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一般投稿欄

次作への注文ですー原仙作論文(11.15 現状分析・対抗戦 略欄)を読んで

2006/11/20 とんび 40代 医療専門職

 沖縄県知事選挙は、大接戦の末、自民、公明連立与党の擁立 した仲井真氏に、野党共同候補の糸数慶子氏が惜敗という結果 が速報されている。今、速報を見ながら、11.15の現状分析・ 対抗戦略欄の原仙作様の論文への感想を書いている。
 本論文は、丸楠夫様の「無党派層の青い鳥」(9.12 同じ欄) への論争のスタイルをとりながら、無党派層の経済的基盤の分 析を加えるほか、今後の対抗戦略への具体的提言(特に共産党 に変化を迫る)を述べたもので、短くはないが一気に読める・ 読む甲斐のあるものである。いつもながら、原様のご研究と建 設的提起に感銘を覚える。
 そのうえで、この論文は、原様が、3部作の第1部としてい ることもあり、今後の注文として若干の意見を述べたい。
1)地方議会と国会の議席の乖離について
 原様は、共産党が国会で議席を減らすのに、地方議会では議 席占有率を維持している点について、人々が共産党に求める機 能として社会的弱者救済者であること、しかし、国政における 共産主義はまっぴらと人々が思っていることを挙げている。
 この論は一面妥当であろう。しかし、地方選挙で、国政選挙 に比べて大変支持率が高いわけではない。むしろ、選挙制度の 違いによる部分が大きいのではないだろうか。つまり、市区町 村議員選挙ではほぼ得票率に応じた議席が配分されるが、国政 選挙では小選挙区制により、2005年9月の自民党のように4割 の得票で7割の議席が実現し、逆に全体で8%近い得票をして も共産党は小選挙区では議席に結びつかなかった。だからこそ 、小泉圧勝に見えた一方で自民党の一部は小選挙区制の怖さを 実感し、次に備えて、反郵政民営化議員の復党や民主党への働 きかけを強めざるを得なくなっているのではないだろうか。
 もちろん、このような日本国憲法の理念「正当に選ばれた代 表による政治」とはかけ離れた小選挙区制を改めるためにも、 原様の提起は有効である。
2)日本国憲法の評価について
 本サイトでも、共産党が、天皇条項も含め日本国憲法を将来 にわたり擁護することには異論が多い。不破哲三氏は、「党綱 領の理論上の突破点」として、象徴天皇制は君主制ではないと あげつらう。確かに、現在の一致点として、日本国憲法を護り 活かすことは重要である。その時に、「憲法の平和的民主的条 項を護る」のでなく「全条項を護ることを要件とする」を一致 点とするべきであろうか。
 もしくは、原様がここで書かれたのは、本論文の注の一つと して当初構想された11.4理論・政策・歴史欄の論文で論じてお られるように、マルクスの共産党宣言1872年版序文のような、 ある程度の多義性を許容した表現なのだろうか。
3)共産党が他党派と「妥協」すればよいのか
 共産党が無党派や社会民主主義者を時代の同行者としてこと にあたることが本論文で提唱されている。このこと自身には異 論はない。ただし、共産党が1998年に躍進した後、米日安保凍 結論を含めた政権構想など、無原則的とも思われる民主党への 擦り寄りを図り結局失敗した事実がある(このような、共産党 の議席増と政治路線の右傾化が、本サイト立ち上げのきっかけ であったのではないか)。その後、共産党は、国政では自党議 席第一主義で、票も議席も低迷し現在に至っている。日本国憲 法を旗印としながら、以前の方法とはどのように異なる形で無 党派などと同行するかに注目したい。
4)論旨の「ねじれ」による誤解の懸念
 11.4の論文に対しては、マルクスの本音は国家の粉砕であろ うと言いながら現状では異なるとして改良の道に近い方法を文 末で示唆することに、潤氏から早速批判がなされた。潤氏の批 判の方法や論調に私は同意しないが、この点は、原様の論文が 誤解される、意図せぬ「ねじれ」ではないかと懸念する。同様 の「ねじれ」が、日本国憲法に「降伏」した共産党新綱領を高 く持ち上げながら、党指導部の行動を批判しておられる点で、 私は感じた。共産党の新綱領の良い点を活かそう、共産党の現 行不一致を正すことで、無党派層との同行を実現しよう、とい うことなら、わからないではない。今回の沖縄知事選挙の厳し い結果も踏まえ(同日の福岡市長選挙での自公推薦現職の敗退 も・・・)、現実生活・現実政治での打開を考え、三部作の、 第2部,3部に期待するものである。