今年も残すところあとわずかになりました。石油の値上がりで
灯油を買うのを、いかに減らすのか頭を悩ます毎日です。
さて、ガリレオは望遠鏡他の技術を使って確かめた事実から
始めたという指摘ですが、はたしてそうでしょうか?
その問題に入る前に、当時の思想界の絶対的な権威で
あった古代ギリシャの偉大な哲学者アリストテレスについて述べ
ておきたいと思います。
アリストテレスの哲学は、「アリストテレス全集」の各巻の書名
の1部をみてもわかるように、森羅万象すべてにわたるものでした。
あげてみますと、③「自然学」④「天体論・生成消滅論」⑤「気象論
・宇宙論」⑥「霊魂論・自然学小品集・気息について」⑦「動物誌上
」⑧動物誌下・動物部分論」⑨動物運動論・動物進行論・動物
発生論」⑩「小品集」⑪「問題集」⑮「政治学・経済学」といったもの
です。
しかも、たとえばアリストテレスが(運動)について論じたとすると、その
議論はいわゆる(力学的な運動)だけでなく、(化学変化の運動)など
のあらゆる変化現象や、政治運動や経済運動などすべての運動を含
むものと理解されていたのです。
アリストテレスの哲学は、確かな事実によって構成されていました。で
すから、当時の多くの人たちを納得させることができたのです。
地上から見る限り、この地上が太陽の回りを回っているとは、とても
思えません。太陽が動き、月が動いているようにしか見えないのです。
そこで、アリストテレスは、天体は地上の物体とは違ってその運動を
いつまでも続けることから、「月より上の天体は月より下の地上の物体
とは全く違う運動法則に従う」と主張したのです。
それに対して、レオナルド・ダ・ビンチは「太陽は巨大な火の玉にすぎない」
と考え、「地球よりずっと大きな太陽が地球の周りを回ると考えるのは不自
然だ」と考え、地動説に近づきました。また、コペルニクスは「太陽その他
の天体が地球の周りを回ると考えるよりも、地球が太陽の周りを回って
いると考えたほうが数学的にいって自然だ」と考えました。しかし、当時の
おおくの人々にとって、天動説のほうが常識に合った考えでした。
ガリレオは、こうした先進的な人たちの考え方を受け継ぎ、地球が太陽
の周りを回っているに違いない、という仮説に基づいて望遠鏡をのぞいたから
こそ、地球が動いているという証拠をつかむことができたのです。そうではなく
ただ漠然と望遠鏡をのぞいただけでは、そうした証拠をつかむことはできなか
ったに違いないのです。
逆に確かな事実に基づいていたのは、アリストテレスのほうでした。
科学は、そうした確かな事実に対して、一見馬鹿らしそうに見える考え方
仮説をたて、それを実験でたしかめることによって進歩してきたのです。
「大陸移動説」なども最初は、とんでもない考えだ、と思われていたのです。
しかし今では、多くの人が正しいと考えるようになっています。
大分長くなりましたので、今日はこれぐらいにしたいと思います。