澄空さんの「ジョーンズ“論文”(本当はなぜWTCビルが崩壊したのか?)を読んで」(06/10/15)への前回のコメント「困った人だ (5) (後半の改訂版)」(06/11/01) で、引用や説明を端折りすぎたり見にくかったりして、分かりにくい部分があるようなので、再び変更しました。
>●“more severe”なケース
無党派通行人氏は、NISTの全体シミュレーションの“more severe”なケースでも崩壊しないと言うが、彼が依拠するジョーンズ“論文”ではそのような断言はせずに「説得力がない」と書いているだけである。では、何を根拠に「説得力がない」と言っているのか?
シミュレーションで崩壊に至る過程がブラックボックスを含むのだから、崩壊が始まるという客観的な根拠がないことは確かで、論文での表現はまた別の話です。
しかもそこから全崩壊に至ることなどをNISTは何ら証明していません。
>>調査班は、それぞれのビルに対して、影響を与える変数として中間〈middle〉、軽度〈less severe〉、および重度〈more severe〉の値を組み合わせて3つのケースを定義した。中間ケースの予備実験で、タワーが立ったままでありそうなことは明らかになった。軽度ケースは、その飛行機衝突の結果を観察事象と比較したあとで棄却された。中間ケース (WTC 1はケースA、WTC 2 はケースC) は、その主要な部分システム構造の反応の解析を観察事象と比較したのちに棄却された。(NIST, 2005, p.142; 強調を追加)
(※澄空注:強調は省略)
>このNISTの報告書は興味深い読み物である。経験データに基づく軽度ケースは、ビルが崩壊に至らなかったという理由で破棄された。
>>重度ケース(WTC 1はケースB、WTC 2はケースD)が各タワーの全体解析に用いられた。完全なシミュレーションは、ケースB とDで行われた。シミュレーションが写真証拠あるいは目撃報告から逸脱するまで、だだし物理的現実の範囲内において、調査員は入力値を調整した。こうして、例えば、<観察された窓の破壊が、火災シミュレーションに入力され、>たわむ床が外壁支柱を引張る力が<部分システム(※1)の計算結果から導き出される変数の範囲内で>調整された。(NIST, 2005, p.142; 強調を追加)
>>各タワーの崩壊において、床の主な役割は、外壁支柱の内側への曲がりを引き起こすことである。(NIST, 2005, p.180; 強調を追加)
(※澄空注:強調は省略、<>内は、ジョーンズ“論文”で省略されている部分)
>そんな風に、ビルが崩壊するまで、つまり望みの結果を得るまで、モデルを微調整することは(多分)何と楽しいことだろう。だが、そんな調整をされた計算仮説の最終結果など説得力はない。外壁支柱を十分に曲げるために“たわむ床が外壁支柱を引っ張る力が調節された”(NIST, 2005, p.142; 強調を追加) というところに注目されたい。かなり手で“調節された”のではないかと疑われる。英国の専門家が、“中心支柱が床を通して外壁支柱を引張ることはできない”(Lane and Lamont, 2005; 強調を追加)(※これについては後述)と批判したにも関わらずである。
報告書では、中間ケース・軽度ケースともに「観察事象」と比較して破棄されたと書かれているが、ジョーンズ博士は、この「観察事象」を崩壊現象のことだと勝手に解釈しているようだ。
勝手に解釈しているのは澄空さんの方です。本文そのまんま (および下記の該当箇所) のように、「観察事象」というのが、("less severe"ケースと対比した) 飛行機の衝突による損傷の仕方、および、損傷と火災に対する構造上の応答が ("middle"ケースと対比した) 不安定性を示すことの両方を含んでいることは明らかです。
>だが、シミュレーションが飛行機衝突後から崩壊に至る直前までだということは、“崩壊開始後のシミュレーションがないではないか”と文句を言っているジョーンズ博士にとっては百も承知のはずではなかったか?
当たり前です。
だから「崩壊に至らなかった」とは、NISTのシミュレーションの文脈における意味、すなわち「不安定」("unstable", "poised for collapse") になるまでに至らなかったことを指すことは自明です。
>「観察事象」とは、たとえば“飛行機の残骸が反対側の壁まで達した”とか“火災によって窓が壊れた”というような観察事象を指すのではないか?
違います。
指し示される対象を、話の内容が移り変わった次のパラグラフから持って来るとは、英語・日本語に限らず文章の読解がおかしいですね。
ここは、全体シミュレーションにかける前に棄却したケースについて、その根拠の概略を述べた部分で、次のパラグラフは、"more severe cases"を含むCase B, Dについてだけ行われた全体シミュレーションにおいて、手で調節された入力の説明です。
>引用の続きにもそうした例が書かれているのだが、ジョーンズ博士は続く文章を引用する際にその部分を省略してしまっている。
違う話なので引用する方が不適切です。
>おまけに、軽度ケースのことを勝手に「経験データに基づく」と形容し、他のケースは経験データに基づいていないという印象を与えようとしている。もちろん、これも誤りである。NISTは、この引用文の前で、全体シミュレーションに入力するデータが不完全で正確さも保証できないゆえに、シミュレーション結果にもっとも影響を与える変数について、合理的範囲で中央値・高い値・低い値を決めたとしている。なお合理的範囲とは、全体シミュレーションの前に行われた「部分システムの計算結果から導かれる変数の範囲内」のことである。ところがこれについても、ジョーンズ博士はその部分を省略してみせる。
誤っているのは、文字列未満でしか理解されていない澄空さんの方です。
この「経験データに基づく軽度ケース」は"The less severe cases based on empirical data"([http://worldtradecentertruth.com/volume/200609/WhyIndeedDidtheWorldTradeCenterBuildingsCompletelyCollapse.pdf] p.37)
の部分に対応していますが、全体解析に用いられた"more severe cases" と対比されているので、意味的には残りの"the less severe cases" と"the middle cases"の両方の場合を含むと取るべきです。
この"the middle cases"が対応するCase A, Cを構成する条件は、
1) 飛行機の衝突に関する"base case" (NIST NCSTAR1 Draft p.153)と、
2) 火災に関するTable 6-6 (p.178) の条件から成っており、一覧表がNIST NCSTAR1-5 のTable E-1(p.47), Table 6-1 (p.158) にもあります。
1) の衝突ダメージが、「すべての入力パラメータに対する初期の妥当な見積りに基づく」("based on reasonable initial estimates of all input
parameters")"base case"の場合だけでコアの下位システム解析で安定な解があり、
2) の火災条件の"fuel loading" 20 kg/m^2 は、WTCのオフィスについてNISTが見積もったとあります。(NIST NCSTAR1 Draft p.130)これらの条件をまとめて"based on empirical data"と形容して何の差し支えもありませんね。
"more severe cases"はこれから逸脱しているということです。
>こんなふうにして、省略する必要もない部分をあえて2箇所省略したうえで、NISTのシミュレーションについて「望みの結果を得るまで、モデルを微調整」「かなり手で“調節された”のではないかと疑われる」など推測してみせるのは、「何と楽しいことだろう。」これが現役の物理学教授のやることだろうか?
澄空さんは「物理学教授」を批判する前に、ご自身の学識や理解力をよく省みられるべきです。
床が外周柱を引く力に秘密の調整が加えられたという指摘において、特に言及する必要のないことを省略したことがわかるように省いても何の差し支えもありません。
ちなみに、外壁を内側に引っ張る床による"pull force"は、写真から測定された外壁の変形量に合致するように (NISTNCSTAR1Draft.pdf p.154) 、「試行錯誤」("a trial and error procedure") で見積もられた (NIST NCSTAR1-6 p.295) とありますが、初期条件以外に外から手で入力しなければならない値があるとは、シミュレーションによってWTCの崩壊開始を導いたとは言えませんね。
この件については、2005年9月のWTCの防災研究に関する会議"Technical Conference on the Federal Building and Fire Safety Investigation of the World Trade Center (WTC)"におけるArupの発表でも、NISTのモデルとArup/エジンバラ大学のモデルとの比較がされており ("Comments on structural fire response and collapse analysis"p.18)、その中で、NISTモデルでは「柱を引く力が手でモデルに加えられる」("Pull forces on columns manually added to model")ことが、これも含めて諸々の量を自動的に計算するArup/エジンバラ・モデルと対比させて挙げられています。
また、この外周柱の見かけの曲がりについては、ホフマンが指摘するように光の屈折が影響する可能性があります。("Bowed Columns, or Refracted Light?")高々数十℃の温度差で蜃気楼や逃げ水現象が起こるので、数百℃の温度差ではなおさら無視できません。
>●NIST崩壊説における床の役割
NIST崩壊説における床の役割は、上記引用中にあるように、「外壁支柱の内側への曲がりを引き起こすこと」である。このことから言えることは、少なくとも、外壁支柱が曲がるより前に床が焼け落ちることはないということである。
そして、そのことはNISTの床の耐火試験で実際に裏付けられている。ところが、NISTの仮説を支持する試験結果(それを元に仮説を立てたのだか ら、支持するのは当然なのだが)について、ジョーンズ博士はそれが“反証”であるかのように述べている。
トラスだけの耐火試験で外周柱との比較ができて、「NISTの仮説を支持する」なんて、トンデモ以外の何物でもありませんよ。
NISTもこの試験結果が自説を支持するなんてことは言っていません。(NIST NCSTAR1-6 Chapter 3 (p.119-137))
しかも文章の読解もおかしいようで、耐火試験の結果がNISTの崩壊説の「反証」になるなんて、NISTがあからさまに自己矛盾をきたすような解釈があり得ると考えるほうがどうかしています。
ここはただ、耐火試験の結果と歴史的経験からの制約を回避しようとする方法をNISTが編み出したというだけのことです。
しかし実際には、耐火試験でのトラスの中央部のたわみ量 Figure 3-16(同 p.134) を見ると、諸条件の違いを考慮しても、シミュレーションの一例Figure 4-24 (同 p.169) と比べると半分以下に相当し、シミュレーションの妥当性に疑問を抱かせます。
具体的に数値を挙げると、耐火試験で最もたわみ量の大きかったTest 1のケース(35フィートスパンで"restrained condition") でも、底の温度が1500°F(800℃ 超) に達し、実際のWTCの火災よりも十分に長い100分後の時点(Figure 3-18 (同 p.136)) での"Deflection/Span"が約0.03 (Figure3-16 (同 p.134)) となり、これをWTCタワーの床トラスの60フィートスパン(720インチ) に換算すると21.6インチになります。
これは、シミュレーションでのWTC 1 Case Bの97, 98階の床の最大たわみ量("Maximum Displacement") の半分程度で (Table 7-2 (同 p.283))、WTC 2Case D の80, 81階それぞれの最大たわみ量の1/3, 1/4以下です (Table 7-4(同 p.291))。
耐火試験が最大設計荷重 ("maximum design load") で行われていること(NISTNCSTAR1-6.pdf Figure 3-5 (p.125) にコンクリートブロックと水タンクを乗せられた写真があります) を考慮すれば、この食い違いはさらに大きくなります。
>>UL社で火炎に曝されたWTCのトラス模型が破損しないことは、NISTの最終報告も認めている:
...
>上述の部分と合わせると、ジョーンズ博士は、床模型の耐火試験(どんなケースでも火災継続時間内には焼け落ちなかった)をNISTの崩壊説に合致しないと考え、NISTが全体シミュレーション(重度ケースで外壁支柱が破損した)の入力数値を調整することでそれをカバーしたと考えたようだ。(※2)
上記のように文章の珍解釈であり、入力パラメータの秘密の調整は事実。
>5年もかけて調査をやってそんなお粗末な報告書を公表したのだとジョーンズ博士が本当に考えているとしたら驚くほかないが、ジョーンズ博士を妄信する人 たちが、これを読めば「NISTの調査はずさん」と思うのも無理はない。だが、ジョーンズ “論文”がここで示していることは、ジョーンズ博士が、WTCの崩壊についての専門家たちの論争も、NISTが示した結論も理解できなかったという事実である。
ジョーンズの理解を云々する前に、ご自身の理解を疑った方がいいと思いますよ。
それはともかく、NISTの報告書に対する包括的な批判を紹介しておきます。
上記のホフマンによる "Building a Better Mirage NIST's 3-Year $20,000,000 Cover-Up of the Crime of the Century"
WTCの鉄骨の認証や、NISTの依頼でトラスの耐火試験を行ったUL社で、内部
告発をして解雇されたケビン・ライアンによる、6月のシカゴの会議での発表
のPowerPointファイル
"The NIST World Trade Center Report:The NIST World Trade Center
Report: A New Standard for DeceptionA New Standard for Deception"
同発表のビデオ
"Kevin Ryan on Google Video"
関連する論文
"What is 9/11 Truth? - The First Steps"
同発表のホフマンによるレビュー
"Review of 'A New Standard For Deception: The NIST WTC Report'
A Presentation by Kevin Ryan"
>ついでなので火災シミュレーションBとCについてコメントしておくと、これは無党派通行人氏が引用していたとおり、大部分の外壁支柱やトラスは400℃ にもなっておらず、火災のあった崩壊開始部分の付近が700℃程度になっている。つまり、NISTは、火災で外壁支柱が700℃で破損したというシミュレーション結果を出しているのである。このように実際に数値が示され、シミュレーションソフトなども公表されているのだから、シミュレーションが疑問だと言う場合は、NISTと同じことをやってどうおかしいのかを言うべきであろう。それが通常の科学論文における反駁のやり方だ。
ツールとしてのアプリケーションソフトの製品名が載っているからと言って、「シミュレーションソフト」が「公表されている」とは普通は言いませんね。
NISTのシミュレーションを直ちに再現できるようなソースコードとまでは言わずとも、必要なすべての定数や、元になる資料となった写真・映像なども公開されていません。
だからこそジョーンズらがすべての資料の公開を要求しているのですが。それどころか、内外の専門家からの要求にも関わらず、有限要素法でシミュレーションされた崩壊過程の可視化結果 ("visualization") の公開も拒んでいます。
(WhyIndeedDidtheWorldTradeCenterBuildingsCompletelyCollapse.pdf p.39)
また、外壁の一部が700℃になったら、外周柱のアルミカバーが溶けたり、鋼鉄の地肌が赤熱して見えたりするはずですが、WTC 2の場合は、日向とはいえ写真を見ても、崩壊が始まった東面ではそのような様子はほとんど窺えません。
(崩壊開始時点:NIST NCSTAR1-6 Figure E-7 (p.58), 飛行機衝突直後:Figure 6-13,14 (p.254))
ただし、WTC2の北面の81,82階の東よりでは、飛行機の衝突後間もなく(9:10a.m.) 外周柱の何本かが赤熱しているようです。 (同 Figure 6-15(p.255))
ここで、崩壊直前の80,81階の間の北東のコーナー付近から流れていた黄色-オレンジ色に光る溶けた金属の熱源は何かという問題が想起されます。
WTC 1に関しては、崩壊直前の97-99階南側で、外周柱が確かに赤熱しているのが見られます。(同 Figure E-5 (p.57), 9-11 (p.385))
>●床が外壁支柱を引っ張ることはできないか?
このテーマについては、NISTのシミュレーションの当否ということになる。
賢明な読者はお気づきのことと思うが、ジョーンズ“論文”はNISTの最終報告書(2006)が発表されているにもかかわらず、あえて1年前のものを利用している。それは、NISTのプレゼンテーション(2005年4月)に対する上記Lane and Lamont (2005)の論文(以下「論文」)を利用したかったのかもしれない。
Arupの論文 は、2005年4月の発表とDraftの両方を参照しています。
その後Draftは多少の変更を受けたと考えられますが、ジョーンズが参照しているNIST NCSTAR1 Draftと、最終版の崩壊シナリオ"Probable Collapse Sequence"は同じです。
崩壊シナリオの変遷 (NIST NCSTAR1-6 p.66-67) においても、最終段階の"Probable Collapse Sequences"は"April 2005"以来となっています。
>この「論文」は、NISTの崩壊説と同様の理論(火災における全体構造の動態が崩壊につながった)を提案しつつも、床システムの熱膨張が全体システムの挙動に大きく影響したという観点からNISTのプレゼンを批評している。批評部分は、端的に言うと、初期の火災から影響を受けて縮まった中心支柱が床を通じて外壁支柱を引張ったとするNISTの想定は、床システムの熱膨張で打ち消されるというものである。外壁が引張られること自体を「論文」が否定しているのではないことを付け加えておこう。
NISTは、コア柱が縮まったのが「初期の火災から影響を受けて」なんて述べていないし、この「付け加え」に何の意味があるにかわかりませんね。
NIST説での床が外壁を内側へ引っ張る効果が、(NISTが考慮していなかった)床の熱膨張で打ち消される (可能性がある) ということは、「外壁が引っ張られること自体」を表現上では「否定している」と書かれていなくても、少なくとも疑問視されていることは確かです。
Arupがこの論文などで提示する崩壊シナリオは、まず火災の起こった階の床が膨張して外壁にダメージを与えることから始まるというもので、NISTのシナリオとは違うのだから当然です。
澄空さんの、Arupによる「NISTの想定」の理解とは違って、NISTが床の弛み ("sagging") が外壁を内側に引く力を生むとしていることに対して、Arupは、熱膨張への言及がないと指摘しつつNISTの最終報告を待つとしていますが、上記の2005年9月の会議でのArupの発表でも、NISTモデルは「熱膨張は柱についてだけ考慮され、床システムでは考慮されていない」("Thermal expansion on columns only Not on the floor systems") などと指摘しています。
(ただし、現在のNIST NCSTAR1 Draftはこれらの指摘を受けた後で変更されたのか、初めに床が700℃ (最上部の平面で300℃)まで30分間以上加熱されて膨張し外周柱を外側に押すが、その後弛みを起こして外周柱を内側に引っ張るとされています。(p.150)
>だが、最終報告書を読む限り、この批評は当たっていないように思われる。
第一に、NISTは、確かに飛行機の衝突と初期の火災で中心支柱が傷められた結果、上層部分の中心支柱が下に動いたとしている。しかし、その影響につ いては、「論文」の理解とは異なり、ハットトラス(ビルの最上部の骨組)を通じて、外壁に負荷が分散したとしている。
はて?Arupの論文も当然のことながら"hat truss"による荷重の再分配("redistribution") を認識していますが? (download353.pdf p.9)
>第二に、最終報告書では、最初に崩壊を開始した位置に向かって火災が移動したこと(※3)やそれに伴う床の膨張・収縮についても考慮されている。たとえば、中心付近で発生していた初期の火災では床の熱膨張は、外壁支柱ではなくむしろ中心支柱に影響を与えたとしている
Draftと最終版の火災シミュレーションは同一で、NISTの2005年4月5日の発表とも時期的にまず同一と考えられますが。
(NIST NCSTAR1 Draft Figure 6-36 (p.179) と
NIST NCSTAR1-5 Figure 6-5 (p.170)、
NIST NCSTAR1 Draft Figure 6-46,47 (p.191) と
NIST NCSTAR1-5 Figure 6-38,55 (p.170,223))
また「たとえば」以下の文は誤りですね。
床の熱膨張がコア柱に「影響」(ダメージ)を与えたわけではなく、(NIST報告書がその崩壊シナリオで薮から棒にどう記述しようと) 燃料に乏しいコア部分で火災が盛んになるはずもなく、NISTのシミュレーションでも大部分のコアは終始低温です。
>第三に、最終報告書では、火災が崩壊を開始した部分へ移動し、そこで床と外壁支柱を傷めたことで損傷が起きたとしており、それによって生じた現象を“たわんだ床が外壁支柱を引張った”と表現している。
NISTによる2005年4月の発表、Draftと最終版の崩壊シナリオがほぼ同じなので意味なし。
WTC 2では火災はあまり移動してませんが。
>以上から、「論文」は初期の火災によって、床が外壁支柱を引張ることができないと指摘しているのに対し、最終報告書はその後の火災によって、床が外壁支 柱を引っ張ったとしていることがわかる。つまり対象としているものが違うのである。
Arupは「初期の火災」なんて言っていないし、「対象としているものが違う」というのも誤読です。
>●ジョーンズ博士が対置する“制御解体”説とは
ジョーンズ博士を筆頭に、「自作自演」説を唱える人たちは、公式調査をけなすことに汲々としており、それによって“制御解体”説が証明されるとでも 思っているかのようだ。もちろん、NISTの報告書は完璧ではないし、調査の不備があれば追及されるべきだろう。だが、批判するだけでなく、別の仮説を 唱える以上は、その仮説の完成度を高める必要もあるのではないか?
公式説が不備であれば、代替説を考えなければならないのは当然ですね。
また、澄空さんは「証明」の意味を理解していません。
ともかく、どの崩壊説が正しいのかを解明するために、情報公開を要求し、溶けた金属や粉塵の分析も進めているでしょうに。
NISTの説では、WTCタワーが不安定 ("unstable", "poised for collapse") になる過程が客観的に示されていないばかりでなく、崩壊開始後に全崩壊に至ることを一切証明していないし、崩壊中や後に観察された特徴的な現象についても根拠のない憶測で片付けるか、単に無視しています。
また、NISTはFEMAが分析した鉄骨の異常現象について何も言及していないし、WTC 7についてはまだこれからですね。
>ジョーンズ博士の“制御解体”説とは、いったいどうなっているのか? 次に見るように、何の根拠もない「推測」ばかりで成り立っている。
...
これらの推測のうち、事実や証拠に基づくものは、1つでもあるんだろうか? 科学論文・学術論文とは異質なものに見える。
澄空さんが「科学論文・学術論文」かどうか論評できるとも思えませんが、一部分を取り出して推測だけだと言われてもね。
NISTのブラックボックスを含んだシミュレーションは推測未満です。
>(※3)火災が移動したという事実は、火災の最高温度1000℃の場所も移動したということであり(したがって任意の場所では1000℃になったのは 短時間である)、またその火災が“燃料豊富な拡散炎”ではなかったことを示している(燃料豊富であれば一定の場所で燃え続けたはずである)。
文字列未満でしか理解していない典型例ですね。
「燃料豊富」の意味は酸素に比べて豊富だということ、つまり酸素不足を意味します。