一般投稿欄

思想としての共産主義、その核心

2010/3/8 赤いたぬき

そんなに難しくない話なのですが、私自身は愚かなことに最近まで気がつくことがありませんでした。また私自身がそれを実践できていたかというとそんなことは全然ありませんでした。
私にはそれは簡単なことなのですが難しいことなのでした。

共産主義とは何よりも人間の道徳的倫理的欲求です。人を傷つけたくない、傷つけられたくない。人を騙したくない、また騙されたくない。このような道徳的倫理的欲求は誰しも持つものではないでしょうか？そして私たち人類が莫大な生産力を手中に収めるに至ってその欲求は人類の必然的な欲求となるというのが共産主義の思想の理論的な核心ではないでしょうか？
環境問題、金融部門の暴走による全生産部門の不況、そしてその背景に存在している過剰生産と不均等発展、絶対的過剰人口の増大。人間不信が極度の速度でこの地球を覆っているのではないでしょうか？とくに日本ではこの人間不信は深刻で年間自殺者数の驚異的な数や日ごろの息苦しさ、何よりも自らの欲求に基づく社会的活動の低迷さ（なぜ暴動が起きないんだ？？）によって特徴づけられています。カリフォルニアで行われている教育費削減反対運動は、その削減幅があまりにも大きいことも影響していますが学生青年をはじめとしてまさに大衆的な決起を起こしています。それに引き換え我が国は。。あの戦後の輝かしき全学連運動の伝統はどこに消えてしまったのでしょうか？嘆かわしいばかりです。
共産主義は豊かさを追求します。しかしそれは他人の労働の不労所得に胡坐をかく豊かさではありません。団結した人民が共にお互いの生活に責任と誇りを持って支えあう思想です。挫けそうな仲間を励まし自分自身を鼓舞する思想です。それは人間性を豊かにする思想です。
共産主義は２０世紀の経験から二つのことを学びました。
ひとつは共産主義は科学ではないということです。それは厳密に証明が可能なものでなければ再現可能なものでもありません。
もうひとつは人間は多面的な面を有しており決して画一的な価値観では把握することが出来ないということです。それは制度としては一党独裁制と計画経済が端的に誤りだったということに帰結します。
これらの間違いを共産主義思想は多くの犠牲者と共に現在の私たちに提示しています。私たちはその犠牲者の方々に対し償うことが出来ない罪を歴史において永遠に背負う義務があります。しかしながら私たちは同時に私たちの、そして広範な人類の道徳的倫理的欲求に応える義務をも同時に背負っています。私たちはこの二つの義務と一つの贖罪を背負わなければなりません。
共産主義は人間の道徳的倫理的欲求を疎外するあらゆる思想と制度に反対します。それはとくに宗教的な世界観に対して反対します。宗教は一面では人間の道徳的倫理的欲求を強化しますが、しかしそれは最後まで観念論的な世界に人間を支配させます。共産主義思想もまた思想である以上観念的なものですが、それは人間の観念に対して対象的（再帰的）に振舞うことを可能とする観念であるというところで宗教とは一線を画すものです。
　私たちは人間の道徳的倫理的欲求としての共産主義思想ならびにその実践としての共産主義運動に対して正しく評価する必要があると考えます。ロシア革命、中国革命、東欧革命、第三世界の植民地解放運動、そして現在の中南米の変革、世界中で闘われている生存と自由と権利のための闘争、それらに対して共産主義思想ならびに共産主義運動が果たした積極的な側面に対して正しく評価する必要があります。しかしそれはもちろんその負の側面に対する責任をも背負うということになるゆえに決して万人に開かれたものではありません。

日本共産党は日本における共産主義運動の最古かつ最大の団体です。また日本の労働者人民が共産主義に対して持つイメージのある程度を象徴しています。その最良の部分はやはり道徳的倫理的態度と実践だと思います。それゆえぜひ共産主義思想の核心に基づいた正しい歴史認識と評価をもっていただきたいと思います。それは我が国において真の意味での人間的な道徳と倫理を確立することにつながります。
我が国における最大の問題とはまさに人間的な道徳と倫理の不在なのですから。

はなはだ抽象的でしたが今日はこのへんで。
みなさんごきげんよう。