参議院での自民第一党滑り落ち、自公過半数割れという参議
院議員選挙が終わって1ヶ月がたつ。自民党では、安倍首相が
続投を決めたが、敗因や今後について活発な論議がなされてい
ることが報道されている。それでは、9条護憲を明確にかかげ
ながら、議席を減らした共産党、社民党はどうか。社民党につ
いては、ホームページや新聞報道からは総括に関する論議の情
報を私は得ていない。
共産党については、常任幹部会委員声明(以下、声明)が出
され、また、党創立記念講演会(以下、講演会)での最高幹部
の演説などから、いくつかの特徴が感じられる。
1.「たしかな野党」論が消えた。
参院選直後以後の党幹部の発言から、「たしかな野党」論が
消えている。声明でも1カ所あるだけで、講演会大要のホーム
ページ掲載版ではまったくみられない。このことは「たしかな
野党」を訴えることの問題性をようやく認識したとともに、「
新しい時代」論とともに、自公に対する野党間共闘に軸足を踏
み出したものとも考えられる。参議院で民主党は第一党である
が半数に届かず、共産党が7議席とはいえ、キャスティングボ
ートを握る局面もありうること、にも関係するのであろう。
2.従来路線での内部のひきしめか
それでは、今回の議席・得票率の後退をもとに、共産党が自
己分析し、自己変革を図ろうとしているであろうか? 残念な
がら、後退の要因を外部に求める(民主党への激流論など)、
真剣な自己分析はまだみられない。
講演会で不破氏はヨーロッパの党をいくつか引き合いに出し
、党運営や路線について基本的に変える必要のないことを強弁
した。また、文芸春秋誌9月号の立花氏の論文への批判の形を
とって、「民主集中制」の意義を伝え今後も継続すべきとする
岡氏の論文が機関紙に掲載された。岡論文では、共産党に批判
的なサイトでの「不破秘密報告」までひっぱり出して叩いてい
る。(注:このやりかたは、党内の批判者には逆効果であろう
。以前、さざ波通信批判を突如しんぶん赤旗に掲載し、かえっ
て本サイトを見る人が大幅に増えたという。)
つまり、自己分析など行うと党内がさらにガタガタになりか
ねず、今はひきしめをせざるを得ない状況なのではないか、と
思われる。
3.中央委員会総会にどう反映?
共産党の本格的な選挙総括はまだである。臨時国会の開催と
あわせて、次の中央委員会総会でどんな内容と形式でなされる
か、注目をしたい。