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全労連の結成が日本の労働運動の発展に繋がったのか

2009/2/1 日本に福祉国家を 50代

 日本の労働運動のナショナルセンターは、連合と全労連に大きくは二分され る。今日、派遣切り問題など労働者を取り巻く環境は厳しいが、近年の労働運動 の組織力・社会的影響力はかつてより大きく低迷している。
 日本の労働運動が二分化される過程を簡単に概観すると共に、連合と全労連に 分裂した問題の検討と今後の展望に関して見解を述べるものである。
 1980年代以前の日本の労働運動は、総評・同盟・中立労連・新産別などに分 裂していたが、1980年代以降労働戦線統一の動きが生まれ、民間労組中心に労働 戦線の統一の動きが加速化した。そして総評系官公労(自治労・日教組など)も 連合への参加を決め、1989年総評が解散をし、連合が結成されたものである。
 その動きに反対する労働運動の統一労組懇グループは、連合結成への動きを労 働戦線の右翼的再編として批判し、階級的・民主的ナショナルセンターを作ると いうスローガンの下、自治労・日教組など連合参加を決定した単産を離脱し、全 労連に加入したものである。この過程は労働運動の共産党員グループを共産党が 指導し、全労連結成がなされたものでもあり、共産党の方針に基づき全労連結成 へと繋がった。その時の共産党での労働運動の指導責任者は、荒堀広氏であっ た。
 特に総評系官公労(自治労・日教組など)の連合と全労連への分裂は、自治体 や教員などの一つの職場で、二つの組織が対立しあい、組合員の獲得合戦をする という事態へといたった。
 特に、教員や自治体などの職場での新規採用者は、二つの組織(自治労と自治 労連そして日教組と全教など)からの組合勧誘を受け、結局組合に加入しないと いう選択が広がり、青年職員の組合加入率の低下、労組の青年部の弱体化という 日本の労働運動を弱体化させる役割を果たしている。
 最近、大阪府の橋下知事が反動的府政運営を行っており、それに対する広汎な 反対の府民運動の高揚が求められているが、府庁職員は自治労と自治労連系組 合、教員は日教組と全教組合の双方がそれぞればらばらに対応しており、統一的 運動を形成し得ない状況にある。
 やはり、二つの労働運動が、対立していがみ合い続けることは、組合の組織力 の低下と社会的影響力の低下に帰結していると評価される。 最近、全労連は、連合との共同行動の推進を方針化しているが、全労連の中心を 占める官公労では、1980年代後半以降連合系の日教組と全労連系の全教・自治労 と自治労連が骨肉の争いをしてきた経緯もあり、共同行動を進める上での障害は 多く、きわめて難しい現状にある。
 しかし、このまま公務員・教育労働者の組織力が低下し続ける事態を継続する ことは、日本社会にとって大きなマイナスであろう。
 連合と全労連、自治労と自治労連・日教組と全教の組織統一への足を踏み出す 時期に来ているのではないだろうか。特に、全労連系官公労は、組合役員が高齢 化しており、まもなく大量退職し、若手の組合役員が育っていない現状にあり、 このまま推移すれば組織的危機を迎えよう。
 さざ波通信上でも、日本の労働運動のあり方、連合と全労連の対立という現状 打開への議論を期待している。