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人文学徒さんへ 人間は何を元に判断し行動するのか

2007/12/14 デモクリトス 40代 自営業

 人文学徒さんのおっしゃるように、「人間は日々決断して生 きていかなければならない」存在です。では何を元に決断する のでしょうか?恋愛においては、「あなたが好きだ。好きで好 きで、殺したいくらいだ。」「もう愛することなどやめたい。 でも逢いたい。」といったように、矛盾に満ちた心を持ちます 。こういった矛盾に満ちた心を表現するのは、文学が最も得意 とするところではないでしょうか。
 また、「右のほほを打たれれば、左のほほを出せ。」といっ た行動の基準は宗教の分野でしょう。「君に忠、親に孝。」と いった教えは道徳の分野だと思います。このように人間は、時 と場合によって、またその人によって、様々な分野を基にして 判断し、行動するのではないでしょうか。
 論議をし、討論をする時は、言葉の定義を正確にする必要が あると思います。そうしないと、互いの理解が食い違うことが あるのではないでしょうか。
 私は、科学とは、百科のなかの一科の学、つまり確かに明ら かにできる小さい分野に絞って、仮説を立て、実験をして真理 を明らかにしていくものだと考えています。また哲学は、森羅 万象を論じるもの、科学によって明らかになった事実を基にし て、世界のあらゆるものを解釈し、論じるものだ、と考えてい ます。
 ですから、日々の行動において、科学を基にすることは、そ れほどないともいえるでしょう。しかし、科学を知らずに、判 断し、その結果たいへんな結果を招くこともあります。特に政 治上の指導者が、そうした失敗をした場合、たいへんな損害を こうむることになります。
 紀元前415年、アテナイの民会は、同盟国を支援するため に、シシリー島のシュラクサイに大軍を送りました。その遠征 軍の指揮をとったのが、アテナイの平和につくした政治家のニ キアスでした。ニキアスは大損害を受け、敵に援軍が来て、退 却することになったのですが、その決断をするときに、空に突 然の異変がおきました。その日は満月だったので、夜でも物が よく見えたのですが、その満月が突然かけていき、急に真っ暗 になったのです。月食です。
 すると、兵隊達は「何か悪いことが起こる前触れに違いない 」と考えて、とても怖がりました。困ったことに、司令官のニ キアスも迷信深い人でした。そこで、占い師の言葉をきいて、 次の満月の日が来るまで、「どのようにして撤退をすべきか」 という討論をすることも禁じてしまったのです。そこでアテナ イ軍は撤退の時期を逸して、シシリー島の中を逃げ回り、つい にニキアスも援軍にきたデモステネスも捕虜になって残酷に処 刑されてしまったのです。数千人の兵士達も餓死させられたり 、奴隷に売られたりしました。
 このように科学を知らないばかりに、甚大な損害をこうむる こともあります。
 ですから、政治上の指導者は、科学の正確な知識をもつこと がもとめられると思うのですが、どうでしょうか?