一部に、小沢氏が、突っ走って新党を結成するか、極端な主張をする人の中には、自民党に戻ってしまえば、良かった。その方が、「右の人は右へ、左の人は左に」それぞれ納まるべきところに納まって、国民に分かりやすい配置になって、その方が
良かったという主張がある。
そのような主張をする人たちにぜひ聞きたい。もし、そのようになっていたら、
11月1日に海上自衛隊を引き上げさせるという重要な成果をあげることができた
のだろうか。
今までの日本政治の中で戦場から軍隊を引き上げさせるというようなことが、
一度でもあったのだろうか?と。
残念ながら、天安門事件、北朝鮮の拉致問題などで、護憲派や左派の力は大幅に
後退している。
このような力関係の中で、「自民党も民主党も似たもの同士、どちらが勝っても
同じようにしかならない」とか、「確かな野党」と呼びかけても、それが現実の政治の
中で、どのような意味を持つのだろうか。
テロ特措法や給油新法、改憲を阻止の闘いを少しでも前進させる役割を果たす
のだろうか。
今必要なことは、「どちらが勝っても同じようにしかならない」と主張し、小沢氏たちを
自公与党政権の側に追いやるのではなく、彼らの間の相違点、矛盾点を利用し、
拡大することではないのだろうか。
幸いなことに、連立の問題で、小沢氏が、合意したと主張している問題を
福田首相はことごとく否定している。これで、小沢氏も福田首相にはめられた
という認識を持ったのではないだろうか。そして、それが小沢氏の辞意撤回に
結びつき、民主党の参議院での対応に反映しているのではないだろうか。
もし、そうならば、少なくとも、総選挙前の連立はあり得ないことになる。総選挙で
野党が過半数の議席を確保できるという保障はない。しかし、自公与党が、2/3を
確保することは、ほとんど、あり得ない。ということは、参議院で否決された議題を
衆議院で再可決する事は、不可能になる事を意味する。
小沢氏は、所詮、保守の側の人です。この時点で、連立の問題が再浮上する
可能性は、否定し切れません。共産党、社民党などが、セクト主義、独善主義的
に陥らずに、小沢氏を含む民主党との共闘関係を築くことができれば、新たな
展望が開けるのですが。
追伸、小沢氏が改憲論者という批判があります。私もこれを否定する立場では
ありません。しかし、「世界」で取り上げたように、自公与党の解釈改憲やネオコンの
改憲論者とは、明らかに違った主張です。言い方を変えれば、対米従属化か国連
至上主義か、という違いです。国連はソマリア内戦に対する干渉で破綻したと思って
います。また、国連は常任理事国が利害関係を持つ問題では、全く機能しません。
そういう意味では、小沢氏の主張を支持する立場ではありません。
だからと言って、小沢氏の主張と、解釈改憲やネオコンの主張の違いを無視した
議論を容認できません。