去る10月9日、北朝鮮は核実験を実施したと発表した。そも
そも、核武装を公言し威嚇すること自体私は許せない。
衆議院では翌日、抗議決議が全会一致で採択された。ここに
は、「国連憲章7章に基づく措置を含め」なる文言が入ってい
る。核実験への抗議への対抗として国連の元での軍事的措置に
も道を開く内容となっている。
私は、この文言が入ったことに複雑な思いである。わざわざ
明文に入れなければならない理由はない。といって、北朝鮮に
各国が足並みをそろえて再実験やミサイル搭載そして核兵器の
使用をとめるためには、ある程度の実効性のある言葉も必要と
なることも理解できる。
そこで、私はこの決議に欠けているものを考えた。それは、
「すべての核兵器の廃絶の実現」である。被爆国日本が北朝鮮
への抗議を国際社会に訴えるとしたら、この点こそ重みを持つ
であろう。さらに、北朝鮮が米、中、露という核大国にとり囲
まれている現実(日本もそうであるが)の中で、核武装により
瀬戸際外交をおこなう根本的なからくりを打ち破るものともい
える。また、このことは、朝鮮半島非核化という米国も含め合
意しいる方向とも矛盾はない。国連でも核保有国は難色を示す
かもしれないが、核廃絶をめざす・全ての核実験の凍結等を含
めた制裁決議を日本代表には提案させるべきなのではないか?
共産党などがこの点を決議案の調整過程でどの程度主張したの
かまだ明らかでない。
残念ながら、マスコミは、北朝鮮の核実験非難のみの大合唱
である。それどころか、安倍氏が首相就任前に一時口にしたと
いう日本核武装論や先制攻撃論が頭を持ち上げ、集団的自衛権
問題があっという間に既成事実化しかねない状況である。一方
、共産党など護憲側からも焦点を北朝鮮にのみ置いた議論が目
立ち、国会質疑で非核三原則を守ると安倍首相が明言せざるを
えなかったことなどの報道はまだ少ない。
いまこそ、核廃絶・問題の平和的解決の徹底の観点から早急
に取り組みを強める時と考える。このように打ち出すことで、
アメリカの武力介入、集団的自衛権容認論調、なし崩し的自衛
隊の参戦、改憲手続き法、教育基本法改正などの流れの危険性
を押し返せるものと考える。