10月2日、大阪地裁にて、「館長雇い止め・バックラッシュ裁判」の被告・高橋叡子・豊中市男女共同参画推進財団理事長の証人尋問が行われました。
この裁判は、2000年に豊中市の男女共同参画推進施設「すてっぷ」に公募で非常勤館長に就任した三井マリ子さんが、2004年3月末で体制変更を理由に「雇い止め」となったことに対して、同年12月17日に豊中市と財団を相手取って提訴しているものです。これまでの原告・被告の主張およびこれまでの経過は以下です。
https://www.janjan.jp/government/0607/0607087526/1.php
https://www.janjan.jp/area/0605/0605234886/1.php
被告は、もちろん三井さんの任命権者であり、本来ならば、全てを把握していなければいけないはずです。しかし、以下のように、あまり財団自体を把握しているようには思えませんでした。そしてしばしば日本語になっていないわけのわからない答弁、「私は忙しい」との逆切れ、「市の情報を盲信していた」との開き直りに終始しました。
被告弁護団の尋問では、これまでの被告側証人(部長や課長、事務局長)の主張どおり、三井さんは、その知名度で豊中市に貢献する役割を期待されており、その目的が達せられたので、非常勤ゆえ事業全体を把握できない限界などを勘案し、体制を変更したという主張でした。
自らについては、年二回の理事会に出るボランティアだと説明されていました。
被告は、実際、国や自治体、企業などの審議会・委員会の役職や武道の道場の役員まで、20以上も兼務しており、もし全て真面目にやれば過労死確実です。「高橋叡子」でネット検索してください。驚愕されるでしょう。
高橋証人は、「組織体制変更は、事務局の統一見解だと思っていた」のに、「三井さんが態度を豹変した」と聞き、三井さんに理解を求めるよう部長に指示したと言い逃れました。自分から三井さんに1回も確かめようとしなったことを聞かれ、自分には非がない、三井さんが態度を二転三転させたと聞いて本当にびっくりした、という態度を続けました。
原告側の反対尋問では、矛盾点や理事長としての責任感の薄さが噴出しました。被告は、一方で、全国公募の三井さんを「知名度」で期待していたといいつつ、2000年のすてっぷのオープニングセレモニーに三井さんを出席させなかったことについて、(セレモニーは)「市がやったこと」(で関与していない)と、理事長としての権限のなさをあらわにしました。
そして、体制変更が議論となった頃、つまり原告側からすれば三井さん排除の策謀が進んだ頃、三井さんが体制変更後の常勤館長をするのは無理だと思い込んでいたといいました。その根拠は、3年前に三井さんと雑談をしたときの内容と、事務局長と本郷部長から聞いたことというから失笑ものでした。
そして、何か問題があれば三井さんからいってくるだろう、自分は3年間で1回しか三井さんと話したことはない、と開き直りました。
そして、体制強化のために三井さんを首にするのは法的にはなんら問題ない、ただ道義的に親切に説明するのは必要だろうと思ったと開き直りました。三井さんを攻撃していた復古派の北川悟司議員が、市役所に怒鳴り込んだ事件もその翌日11月13日に本郷部長と会合を持っているのに、聞いてなかった、知らなかったということでした。
一方、結局、桂さんに事実上、次期館長が決まった(三井さんのクビが事実上決まった)後の茶番の選考作業(前回山本証人が、「自分で選考委員を選んで自分で結果を作成した」と告白)につながる一連の会議については、「市民の前に公開するために選考委員会を設けて選考したほうがいいと思った」といいました。ところが次の瞬間、「人事は水面下で動く」などという言葉が口から出ました。
そして、すてっぷの会議室が空いているのに喫茶店やホテルなどで極秘に進めてきたといいました。誰が隣で聴いているかわからない喫茶店が水面下とは思えないので、これもおかしな答弁でした。
また、もし、万が一、桂さん採用が理事会で否決されたら、本郷部長は辞任しなければならないと思いつめていたとの答弁があったのですが、そのことについては、あれほど「部長を信頼している」といいながら「仕方がない」と突き放しました。
すてっぷの理事会・評議員の会議録から、バックラッシュに関する話し合い部分がそっくり削除、変更されているという深刻な事実をつきつけられて、「知らなかった」と逃げるだけでした。これは、三井さんが館長時代に渡されていた会議録と、2006年情報開示請求で入手した会議録では、その内容があまりに違うことを原告が追及したものです。
バックラッシュの部分だけ削除・変更したことは、それだけバックラッシュ攻撃の影響を受けていたことであり、「バックラッシュなどではない、さまざまな意見があるだけ」というのがいかに嘘かを証明するものでした。
また、被告は、「多くの女性に機会を与えるために、一人の女性が長く地位にとどまるべきではない」という持論を保持していると述べていますが(これ自体、実は非正規雇用を促進する容認できない考えですが)、その持論と、桂さんを定年60歳まで勤められる「長期政権」にしていることの矛盾については、答弁が全く日本語になっていませんでした。
そして、三井さんの任命権者はだれかと聞かれると、「財団理事長と市長」などと答弁をしました。「(私は)男女共同参画の、専門家ではない」、などという発言まで飛び出し、その正直さには呆れてしまいました。
全般に、声が非常に小さく、ズバリ、小泉さんの総理時代の原爆記念日の弔辞を思い出していただくとぴったり来る答弁ぶりでした。裁判長にも繰り返し「大きな声で」と注意されました。何か、当時の小泉さん同様やましいものがあると感じました。
そして、「この人はほとんど事態を掌握していない。これではらちが明かない。もし、被告の言うとおり「市」が任命権者なら、市長、そして桂現館長の証人尋問が必要」と、率直に感じました。
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