党創立85周年記念講演会での不破哲三前議長の講演を聞い て愕然とした。講演内容を何の予断もなく聞くと、参院選で勝 ち誇った党中央の講演と勘違いしてしまう。
まず、開票翌日の常幹声明は、3つの核心があると自画自賛 する。
1.自民党敗退という結果は、「有権者が、自民・公明の枠組
みでは日本の前途はない、と判断した結果」であることを示し
た。
2.自公に代わる新しい政治とは何か?この選挙で、国民の選
択が明らかにならなかった。
3. 自民・公明の政治に代わる新しい政治の方向と中身を探求
する新しい時代が始まった。
自公の枠組みでは日本の前途はないとの有権者の判断はその とおり。その期待が民主党に集まり、共産党には集まらなかっ た。つまり、共産党の訴え(確かな野党)は有権者の共感を得な かった。この点に関しては、意図的にか、一言もない。
又、自公の政治に代わる新しい政治の方向と中身を探求する 新しい時代に突入したこともそのとおりだが、『民主・社民・ 国民新党』を軸に、政権交代が進むであろうことは見えている 。では、新しい時代において共産党はどう役割を果たすのかに ついての言及は微塵もない。徹底して評論家的抽象的な言葉の 羅列に終わっている。
ここまでくると、まともな感性とは到底思えない。国民大衆 から遊離した感性は、もはや老害というべきか?マ-ケティン グの世界においては、こういう総括で切り抜けると、間違いな く倒産する。つまり『顧客の意見・要望』を無視した、企業は 市場から放逐される。共産党は有権者から放逐される寸前なの だ。
敢えて総括めいた点は、『一つひとつのたたかいの前進・後 退に一喜一憂せず、この革命的な大局観を堅持してたたかいぬ いてきた。そこに、八十五年史をつらぬく日本共産党の革命的 伝統がある』このくだりである。ちょっと待てよ!1回や2回 ではなく、6回連続の惨敗だ。この調子だと国会議員が「0」 になっても、 同じことを言うつもりなのか?それと裏腹の関 係なのが、組織がガタガタになっていること、支持基盤も崩れ 、負のスパイラルに陥っていることに関する認識がまるでない 。ため息が出そうである。
最後のくだり『すべての党支部、すべての後援会が、綱領を 手に、国民の声に応える「新しい政治」とは何か、そのことを 草の根で語る全国的なネットワークをみんなの手でつくろう』 ・・・これは全く意味不明。何をしようと言うのか?こんなこ とより、優先順位は活力ある党の再建のはずだ。