本論が掲載されることには、沖縄、福島での参議院補欠
選挙、統一地方選挙後半戦の結果が出ているかもしれない。
4月8日に行われた東京都知事選挙では残念ながら、石原氏
が三選された。
このことについて、4.13の「現状分析・対抗戦略」欄に原仙
作氏より「都知事選に勝機はあった」という論文が掲載された
。
1.政策的一致が無くても反石原なら支援すべきか?
原氏は、石原氏を倒すのが最も重要だから、たとえ政策的一
致点が十分になくても、反石原候補支援で一本化すべきという
ことも述べる。そして、「民主党は右派が優位だから変化を期
待できず、共産党の側が柔軟性を発揮すべき」という旨まで書
く。浅野氏は、日本国憲法に対し擁護もしくは活用という表明
を立候補当時していなかった。原氏の論理を誤解を恐れずにい
えば、乱暴すぎる石原氏にかえて一見マイルドな新自由主義的
「改革派」や改憲論者が立つことへの問題点につていて、ほお
かむりしていないだろうか。
2.「改革派知事」たちをどうみるか
90年代後半から2000年初頭にかけて、一連の「改革派知事」
が誕生した。田中康夫氏(長野)から浅野氏(宮城)、逮捕さ
れた安藤氏(宮崎)、共産党も間接的に賛同した片山氏(鳥取
)、異論はあるが石原氏(東京)まで少なくない。彼らの多く
は、自公推薦候補を倒し、民主党(時に共産党)の支援を受け
て当選した。
しからば、彼らは、働く人々とその家族、障害や高齢、病気
のために働けない人々にやさしい政治を行ったであろうか?
今回、石原氏が、「改革派」の神奈川県知事松沢氏、埼玉県
知事上田氏の応援をおこなったように、決して単純にそれらの
人々の暮らしを温める政治、というより、民主党のもともとの
考えの新自由主義的「改革」を推進した部分が大きいのではな
いだろうか。さらに重要なのは、都県議会では自公民体制で、
守旧派も「改革派」も支えられてきたことである。
3.それでも、試す価値はある
こんなふうに、とうてい私が納得のできる論理ではないがし
かし、試してみる価値はあると思う。なにより、民主党の馬の
足となって動くことで、改憲のブレーキができるなら、であろ
う。
もちろん心配はある。民主党自身が改憲派政党で、改憲手続
き法案の衆議院採決前日まで、自民党との妥協を模索していた
ことである。やはり、改憲の準備は食い止めるべき、という運
動なしには民主党へのブレーキすら難しいであろう。
4.若干の振り返り
本論の終わりに、2点の振り返りをしたい。
(1)公明党の変転をどう見るかである。1990年代初頭から1990
年代後半まで、公明党は、政権に参加するも瓦解し新進党が解
体、地方議員は漸減など厳しい状況であった。
90年代の終わりから、自自公政権→自公保政権→自公政権と
政権参画し、議席は中央も地方も漸増を続けている。
しかし、政策面では、旧綱領上の護憲平和も福祉も、投げ捨
てられ放題なのである。このようなありさまをどう見るべきで
あろうか。
(2)本サイト立ち上げ当時は、不破氏による共産党から民主党
への無原則的なすりより、日の丸君が代容認、天皇制擁護、新
自由主義的改革論の美化、への批判が論議の中心であった。あ
れから8年、いまや、政策的一致が十分でないままに民主党推
薦候補への勝手連的支持論まで活憲派から飛び出す状況である
。
このような状況だからこそ、原氏や丸氏のようなご論議が大
変重要なのだ、と考える次第である。