新聞報道等でご存知と思いますが、昨年のこと、作家大 江健三郎さんと岩波書店が、沖縄戦での住民の「集団自決」に ふれた書籍に不実の記載があるとして、当時の守備隊長とその 親族から名誉毀損等の罪で大阪地裁に提訴されました。
最近、「大江・岩波沖縄戦裁判支援連絡会」のウェブサイトが立ち上がり、入会の呼びかけがなされてい ることを知りましたので、大江健三郎さんのファンの一人とし て皆さまに支援を訴えます。
HPに記載されている準備書面を読むと、あらためて、軍隊 とは何か、沖縄戦とは何だったのかが理解されるでしょう。
以下、「入会呼びかけ」を転載いたします。
-----------------------------------
2005年8月5日、沖縄戦集団強制死(「集団自決」)訴訟が大阪 地方裁判所に提訴されました。原告は、梅澤裕氏(元座間味島 の第一戦隊長、元少佐)と赤松秀一氏(元渡嘉敷島の第三戦隊 長、元大尉であった赤松嘉次の弟)です。訴えられたのは、岩 波書店と大江健三郎氏で、岩波書店発刊の家永三郎著『太平洋 戦争』、中野好夫・新崎盛暉著『沖縄問題二十年』(岩波新書 )、大江健三郎著『沖縄ノート』(岩波新書)を問題にしてい ます。原告は、三点の書籍が、1945年の沖縄戦初期に慶良間列 島で発生した住民の「集団自決」は、守備隊長であった原告・ 梅澤氏及び原告・赤松氏の兄が命じたと記述しているが、これ は事実に反し、名誉を毀損、あるいは故人に対する敬愛追慕の 情を侵害する、というものです。
事実はすでに明らかになっています。慶良間列島での「集団 自決」は、日本軍の命令によって発生したものであることは疑 う余地がありません。そして、家永三郎著『太平洋戦争』は歴 史研究書であり、厳密に史料批判をおこなったうえで書かれた ものです。大江健三郎著『沖縄ノート』も、上地一史著『沖縄 戦史』を引用し、日本人とは何かを見つめ、戦後民主主義を問 い直したものです。 この裁判は、きわめて政治的、イデオロギー的なプロパガンダ を目的にしたものといえます。軍命令による「集団自決」はな かったとすることによって、日本軍による住民虐殺の事実を抹 殺し、沖縄戦の事実を歪め、日本軍の残虐性を「捏造されたウ ソ」にし、「軍隊は住民を守らない」という認識の転換をねら うものです。そして、歴史の歪曲・改ざんをねらい、教科書記 述もターゲットにして、「戦争をする国」の人材育成をねらい としていることは明らかです。「日本の名誉を守る」「自虐的 歴史認識から解放」などはその意図のあらわれであり、これは 、「新しい歴史教科書をつくる会」教科書のねらいと同じもの です。
歴史の歪曲を許さず、沖縄戦の真実を広く子どもをはじめ国 民に知らせていくために、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判 支援連絡会」を結成し、裁判支援の活動に取り組みはじめまし た。ぜひ多くの方が入会くださるようお願いします。 ------------------------------------