される場合を指すのです。
 またどんな火災でも「酸素不足」の状態になります。WTCタワー火災は、通常のビル火災と異なり、飛行機衝突による壁面の穴によって通気がよくなっていましたし、消火活動もされていません。さらに火災で窓が割れるという現象も観察されているようですから、専門家ならフラッシュオーバーが生じていたと言うでしょう。崩壊開始までに限っても消火活動なしに50分と100分続いたのですから、燃焼試験やシミュレーションしなくとも、過去の火災モデルのデータに基づいて(標準曲線によって)最高900~1000℃に達しただろうとも言えたわけです。
 たいていの火事では消火活動が行われます(フラッシュオーバーを起こさせない、あるいは遅らせることによって避難する時間をかせぐ、そういうことも消火活動の目的になっています)。そうした火事全般をすべてひっくるめれば、統計的には「フラッシュオーバーはまれ」と言うこともできるでしょう(そういう「統計」を持ってくるのが陰謀論者の見解であるわけですが)が、それは実際のWTC火災を少しも反映しません。そもそも、こんなWTC火災の基本認識について、調査開始されたばかりの頃の論文でもってどうこういうこと自体がおかしなことなのです。