私が、日本共産党として20世紀社会主義の総括が必要との見解に対し、人文学徒さんより、09年5月25日付で、「それはないものねだり」との指摘を受けました。
私も、日本共産党として20世紀社会主義そして日本共産党のかつての社会主義論の総括は日本共産党の根幹まで総括しなければならない大問題を含んでいると認識するところです。
やはり重要な問題は、ソ連でスターリンの独裁体制が確立して以降、日本共産党も含め世界の共産主義運動がスターリンを頂点とした、スターリンを崇拝する体制がスターリンの死まで続き、それと闘った共産主義者はトロツキーやユーゴスラビアのチトーなどごく一部であったという現実があると思います。
昭和20年代の日本の共産主義者が書いた本は、「偉大なマルクス・レーニン・スターリンの業績を受け継ぎ」という枕詞で始まる本が多数を占めていた。
日本共産党の党史でも、戦前の共産党はコミンテルンの日本支部という国際組織の一下部組織であり、ソ連・スターリンの意向を受けたコミンテルンの決定に基づき活動していたという歴史的現実もあります。
50年問題も、スターリンの意向を受けたコミンフォルムの日本共産党の路線への批判に端を発し、党が分裂するような事態に至っています。
イデオロギー的にも、スターリン全集に代表されるようなスターリンのイデオロギーの影響を国際共産主義運動全体が強く受けていました。
多分、20世紀社会主義・ソ連の総括をし始めれば、20世紀の世界の共産主義運動全体や日本共産党の党史全体の大幅な見直し・総括が必要となるでしょう。
それと、ソ連で1956年にスターリン批判があったのに、ヨーロッパの共産党で大きな議論になったのに、1973年の時点で日本共産党の中央によるスターリンの業績への肯定的評価があったという事実は、日本でのスターリン批判が極めて遅く・不十分であったことを物語るものであり、そういう問題も総括しなければならない課題となるでしょう。
20世紀社会主義の革命(共産主義)と改良(社会民主主義)のいずれが優れていたかという論点提起になる議論はしたくないのでしょう。
この問題は共産党という党名の是非までの議論に繋がるかもしれません。
そういう共産主義の根幹まで触れなければならない総括は、日本共産党の幹部やできないでしょうね。なし崩し的に、社会主義・共産主義という問題を消し去る方針かもしれない。