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岩国市長選について

2008/2/14 風来坊 50代 自営業

 2月11日付けの東京新聞に以下の興味深い社説が載っていた 。

 岩国市長選 街を分断した国の強引
 米空母艦載機の移転容認か反対か。山口県岩国市長選は街を 二分する戦いとなった。米軍再編進展へ政府が強引な「アメと ムチ」路線を取ったゆえの混迷だ。
 信頼回復へ地域の声に耳を傾けよ。
 瀬戸内海沿岸に岩国基地を抱える岩国市で、激しい出直し市 長選が繰り広げられた。
 在日米軍再編に伴い、神奈川県の米軍厚木基地に所属する空 母艦載機隊の移転計画に反対する前市長が市議会との対立で辞 職し、再出馬。容認派が推した前自民党衆院議員との一騎打ち となった。
 移転問題で民意を問うのは今回が三度目。2006年の住民投票 では反対が九割近くに上った。その直後の市長選で、反対派の 前市長が当選。これまで岩国市では二度続けて「ノー」の意思 が示されてきた。
 今回の市長選の発端は、騒音や治安悪化を懸念する市が移転 に反対していることを理由に、国が新庁舎建設の補助金約三十 五億円の交付を打ち切ったことにある。もともと補助金は沖縄 県の米軍普天間飛行場の空中給油機移転を市側が受け入れたこ とで交付が決まったもので、05年度から支給されていた。06年 に日米両政府が合意した米軍再編計画に市が協力しないからと いって、これまでの「約束」をほごするのは無理があろう。
 厚木基地から艦載機五十九機が移転すれば、岩国基地は極東 最大級の航空基地となる。滑走路が一キロ沖合いに移るにして も、騒音などの負担に不安を抱く市民が受け入れに難色を示す のも十分理解できることだ。
 再編に協力する自治体に交付金を支給する米軍再編推進法を 錦の御旗に「アメとムチ」を使い分ける国の姿勢は、住民感情 を軽んじるものだ。財政面で疲弊する岩国市では、国のムチを 前に前市長と市議会がねじれ状態になって市政が停滞。容認派 と反対派の対立がエスカレートした。こうした事態を招いた国 、とりわけ防衛省の責任は重い。
 賛否二分の背景には、市民の苦渋の選択がある。政府の強硬 姿勢が功を奏し、容認派が増えたなどと容易に考えてはなるま い。容認派の前自民党衆院議員も「協力はするが、国の言いな りにはならない」との立場だ。
 本来、防衛行政は基地の負担を強いられる住民の信頼があっ て成り立つものだ。ムチに頼る手法は、焦点の普天間飛行場移 設をはじめ再編計画の進展をかえって鈍らせることになる。こ れまで地域との対話努力を怠ったことを猛省し、国は真摯な姿 勢で市側と話し合うべきだ。

社説でここまで書けるというのはたいしたものだと思う。こ の社説を書かれた方と東京新聞の勇気は賞賛に値する。