捕まった実行犯は、「アフガンの治安悪化を印象付けて外国人を追い出したかった」と言っているそうです。なぜ、外国人に対する怒りや反感が、強まっているのでしょう。
イラクやその他でも同じですが、アフガニスタンに軍事介入したアメリカなどの外国軍隊が、現地の人々の憎しみを買うようなことばかりやっているからではないでしょうか。
以前、ペシャワール会の現地代表中村哲氏は、「日本政府のアフガニスタンにいる米軍への燃料補給やまた自衛隊の派遣は、ペシャワール会の活動を困難にし、NGOの活動も一部のテロ強硬派によって中断せざるを得ない状況が生まれるかもしれない」と語っていた。
さらに5月18日の明治大学ホールでの講演会 =「アフガンはテロの巣窟ではない」では
以下のように語っている。
「「アフガニスタンをテロの巣窟であるという人がいるが違う。(9・11テロ)実行犯の中にアフガン人はいなかった。タリバンとアルカイダは、かなり違う。タリバンは国粋主義者。他国に影響力を持つとは考えられない。」
「「アフガニスタン政府軍は国土の30%を支配した」と言っているが、点と線を支配しているに過ぎない」
「そんなことを知らずに自衛隊がノコノコと出ていったらどうなるか」「今後は日本人というだけで襲われるようになる。(民間の)復興支援に限るべき」」と語っている。」
この中村哲氏の指摘した「今後は日本人というだけで襲われるようになる」という危惧が現実に起きてしまったのが、今回の事態なのではないでしょうか。
また「はる」さんという方は「ペシャワール会 伊藤さんへの追悼(はる)」の中で
「私はペシャワール会会員です。この痛ましい出来事に、日本国民は報道の内容に洗脳されないで欲しい。
報道では「アフガンは危ないから、アメリカに同調して、給油活動・ISAF等への自衛隊参加」の世論形成をしているように私には聞こえます。
伊藤さんの、彼が、沢山アフガンで思ってきたであろう、そのことの一部を私が代弁したいと思って、この記事を書きます。
ペシャワール会は、非政府組織のボランティア団体です。その活動資金は我々会員の会費や、中村哲さんの講演寄付で賄われている。政府からの援助は一切お断りしている。
自民党政権は、このボランティア団体であるペシャワール会を糾弾している。(2001年、国会証人喚問)。その国会証人では代表の中村医師を、売国奴、タリバンの味方だとまで中傷した。
そして、今政府は、さも邦人救出のために対策本部をたてて山本一太副外務大臣を任命した。・・・・国民はお涙ちょうだいで、自民党もやってくれると思ったことだろう。ころっと騙される国民がいる。
略
伊藤さんの思いを一言で言えば、
「日本の自衛隊国際貢献は間違っている。日本がアメリカに着いての平和貢献なんてありえない。」
真の「平和」を希求し、倒れた伊藤さんに黙祷・・・・・・」
この不幸な事態さえも利用して、町村官房長官がインド洋での自衛隊の給油活動を継続する方針を示したのに対し、伊藤さんの所属する「ペシャワール会」の福元満治事務局長は、「方向が違うんじゃないか。だから武力がやっぱり必要だというのは浅すぎる」批判した。
伊藤和也さんの冥福をお祈り申しあげます。
最後に9・11直後2001年9月のペシャワール会の声明を引用して、この投稿を終わります。
アフガニスタンだけでなく、イラク、イスラエルの無法な攻撃に常にさられれるパレスチナやレバノンを含む中東、コロンビア、中国、ロシア、バルカン等々今世界中の全ての地域で起こっている問題を解決する方法は、このペシャワール会の声明の精神をを実践すること以外ないと思います。しかし、ペシャワール会は、今回の事態の結果、日本人スタッフを帰国させることを決定をしました。やむを得ない決定だと思います。しかし、もし、日本政府がアメリカに加担するような政策をとらなければ、このような結末にならなかったのにと思うと自公政権に対する怒りが込み上げてきます。
ペシャワール会声明
報復の回避を訴え、事業の継続に全力を挙げます
この一年余、ペシャワール会はアフガン大旱魃の対策に、全精力を傾けてきました。東部で658ヶ所での水源作業(井戸・灌漑用水路)を行い、128ケ村約25万人の流民化を阻止しています。医療支援でも、既存の3診療所に加えて、無医村と化した首都カブールに5つの臨時診療所を開き、絶望的な人々に大きな励ましを与えてきました。さらに9月に入り、カブールでさらに5ケ所の診療所を増設、水源事業も一千ヶ所に拡大、予想される深刻な事態に対処する備えをしていました。
その直後、11日にアメリカのテロ事件が起こり、それに対するアフガンへの軍事報復の動きが伝わってきました。今私たちの活動が停止すれば、戦慄すべき事態となります。(国連は餓死者だけで600万人を予想しています)。犠牲になるのは全て無抵抗の農民や貧民、子どもやお年寄り、弱い者です。これはもはや「テロ対策」という範囲を超え、必ずや歴史的ホロコーストとして永久に汚名を残す所業です。
武力報復は憎しみを沈潜させ、さらに根深い報復を生み出します。報復協力者・日本の安全もまた、かつてない危機にさらされるでしょう。 テロの防止は、暴力でなく、命の大切さを人々の心に訴えることによってのみ、力を持つことができると信じます。
平和の維持には戦争よりも勇気と忍耐が要ります。私たちは不退転の決意で、報復回避への訴えと現地事業の継続努力を実行いたします。皆様の御理解を、世界の良心と共に切に訴えるものであります。
2001年9月
中村哲