共産党は、各地方自治体において、国保税(料)の一人1万円の引き下げの運動を展開している。
国保問題は、日本の社会保障制度の大きな矛盾であり、最近非正規労働者や無職の人など低所得者が大量に流入する中で、低所得の被保険者に対し高額の保険料負担が課され、保険料の滞納者が急増し、保険証が取り上げられる人が急増し大きな問題となっている。
一般的には、社会保障制度は所得の再分配制度として、高額所得者は負担が高く、低所得者は負担が低い、というように制度設計されているが、健康保険組合や政府管掌健康保険は相対的に被保険者の所得が高いが、保険料水準は低い。一方、国保は被保険者の所得水準が低い上に、相対的に高い保険料負担が課され、所得再分配とが逆の実態となっている。ただこれは国の健康保険制度上の矛盾であり、地方自治体レベルでの矛盾の解消はむずかしい問題である。
共産党としては、国保税一人1万円ずつの引き下げ運動を全国的に展開しているが、私の居住する共産党が与党の自治体では、共産党の地方議員が国保料の引き上げを主張し、議会で承認された。今その隣の市で、市長選挙が戦われているが、共産党が支持する革新候補は、国保税の引き下げの主張を繰り広げている。
道路一つ隔てたところで、共産党の国保料への対応は、180度異なり、片方は国保税引き上げであり、一方は国保料引き下げの主張をしている実態にある。
共産党が野党の立場か、それとも与党の立場かで、政策が180度異なる実態が生まれている。
共産党の政策は、それを実現する財政的条件や制度上の条件の分析が無く、住民受けの良い実現可能性の乏しい政策を七夕飾りのように掲げる傾向がある。国政上でも同様の問題があると感じる。政策は、それを実現する財政的分析を行い、実現の展望を明確に示すことが責任政党として求められているのではないか。