赤旗日刊紙09年4月27日付けで、「なくそう!官製ワーキングプア 反貧困集
会」の紹介記事が掲載された。この集会の記事に関して、二つの論点で議論する
ものである。
第1に、今日中央省庁や自治体が、正規雇用を削減し非正規雇用が大幅に増大
すると同時に、指定管理者制度として、民間に委託し、ワーキングプアというべ
き低賃金労働が増大し、それを止めさせるために闘おうという趣旨の集会であっ
た。
問題は、この間の財政危機の中で、官製ワーキングプアは、共産党が与党の自
治体も含め、多くの中央省庁・自治体により生み出されているものである。
共産党は、全国では官製ワーキングプアに反対しているが、共産党が与党の自
治体では、共産党地方議員が非正規雇用など官製ワーキングプアの増大推進の役
割を担ってきたという矛盾をどのように説明するつもりなのか。
当然官製ワーキングプアの増大を引き起こす基本的要因は、国も自治体も財政
危機が進行しており、自治体で言えば地方交付税の大幅削減の中で財政危機が進
行し、自治体の人件費を極限まで削減しようとの意向が働いたものである。
結局、自治体に起因する官製ワーキングプア問題の解決には、自治体の財政問
題の検討が避けられず、官製ワーキングプア問題の解消をなしうる自治体財政基
盤をどのように作るのかという課題を検討しなければ、絵に描いた餅に終わるの
ではないだろうか。
官製ワーキングプア問題の告発のみではなく、官製ワーキングプア解消を可能
にする具体的条件の検討も切に求められる。共産党が支援する社会運動におい
て、告発のみに終わらせることなく、それを可能とする具体的政策提言まで含め
た運動論を期待したい。
第2に、上記の集会が「自治労加盟の組合役員・自治労連などの実行委員会」
が主催し、開催され、赤旗では、「加盟組合の違いを超えて」と評価されている
ところであるが、そもそもなぜ加盟組合が異なってしまったのか、という検討が
必要である。総評時代までは、自治体職場の労働組合は自治労で共にやってきた
のではないのか、という問題である。
この間、自治体労組でも、教組でも、加盟組合が連合か全労連かで加盟組織が
異なり、相互対立を重ね、組合の組織力も影響力も低下させてきたのではないの
か。
現状としては、自治労系と自治労連系の共同行動は意味があると認識するもの
であるが、その共同行動が将来的な組織統一を展望するものかどうか、明確には
されていない。
同じ職場で、自治労系と自治労連系の組合が対立しあい、お互いが弱体化する
愚の骨頂を早期に終わらせる必要があろう。将来の組織統一まで展望することな
くしては、共同行動はきわめて限定的なものとなろう。双方の組織が、同一職場
で組合員を取り合うという対抗関係の解消への道筋をつけるべきである。