>http://www.debunking911.com/moltensteel.htm
流れる融解金属を色で判断できるか?
このページでは、まず、NISTのFAQと同様に、ビルから流れ た融解金属がアルミや酸化アルミ等であるといえるだけの十分 な証拠があると説明されています。
さすがにNISTは酸化アルミ(Al2O3)なんてアホなことは言っ
ていませんね。
アルミが空気中で溶けるときに表面に酸化アルミができます
が、融点が2000℃を越えるので固体のかすになります。
このサイトはアルミの低い放射率 (このサイトが示す値0.12
はかなり高めです。"Emissivity Values for Common Materials")を補うために酸化アルミを思いついたのでしょうが、何にせよ
混入した物質が溶けたアルミと一様に混じり合うと期待するな
んて虫がよすぎるにもほどがあります。
>> また、熱腐食が瓦礫の中で発生したことも示唆されてい ます。火災等で熱せられた鉄は、酸素と水蒸気があれば熱腐食 が発生します。また、石膏は、水素と一酸化炭素があれば鉄の 硫化に必要な酸化硫黄や硫化水素を発生しますので、熱腐食の 条件にプラスして石膏の瓦礫があれば、鉄の硫化は充分に起こ りえます。 瓦礫の中で火災が続いていたことは事実ですから、融解金属 がアルミであるという証拠と同様に、熱腐食に必要な物質と条 件は揃っていたことになります。
>これらは、以前にも下でも挙げたFEMA報告書Appendix Cの著 者によるの憶測の一つに過ぎず、「充分起こりえる」などと明 言できるはずがありません。
より正確には、FEMA報告書Appendix Cの著者たちは、硫黄の
源についていくつかの可能性に言及してはいるものの、「これ
らのすべては調査されなければならない」("All of these things have to be explored")
としており、ビルの安全上の観点から重大な問題、(硫化鉄と
酸化鉄からなり、鋼材の融点を下げる) 共融混合物の形成がビ
ル崩壊の前か後かについては、「さっぱり分からず」("We have no idea")、再現実験が必要であるとしています。
(http://www.wpi.edu/News/Transformations/2002Spring/steel.html)
しかし、NISTのシミュレーション
(NIST NCSTAR1-5.pdf
p.198-211 (WTC1), p.218-227 (WTC2))
でも、(空気でなく) 大部分のコア・外周柱の温度が、WTCタワ
ーの火災のあったフロアで400℃にも届いておらず、トラスも
含めた全体での最高温度も局所的に一時600℃余りになる程度
であるにもかかわらず、なぜかタワーやWTC7が全崩壊した後で
、FEMA報告書Appendix Cが述べるような、700~800℃(WTCタワ
ー)(p.8) や1000℃近く(WTC7)(p.5) の温度に、通気の悪そう
な瓦礫の下での火災によって達するということには無理があり
ます。
そこで、上のdebunking911は「鉄は燃える!!!」("Iron
Burns!!!")
(http://www.debunking911.com/ironburns.htm)
というトンデモや、ほかの発熱反応を持ち出します。
鉄が「燃える」すなわち酸化が急激に進行する条件は、表面
積が非常に大きい粉末か繊維状などで、かつ酸素の供給が充分
な場合だけです。
このサイトは使い捨てカイロやスチールウールの例を挙げな
がら、それらが高温を発したり燃える理由を、熱が鉄の内部に
散逸しないで高温が維持されるからだと勘違いして、塊状の鉄
でも十分に高温になれば燃えるとしていますが、もちろんこれ
は誤りです。
高温になれば活性が増して反応速度が上がりますが、反応が
継続するためには反応物質 (鉄と酸素) が遭遇する機会が維持
される必要があります。
固体の鉄の塊の場合は温度が上がっても、表面に黒錆(酸化
鉄(II,III))などの保護膜ができたあとは、少なくとも急速に
は酸化が内部に進行して行くことはないだろうし、液体の鉄で
も同様でしょう。
これは例えば、加熱した鉄鍋や、熱間鍛造で発光する鉄や、
鋳物をつくるとき型に注がれた鉄を想定しても放っておけばた
だ冷えるだけで、間違っても酸化が継続して温度が上昇し、溶
けたり沸騰したりすることが考えられないことからもわかりま
す。
ところで、このdebunking911.comの文章を見ると、内容以前
に形式的に全く構造化されておらず、見出しも無しにただ話題
が移り変わっていくだけで、筆者らはおよそ論文や報告書とい
った理科系の文章をまともに書いたことがないのではないかと
疑われます。
しかも、マーク・フェラン (Mark Ferran) なる人物による
上記の"Iron Burns!!!" (http://www.debunking911.com/ironburns.htm)
では、"I believe"だの"I do not believe"という情緒的な言
葉を多用する一方で、対抗するスティーブン・ジョーンズに対
しての罵り言葉は常軌を逸しています。
ちなみに人物像については次のリンクが載せてありますが、
何らかの科学・技術分野の学位や業績を示すものは皆無です。
See WHO IS Mark R. Ferran? at http://billstclair.com/ferran/
(http://billstclair.com/ferran/bio.html)