汚染米事件で流通の問題のみの追求がなされている。しかし、この事件の最大の原因は汚染米を払い下げした農水省にある。農水省は、工業用糊=合板の接着剤として、払い下げしたと言っている。だが、合板用にしても壁装用にしても澱粉糊は小麦粉で作られている。現在、建設業界は、シックハウス対策として、13種類の有害物質の除去に取り組んでいる。しかし、まだ、除去できたのは、クロロビスカス、ホルムアルデヒドの2種類のみである。取り分け、ホルムアルデヒドは、澱粉糊の防腐剤、安定剤として、長い間、重要な役割を果たしてきた。その代替品開発をやっている中で、小麦を米に変えてまともな糊を作る余裕などあるはずがない。。
他に工業用の糊としては、ビールなど飲用のラベル(小麦澱粉)、事務用糊のヤマトノリなどが考えられるが、何れにしても汚染米を利用できるとは思えない。
それによしんば、米澱粉で技術的に性能に見合った糊を作れたとしても、それが汚染米を原料と認識されれば、汚染米を原料に使うことは無いだろう。糊メーカーと話した時、「汚染米を使うように農水省から申し入れありませんか」と聞いたら、「そんな物で誰が作るんですか」「従業員が嫌がりますよ」「それでも作れとは言えませんよ」と言われました。
つまり、もともと、需要=売り先の無いにも関わらず払い下げした訳です。しかも、汚染米。農水省は、澱粉糊が、ほとんど小麦で作られ、米を使っていないことは知っていたはずです。三笠フースなど゛が、最初から不正転売をするつもりで、払い下げを請けたのか、売り先が無くて困って闇転売したのか分からないが、何れにしても、汚染米であることを隠蔽しない限り、転売できない事は明らかなのではないだろうか。その結果どうなるかは農水省は容易に予想できたのではないだろうか。それにも関わらず、払い下げを行なった農水省は万死に値するのではないだろうか。
次の問題はなぜこのような汚染米を返品か処分しなかった(できなかった)という問題です。
農水省は、返品や処分をした場合コストが増えると言っている。しかし、一般的に、買い手が、契約条件に反した質や性能の商品を返品や処分した場合、新たなコストを負担する事はありえない。それにも関わらず、返品や処分した場合コストが増えるという事は、この農薬汚染米やカビ米を含んだ輸入米は、農水省の購入条件を満たしていたことになるのではないだろうか。
農水省は、どうせミニマムアクセスで、義務的に輸入した米だ。別に必要なものではない。帳尻さえ合っていれば、米の質なんかどうでもよいと考えていたのではないだろうか。
第三の問題は、小泉デタラメ改革の米の流通の自由化問題です。米の販売の自由化によって過当競争がおき、利益が確保できなくなったことが、不正を生む背景になったのではないだろうか。同時に、それは流通を複雑にし、不正の隠れ蓑の役割を果たし、事態の解明を一層困難にしたのではないだろうか。
最後に、農水省は、「事故米を摂取しても、直ちに影響はない」と何度も言っている。毒には慢性毒と急性毒がある。
農水省は、イタイイタイ病(カドミュウム汚染)、水俣病(有機水銀)森永砒素ミルク中毒事件などで、慢性毒の危険性を十分知っているはずだ。慢性毒の場合すぐ発病するわけではない。また、アフラトキシンは自然界に存在する最強の発がん性物質言われているが、採取したからといって、すぐに癌なるわけではない。
しかし、直ちに影響が無いからといって、慢性毒性や発がん性の危険が否定されたことにはならない。
このような農水省の対応は、自分たちの犯罪行為を隠蔽する詭弁にすぎない。