共産党は1月4日に第三回中央委員会総会を開き、その時の
委員長報告等が公表された。12月の臨時国会で教育基本法改正
が成立し、その際の民主党の奇怪な野党共闘逡巡が表面化し、
さらに成立しなかった改憲手続き法案について自民・民主の修
正協議が浮かび上がるという日本国憲法に基づく諸システムの
クリティカルな時期でもあり、また、来る3-4月に統一地方選
挙(ただし統一率は3割程度)を間近に控えた時期でもある。
志位氏の報告は、情勢論(党大会後1年)、地方政治の特徴
と対決点、支部主役での選挙戦対策、むすびという構成である
。総論的には従来の「党勢・党議席第一主義」は変わっていな
い。
情勢論では、安倍内閣の評価が中心で過去の戦争への無反省
、対米従属、大企業優先の傾向の強化が指摘され「史上最悪の
タカ派・改憲内閣」とされる。これは、安倍氏が参院選の争点
は改憲、と表明し民主党と改憲手続き法案修正協議に入ろうと
していることから考えるとある意味で重要な指摘であろう。そ
して、民主党については、「改憲の立場をとる限り国政選挙レ
ベルの共闘はありえない」とし、社民党には「護憲の一致点が
あり門戸は閉ざしていないが、こんな民主党と共闘することは
問題」と指摘している。これらは、7月参院選での共闘におけ
る政策的一致点および運動論における共産党のスタンスを示し
ている(沖縄選挙区での糸数前職の補選、7月の候補者問題が
やや難しくなりそう)。意外なのは、北朝鮮問題の論及が大変
少なく自民党幹部や閣僚の核武装論議発言の問題性が書かれて
いないことである。反共反撃をいうならば金正日一派とは根本
的に違うこと・核武装や拉致被害問題等の現実的課題で対決し
ていることを書くべきであろう。また、「たしかな野党」論が
一昨年9月の総選挙までの連続的敗北にかかわらず繰り返され
ている。なお、昨年の今頃示された新社会党との憲法改悪反対
運動の話し合い窓口設置拒否、平和共同候補運動の否定につい
て一切言及がない。
地方政治の特徴と対決点では自公民オール与党論とその問題
点が縷々記載されている。しかし、共産党員も多数関与してい
ると思われる地方公務員労働組合の自己保身と諸悪への関与の
問題点は十分書かれていない。部落解放同盟による大阪市、奈
良市、京都市での行政私物化が少し書かれているのみで、住民
によるチェックを必ずしも好意的に受け止めず非効率なシステ
ムを温存する現状の地方公務員制度の問題点への言及はない。
また、地方自治体行政レベルでの、改憲の問題点があまり書か
れていない。北海道夕張市の財政破綻などは、生存権、法の下
での平等など多くの憲法上の問題を示していないだろうか。
支部主役での選挙戦対策では、「支部主役」という住民と共
通の目線を重視する点で民主党(自治労など)とは一線を画し
た取組がうかがえる。記載が地方議会選挙中心でかかれ、地方
レベルでの統一戦線が問われる首長選挙について言及が少ない
。ただ「共産党と保守を含めた無党派の人々と共同でたたかい
、勝利をめざす」とあり、国政での対決点(改憲への意見等)
とは違った対応をすることが示唆される。新自由主義的構造改
革で切り捨てられる旧自民党支持層(国政レベルでは強固な反
動層かもしれない)をとりこめるかどうかが、確かに重要な課
題であろう。
本サイトの皆様から、改憲手続き法案時代における第三回中
央委員会総会についてのご意見をうかがいたいものである。