原氏の論文を読んで、マルクス理論の尾っぽをつけては いるが、かなり、社会主義(共産主義)に対する反省と、現状 を模索する姿を感じました。全体的に国民文庫の引用を避け、 ご自分の言葉で書かれています。多分、社会主義を離れる事で 、自由にご自分の言葉で書かれる事が出来たのではないかと敬 意を表したいと思います。未だ綱領とか、革命とか、運動論的 言葉が目に付きました。社会主義と社会民主主義の違いについ て、気に成ったので、私の意見を言わせて戴きます。社会主義 (共産主義)は、言うまでも無く生産財の共同所有の社会を言 うと思います。社会民主主意は西欧に起こった、市場経済によ って引起される、格差、財の再配分(平等性を目指し)を目指 す、修正資本主義だと理解しています。日本共産党は、政策と して社会民主主義的政策(社会保障、福祉政策等)を取り入れ ていますので、社会民主主義的政党と大きな違いは無いように 見えます。かっての日本社会党はその中に、社会主義協会派等 の社会主義を信奉する人々も含まれていましたし、社会主義政 党と社会民主主義政党の違いを論じる事が少なく、その違いが 明確では有りませんでした。
原氏は社会主義に対して、個別的全体的に誤りを指摘さ れています。私は、さざ波通信に目を通す様に成って間が無い ので、原氏に対する誤解を持っていたようです。原氏は、私に は論理的社会主義者のように見えていました。論文(1)につ いては賛成です。論文(2)以降については賛成できません。
原氏は、日本には、二つの綱領が有った。ひとつは共産党の 綱領、二つは日本国憲法と言われています。私は、政策を論じ るべきではないかと思います。言うまでも無く、綱領は多くを 現状分析と目標を明示します。各人各政党が現状分析したり、 目標を明示する事は大切な事です。しかし、多くの場合、綱領 的文書の中に哲学が入り込みます。此処が問題です。
原氏の、社会主義に対する反省は大いに敬意を表します。し かし、社会主義理論(マルクスイデオロギー)についての反省 はあるのでしょうか。イデオロギーの何が問題だったのでしょ うか。唯物論でしょうか。階級論でしょうか。経済学でしょう か。その全てでしょうか。
私は、結果が間違っていたのは、理論的誤りが有ったからだ と思います。私は以前、哲学と科学は区別すべきであると書き ました。哲学は、実証する事の出来ない理論だからです。私は もともと法律学に興味を持っていました。どうしても、社会の 基礎を、個人の人権を基に考えています。その上で、全ての個 人を基礎にした、民主主義を構築すべきであると考えます。従 って、体制を前提とし、人権を体制の後に置く政治体制には反 対なのです。
憲法9条を絶対化することには反対です。非武装が未来社会 に繋がると言うのもひとつの哲学でしょう。武装社会が未来に 繋がるとするのもひとつの哲学です。何れの哲学にも絶対化す ることに反対です。科学のように、哲学は予測が不可能です。 原氏は、共産党の現状に対して最大限反省していますが。理論 的反省はこれからでしょうか。哲学を主題にする事に断じて反 対です。当面は格差社会の緩和、福祉年金等の充実、失われた 日本の歴史の回復のための政策が涵養と思います。政策実現の 共同行動こそ必要です。