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灯台守さんへ 科学は仮説から始まるのか、それとも確かな事実から始まるのか?

07/12/6 デモクリトス 40代 自営業

 今年も残すところあとわずかになりました。石油の値上がりで 灯油を買うのを、いかに減らすのか頭を悩ます毎日です。
 さて、ガリレオは望遠鏡他の技術を使って確かめた事実から 始めたという指摘ですが、はたしてそうでしょうか?
 その問題に入る前に、当時の思想界の絶対的な権威で あった古代ギリシャの偉大な哲学者アリストテレスについて述べ ておきたいと思います。
 アリストテレスの哲学は、「アリストテレス全集」の各巻の書名 の1部をみてもわかるように、森羅万象すべてにわたるものでした。 あげてみますと、③「自然学」④「天体論・生成消滅論」⑤「気象論 ・宇宙論」⑥「霊魂論・自然学小品集・気息について」⑦「動物誌上 」⑧動物誌下・動物部分論」⑨動物運動論・動物進行論・動物 発生論」⑩「小品集」⑪「問題集」⑮「政治学・経済学」といったもの です。
 しかも、たとえばアリストテレスが(運動)について論じたとすると、その 議論はいわゆる(力学的な運動)だけでなく、(化学変化の運動)など のあらゆる変化現象や、政治運動や経済運動などすべての運動を含 むものと理解されていたのです。
 アリストテレスの哲学は、確かな事実によって構成されていました。で すから、当時の多くの人たちを納得させることができたのです。
 地上から見る限り、この地上が太陽の回りを回っているとは、とても 思えません。太陽が動き、月が動いているようにしか見えないのです。 そこで、アリストテレスは、天体は地上の物体とは違ってその運動を いつまでも続けることから、「月より上の天体は月より下の地上の物体 とは全く違う運動法則に従う」と主張したのです。
 それに対して、レオナルド・ダ・ビンチは「太陽は巨大な火の玉にすぎない」 と考え、「地球よりずっと大きな太陽が地球の周りを回ると考えるのは不自 然だ」と考え、地動説に近づきました。また、コペルニクスは「太陽その他 の天体が地球の周りを回ると考えるよりも、地球が太陽の周りを回って いると考えたほうが数学的にいって自然だ」と考えました。しかし、当時の おおくの人々にとって、天動説のほうが常識に合った考えでした。  ガリレオは、こうした先進的な人たちの考え方を受け継ぎ、地球が太陽 の周りを回っているに違いない、という仮説に基づいて望遠鏡をのぞいたから こそ、地球が動いているという証拠をつかむことができたのです。そうではなく ただ漠然と望遠鏡をのぞいただけでは、そうした証拠をつかむことはできなか ったに違いないのです。
 逆に確かな事実に基づいていたのは、アリストテレスのほうでした。
 科学は、そうした確かな事実に対して、一見馬鹿らしそうに見える考え方 仮説をたて、それを実験でたしかめることによって進歩してきたのです。 「大陸移動説」なども最初は、とんでもない考えだ、と思われていたのです。 しかし今では、多くの人が正しいと考えるようになっています。
 大分長くなりましたので、今日はこれぐらいにしたいと思います。