小林多喜二は特高によって虐殺されました。しかし、殺人罪で特高が追及を受けたことはありません。 実際には多喜二ひとりではありません。すぐれた革命家だった岩田義道は、その哲学的素養で、後世 の思想史家からも高く評価を受けています。哲学者の古在由重 さんは、政治活動に入るとき、東京女子大の哲学教師の道を投 げ捨て、実践一本にしぼることを悩んで岩田に相談しました。
その時に岩田義道は、哲学者としての古在さんの資質を見抜き 哲学を捨てるべきではないと諭しました。その岩田も虐殺されて います。
戦前、「思想犯」とレッテルを貼られて官憲の手によって虐殺
されたのは、大逆事件の大杉栄もそうでした。つまり、多喜二
ひとりにとどまらず、日本の警察、とくに公安特高の権力は、
数々の左翼政治犯を「思想犯」のもとに何人も捜査途中で虐殺
することを当然のごとくにおこなってきた血塗られた歴史を体
質的にもっていたのです。
その手口は、韓国にもおよび、韓国民主人士は、日本の特高
の手口であいついで弾圧を受けて、虐殺されています。
このようなテロルをなぜ日本国家と国民は弾劾できずにきたか。
日本史の汚辱のひとつです。でも、菅谷さんの冤罪事件のように、官憲の弾圧が白日のもとに
さらされる日がやってきました。これから紆余曲折がありましょ
うが、政権交代によるひとつの成果だと思います。民主党一党の
成果というより、自公政権を打倒した国民の投票行動がこのよう
な流れを支えていると考えます。