この間、赤旗によれば共産党は青年層中心に新規入党者を迎えた、と報じられ
ている。
これは、『蟹工船ブーム』など非正規雇用や派遣などのワーキングプア状態に
ある青年の間で共産党への関心が高まり、一定の入党者も出ているようである。
しかし、今までの共産党の大きな組織源であった、学生運動や正規の自治体労
働者や教員などでは、青年が大きな運動のうねりを形成する状況にない。
多くの新規採用者が労働組合にも入らない現状で、全教や自治労連という組合の
活動の主な担い手(労働者党員)は高齢化し、これから10年前後に迎える彼ら
の大量退職後、全教や自治労連などの組合活動が大きな停滞を向かえ、正規雇用
の教員や公務員・自治体労働者のなかで労働者党員が激減することが予想され
る。これらの分野での共産党の大幅な後退は、日本の労働運動の地図を大きく塗
り替えることとなろう。
非正規労働者が運動に立ち上がることは喜ばしいが、正規の公務員の運動が急
速に停滞する状況が進行中ということは、日本の労働運動にとっても革新運動に
とっても重大な問題であろう。
共産党の大きな組織源であった教員や公務員(特に自治体)は、最近の採用者
の多くが大卒であり、しかも難関大学出身で、高度な受験勉強を経験したものが
採用される傾向が強まっている。
そのような彼らが、組合や共産党を避けるのは、共産党のイデオロギー・理論
活動が近年停滞し、学歴の高い青年層に影響を与えうる知的な刺激を発信できな
くなっていることが大きい。また、学生運動の停滞も負の影響を与えていよう。
最近の赤旗の日刊紙でも理論的問題の記事が激減をし、科学的社会主義の研究
にいたっては不破哲三氏のみが担っている状況にある。
青年の教員や自治体労働者など、高学歴の労働者の組合への積極的参加と共産
党への支持を得るためには、共産党が青年に知的影響力を行使できるような理論
活動の高揚が不可欠であろう。