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「鞆の浦」「福山城」から逃げる「福山市議候補」たち

2008/4/4 さとうしゅういち 30代 サラリードパーソン(社会市民連合、連合組合員、民主党員)

「鞆の浦の埋め立て架橋問題」。そして「福山城」の遺構保存問題。
 この2つの問題にから4月6日投票の福山市議選候補の多くは「逃げている」といわざるを得ません。

■世界に誇れる「鞆の浦」をどうする?
 「鞆の浦」は福山駅から「鞆鉄バス」で約30分。瀬戸内海 の中央に位置し、潮がぶつかりあう場所だったため古代から「 潮待ちの港」として栄えていました。ここで、いったん船を停 泊させ、潮の流れが変わったら、動き出したのです。
 大伴旅人。幕府を開く直前の足利尊氏、織田信長に追放され た後の足利義昭。朝鮮通信使、ペリーや坂本龍馬など歴史を動 かす大物たちもこの地に滞在しています。
 北畠顕家に惨敗して西へ落ち延びた足利尊氏はこの地で光厳上 皇の「新田義貞を討て」という院宣を受け、盛り返しました。 義昭は、晩年をこの地で過ごしました。「室町幕府は鞆に始ま り、鞆に終わった」といえます。また、坂本竜馬は、この地で 、初めて、万国公法(国際法)に基づく「海難審判」を、紀州 藩相手に行い、勝利しています(いろは丸事件)。
 そうした、歴史上の名勝の港を、県および市が埋め立て、橋 をかけるという計画があります。
 目的は、渋滞対策で、市側は「大多数の住民の賛成は得た」と しています。だが、実際には異論も根強いのです。例えば、「 橋がかかれば景観が台無しになり観光資源の魅力が失われる。 橋は所詮、通過交通を捌くもので、鞆の繁栄にはつながらない 」というもの。「渋滞を解消したいなら、山側にトンネルを作 ったほうが安上がり」という指摘もあります。
 そして、国際記念物遺跡会議(イコモス)も2005年10月 24日、鞆港埋め立て・架橋計画について、国、広島県、市に 同計画の放棄を求める決議を採択しています。
http://www.sawasen.jp/tomonoura/tomonoura/topics04.html
 さらに言えば最近、道路建設の裏づけとなる「道路特定財源」 廃止を福田総理でさえも主張する中、このまま事業を強行すれ ば、財政面での不安も拭えません。
 議会ではたしかに、建設へ向けた費用を含む予算を可決するな ど「一度結論は出た」話です。しかし、「ゼロベースで事業を 見直す」という流れも広がっています。一度結論を出したから と言って、それを議論すらしないのであれば、むしろ非常識で す。

■福山の顔「福山城」をどうするか?
 福山城はJR福山駅の北口にあります。
 徳川家康の腹心・水野勝成が築城した福山城。その城下町で ある福山は、江戸についで日本で二番目に水道が整備されたと いう、歴史的な価値がある町でもあります。
 第二次世界大戦で天守閣などが焼け落ち、戦後再建されまし た。しかし、大変再建の仕方は不正確なもので、年配の方にう かがうと、「全然戦前と違う」とおっしゃいます。
 しかし、最近、石垣などお城の古い遺構が次々と発掘されてい ます。福山駅周辺はまさに、福山の「顔」です。
 現在、福山駅の南口では、おおがかりな広場の整備が行われて います。この工事現場でも、水野勝成が築造させたお堀と石垣 の跡が出土しています。
 市は、この広場に、発掘された石垣を使った高台を設ける計画 を2006年度末ごろ出しました。しかし、これでは、遺構は ほとんど生かされない、と遺構を重視する市民団体などは反発 しています。歴史的な遺産を活かし、どのような福山駅周辺を つくるのか?まさに、もっと議論されてしかるべき問題です。
参考サイト
http://www.sannomaru.com/ishigaki/

■「当たり障りのない」ことしかいわない候補が多い
 選挙広報では各候補ともに「福祉の充実」「子どもたちに優 しい」など当たり障りのない公約を掲げています。この2つの 課題のどちらかに触れている候補は広報を拝見したところ、五 十一人中わずかに七人です。これでは判断材料が乏しいといわ ざるを得ません。
 「支援組織の中で意見が割れる課題」に言及するのは選挙に 不利である、というのもわからないではない。大事な争点を回 避しておいて、「白紙委任状」をもらい、市長が出す方針を追 認してきた市議たちの大半に疑問を感じます。
 また、選挙広報はスペースが狭いのは確かです。それならば インターネットという手があります。例えば、ご自分のホーム ページに見解を載せる、と言う手もあります。しかし、残念な がらそういう候補者も少ないのです。