共産党は第20回大会決議でも、丸山眞男批判を行なってい る。これに対する批判で、丸山批判に対する投稿を締めくくり たいと思う。
(18)歴史の法則と人間の主体的たたかい
歴史には客観的法則があるが、それはひとりでにすすむもの ではない。人民のたたかいこそ、歴史を創造する力である。ま た社会発展の法則を認識し、社会進歩に自己の人生をかさねる ことこそ、真の生きがい、理性と人間性の発揮がある。
この間、わが党は、戦前、若くして革命運動に参加し、節を まもってたおれた先輩たちの革命的生涯に、新しい光をあてて きたが、彼らがつらぬいた生き方もここにある。
わが党は、この間の重要なイデオロギー活動として、丸山真 男氏の日本共産党論とその理論的基礎への批判をおこなってき た。
丸山氏の日本共産党論は、侵略戦争に反対してたたかった日 本共産党にも戦争責任がある、さらには絶対主義的天皇制の精 神構造が日本共産党にも「転移」しているなどというものであ るが、こうした議論の根本には、だれが真理の旗をかかげて歴 史にたちむかったか、それが歴史によってどう検証されたかを まじめにみようとせず、冷笑をもってとらえようとする観念論 的.傍観者的歴史観がある。
歴史の進歩は、大局的にはたつものが、さまざまなジグザグ をへながらも、最後には勝利することを教えている。「日本共 産党の七十年」があきらかにしたように、戦前、戦後の日本共 産党の歴史は、反戦平和、民主主義、生活擁護、覇権主義反対 の闘争など、それを証明したかけがえない達成がある。
真実にのみ忠実で、なにものをも恐れない自己分析の見地を 発揮した、一貫した党史をもち、展望をもって歴史を語りうる ことは、日本共産党の誇りである。
(日本共産党第20回党大会決議、第四章世界史の道程と科学的 社会主義の生命力)
ここで主張されていることも、一貫してたたかったと言って
いるだけである。決定や方針に対する結果からみた評価は一切
ふれられていない。それが最善の決定だったのか、他に方法は
なかったのか、不十分な点、改善すべき点、強化すべき点、間
違った点はなかったのか。そのような結果に対する評価が全く
なされていない。
これでは、それまでのたたかいの教訓はどこから導かれるの
だろうか。そしてそれが今後のたたかいにどう行かされるのだ
ろうか。
決定が間違っていた場合どのように是正するのだろうか。間
違った決定で処分された人の名誉回復はどのようななされるの
だろうか。
大会決議の丸山批判に該当する部分は、「侵略戦争に反対し
てたたかった日本共産党にも戦争責任がある」「絶対主義的天
皇制の精神構造が日本共産党にも「転移」している」の二ヶ所
である。
しかし、丸山はこんなことは言っていない。丸山氏の提起し
た問題は、
(1)天皇制の最も能動的な政治的敵手であり、
(2)前衛党の看板をかかげた政党は、戦争突入を許したという
政治責任がある。
という結果責任を指摘している。
これに対して、この党大会決定は一切これに答えていない。
相手の提起している問題には一切答えず、別の論点から批判
する。これこそ、誹謗中傷としか表現のしようがない。共産党
の論争において、新日和見主義批判以降、このような批判が目
立つ。
かつての「極左日和見主義の中傷と挑発」が発行された当時
のような、相手の主張の出典を明らかにし、相手の主張の問題
点を明確に批判していた党中央の姿勢は、どこにいってしまっ
たのだろうか。
残念でならない。