本年10月8日に衆議院補欠選挙が行われた。選挙区は、神奈
川16区、大阪9区である。
いずれも2005年の総選挙で自民党候補が当選しその後死去の
ため欠員となったところ
である。マスコミは、安倍内閣発足後最初の国政選挙として注
目し、2つとも結果的に自民党が議席を守った。しかし、結果
をみると必ずしも、自民あるいは自公連立安泰ともいえないよ
うである。また、軍事行為可能な憲法への改正という動きの中
、9条護憲派の共同ができていない問題点が明らかになった。
すなわち、得票面では、少なくとも選挙期間中は相対的にハト
派的主張をした民主党が踏ん張り、自民党は得票の大幅減少を
したが過半数得票と議席だけは守り、9条護憲をかかげる政党
のうち立候補した共産党は得票を有意に減らす結果であった。
なお、今回は、自公連立勢力を共産党候補者が助けるという結
果でもなかった。なお、マスコミが騒いだ割にきわめて低い投
票率(3割台で昨年の12ポイント減)、また、大政党や政党連
合に集中することなど、小選挙区制の問題点がいっそう深刻に
なっている。また、共産党候補は、社会保障の拡充と反増税・
教育基本法改正案や改憲手続き法案反対を訴えたが、北朝鮮に
よる核実験実施予告にもかかわらず、核廃絶の立場からの批判
がみられなかった。
以下、自公保連立与党ー民主党ー共産党ーその他 の得票数デ
ータをかかげる。
大阪9区
年 連立与 民主 共産 その他
2000 65469 82563 38262 38729
2003 93662 97572 21491 20383
2005 142243 111809 27347 0
2006 111226 92424 17774 0
神奈川16区
年 連立与 民主 共産 その他
2000 99966 53262 21562 16911
2003 125067 82967 17877 0
2005 159268 87991 21504 0
2006 109464 80450 9862 0
この2つの選挙区は、大阪9区が北摂地方、神奈川16区が湘
北地域であり、大都市近郊の農村と住宅地の混合する地域であ
る。9条活憲を考える方々におかれては、小選挙区制において
どのように働くものとその家族の利益と平和主義を政治に反映
させるか、そもそも小選挙区制をどのように廃止するか、を深
く考えるべき時と思う。
今後の課題として、11月の沖縄県知事選挙での野党共闘の成
功(平和共同候補的な実現ではないか?)、来年の統一地方選
挙でのオール与党体制への審判、参議院議員選挙 での政治を
変えられる9条活憲候補による政策論争と議席面での勝利、そ
してきたる衆議院議員選挙での連立与党体制の解体・改憲発議
阻止、ではないかと考える。