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文化と進化論071219

2007/12/19 灯台守 60代 自営業

 デモクリトスさんとの哲学論争に付いて、“中締め”的意味 で書きます。ヨーロッパの哲学が日本に紹介されたのは、幕末 から明治に架けた時期でした。幕府の学問所で、西周によって “希哲学”が講じられたのが始だと言われています。

 戦前戦後に渡り活躍された、丸山正男の“蛸壺型、ささら型 論”、つまり、科学の根っこは一つであると考える論。

 ヨーロッパでは、科学の発生が“神の創造意思”、つまり、 キリスト教の神“クリエーター”(創造神)の意思が“神の法 則”と言う捉え方が有った所に、自然法則、科学法則と言う概 念によって発展したので、“各科の学問”(蛸壺型)的認識は 起こり得なかった。ヨーロッパで科学が各科に別れは始めた頃 が、日本にサイエンス(科学)が伝えられた時期に当った為、 日本では各科の学と言う概念で受け止められた。丸山正男が日 本的“蛸壺型科学”とヨーロッパの“ささら型科学”を対比し たのは、丸山正男の近代知識人としての見識であろう。

 カールポパーの“反証可能性”論は、やはり、ヨーロッパ伝 統の論理学的哲学論でしょう。“論理学”(弁証法も論理的方 法論の一つ)も明治期の日本に伝えられましたが、それ以前に 、古代日本には仏教の中で、“因明”と言う論理学の方法論が 伝わっています。日本的“感性文化”の中で発展は有りません でした。

 現代では、各大学に“科学哲学”の講座が増えて来ました。 各科の学から“ささら型”科学的捉え方が普及して来た証でし ょう。しかし残念ながら此れは哲学です。私は、ガリレオの考 えた“科学と哲学の分離”を主張して行きます。

 トーマスクーン「科学革命の構造」では、“パラダイム論” が主張されています。学問の発展は“革命的”発展をして来た という主張です。社会科学的分野に自然科学的手法が取り入れ られる事を希望しています。Yahooブログ感性文化「科学の見 方」で論じています。

 ダーウインの進化論を踏まえれば、夫々の文化は“特殊化” の方向に進化する筈です。ヨーロッパ文化も、その特殊化の方 向に進化して来ています。日本文化とヨーロッパ文化を比較す ると、見えて来るものが有ります。日本には哲学的発展は有り ませんでしたが、“感性文化”として発展して来ました。文化 は言語の段階で既に“質”を異にしています。言語表現の段階 で、既に異なりを持っています。

 ヨーロッパ文化の特殊化は、言語に表れています。形而上学 的哲学、言語による“論理学”の発展と言う特殊化です。認識 を土台にした論理を重要視する傾向です。言い換えると、言葉 による“概念”と“事実”との混同が生じ易い傾向があります 。(マルクスの唯物論が其れに当る)

 私のマルクスへの捉え方は、その様な文化的解明の一端から 生じています。政治批判から生まれたものでは有りません。

 さざ波通信読者の皆様に、是非、日本文化の特徴“感性文化 ”に注意を向けて頂きたい。科学とそれ以外の哲学、宗教、倫 理観の違いに注意を向けて頂きたい。平和で豊かな未来を創造 するには、遠回りでは有りますが、文化の解明無くては成らな い作業です。さらに、未来社会は“統治構造”から“自治構造 ”に変えて行かなければ成らないでしょう。私も文化解明の道 半ばですが、今後も続けて行きます。